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スペースライフ7


三日目の夕食も宇宙食で、食堂にいない者も多かった。


「お二人とも、片腕が不自由だったとはいえ、よく捉えることが出来ましたね。まあ、実質片腕で操作していたようなものなんですけどね」

「めちゃくちゃ言い訳するじゃないかサーマン。折角本当に強いのに」


イセンがそう話すと、サーマンは若干照れつつ頭をかいた。


「褒めてもなにも出しませんからね」

「あと、夜に聞きたかったことがあったんだが、良いか?」

「なんで夜にしたんですか? その時に聞けばよかったものを」

「お前が夜と言ったんだろうが」

「あ、そうでした」


やれやれとため息をつくイセンだが、それを差し置いてミライが尋ねる。


「サーマンさんって他のパイロットの方ともこういう訓練はしたことあるんですか?」

「ミルミドとファルーですか。ありますよ、地球に着く前とかにやってました」

「む、俺の質問が……」

「えへへ、すいませんイセンさん。それで勝率はどのくらいなんですか?」

「ファルーに対しては八割、ミルミドに対しては七割程ですかね」


それを聞いていたイセンが少し驚いたように、サーマンのことを褒め始める。


「お前……うさんくさいだけではなかったのだな!」

「あくまで両腕が使えるときですので、お二人方とあの二人がチームで戦ったとしても、まだあの二人のが強いですよ」

「早くその腕に追い付きたいものだ」

「その二人とはさっきみたいな訓練はしたことあるんですか?」

「言われてみたら無いですね。今度やってみても良いかもしれません」


言葉の合間にふわあとあくびをはさむサーマン。軽く涙ぐんでふと窓の外を見つめた。


「今日は久々に終日集中していましたね。眠くなってきました」

「あ、それではお休みなさい」

「そうだな、お休み……また質問の機会を逃してしまったか……」


椅子から立ち上がり、食堂を出ていくサーマンの背中を見守り、二人も自室へと戻って今日一日の疲れを癒すことにした。



次の日の朝、ミライとイセンが今日は念願の実地演習かと思いつつ宇宙食を食べていた矢先、軽めのトラブルが二人の元へと走り込んできた。


「おい、貴様ら」


今日はたまたま二人だけで食堂に居たのだが、珍しくライがやって来た。


「あ、ライじゃないか。どうかしたのか?」

「どうかしたとはこっちの台詞だ。本当にサーマン様を落としたのか?」

「まあ、だいぶ苦戦はしたが結果として落とすことはできたな。また通用するかは分からんが」


どうやらサーマンが負けたということは、ジャンダルムのメンバー間で広まっていたらしい。イセンが昨日のことを振り返りつつ説明すると、ライはかすかに口角を上げほくそ笑んだ。


「そうやってやれ苦闘しただのやれ厳しかっただのと有り体に言うこと自体がおこがましいのだ! どうせ嘘だ、嘘! 嘘! 嘘! 私と勝負をしろ! 二人同時に来い!」

「それよりライ、お前のウェンは格納庫に無かったと思うが、パイロットではないんじゃないか?」

「共通の講習として基本操作は把握している。地球人が余計な詮索をするんじゃない」


こちらの返事を待たず、一足先に行ってしまうライ。その姿を見送りつつ、何か閃いたのかミライにイセンが耳打ちする。聞き終えたミライは頷き、二人はすっかり通い慣れた訓練室へと足を運ぶ。


「ライ……はもう中にいるみたいだな」

「それでは、私たちも入りましょうか」


割と自分勝手に進めているライに着いていく二人。動力を付けた途端にライが話し掛けてきた。


「待っていたぞ、イセンにミライ!ここで討たれれば空に出ることはないと思え!」


それじゃあなんで徴兵されたのか分からんぞと思うイセン。そうこうしているうちに、ライの方から撃ってきた。宙域にはデブリ等はなく、先日と戦い方をあらためる必要がある。


「それ、避けてるだけでは話にならんぞ!」

「いえ、中々に当てづらくてですね……」


ミライは後に付くライの射撃を避けながら、当てる場所を吟味しているようだった。


「俺のことはガン無視か……」


ライはミライを追うのに熱中しており、イセンが足を止めて二人を眺めているのに気付かなかった。


「二人で来いと言われた手前、こっちもちょっかいを出すとしようか……」


ノーマークだったイセンは、しっかりとライのウェンの右脚、そして左脚を一撃で撃ち抜いた。


「うお、ビックリした! 人の戦いに水を指す邪道が!」

「こっちもビックリしたぞ。これがビギナーズラックというものか」


イセンに気を逸らしたライの右腕にすかさずミライがライフルを叩き込む。


「相変わらず上手く合わせるじゃないか、ミライ」

「なんかイセンさんの当てるタイミングが分かる気がして」

「第六感かなんかかね……」


さらにもう一発、イセンとミライの射撃が交差して左腕を撃ち抜いたとき、意図に気付いたライが激昂した。


「貴様ら地球人が! 私の機体を狙い撃って遊んでいるのか!」


ミライは言葉に返すことなく、銃を中空に漂わせる。ウェンの左腰に収められた剣を抜き、胴体と頭部だけとなったライのウェンを縦に割りとどめをさす。


「遊んでたわけじゃない、自分で設定した訓練だ」


ひとまず実地に出ることは滞りなくなったが、ライとの溝はいまいち埋まる気配がない。と、いうところで昼食を取りいよいよミライとイセンは宇宙に出ることとなる。


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