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序・新人操者の初任務13



ミライも一緒になって、様々なことを話していると、いつの間にか太陽は頭の上にかかっていた。そこでふと辺りを見回すと、ミライにとっては見慣れた金髪がいた。思いがけない出会いではあるが、声をかけないのも失礼なので挨拶をした。


「イセンさん、お疲れ様です」

「カフェに来ていたのか。レティさんと……妹か?」

「私はソウって言うの。レティお姉ちゃんはお姉ちゃんじゃないよ」

「ああ、名前は聞いたことあるよ。ソウちゃんだな」

「私はレティさんがソウちゃんと軽食をとるのに付き添ってたのですが、イセンさんはどのようなご用ですか?」

「ああ、今日の昼食は村で人気のパン屋で買ってこようという話になってな、早く私も食べたいものだ。それと、食後にはインスヴァイトのことについて教えるぞ」

「分かりました!」

「それ、私も聞きたいのだけど!」

「ならソウを送って村長夫妻宅へ来るといい。マリッジさんを見るにそこまで敬遠されてはないのだろう。その間に静かな昼食でもとっておこうか」

「分かったわ。それじゃまたあとで」


レティ達がモーニングの会計をしている間に、イセンは売り場の方でパンを物色している。


会計を済ませると、レティはソウを家まで送りに行き、二人は一足先に村長宅へと戻っていった。


午後はインスヴァイト講座が開かれていた。例によってイセンの髪はボサボサしている。


「そもそも私も全て理解してる訳ではないが、他の隊員と比べて多少の心得はあるつもりだ」

「自信あるんですね」

「この機械に興味があったのでな。一応インスヴァイトのパイロットとしては古参だしな」


そう言ってイセンは机に紙とペンを置いた。


「ん、ありがとうございます」

「別に使う必要はないがな」


二人が話していると、下の階で話し声が聞こえる。おそらくレティが来たのだろう。少しして二人のいる部屋のドアをノックする音がして、レティがやってきた。


「この部屋……ちょっと待たせたかしら」

「いいえ、ちょうどいいですよ!」

「まあ来なかったらそのまま進んでただけだが」

「それじゃ割とギリギリじゃないの」

「というわけで、話を進めるぞ」


その場を区切るために一回咳払いを挟んで、本題へと入る。


「とりあえずインスヴァイトの種類からだが、今稼働してるのは私とミライが乗ってきたヘリコプター型が三台、トラックのような大型車両が十台がメインだったかな」

「よく覚えていますね」

「一応全て乗ったことがあるしな。ちなみに稼働してないが保管してある機体もあるぞ」

「インスヴァイト自体それほど昔の物じゃないのに保管してるのね」

「機体の数が足りてないし、もっとあるなら出して欲しいですけどね」


会話に参加していくミライ。悲しいことにペンと紙の存在は忘れられている。


「あー、私やミライには立場上守秘事項があるのだが、あの機体は多分輸送メインじゃないな……と、いうか一機人の形をしていたのが何ともいえぬな」

「あんたらの組織は玩具かなんか販売するわけ?」

「その玩具は20メートルはありそうな物だったがな」

「え、嘘乗ってみたいわね」

「レティさん隙あらば乗ろうとしないでください」

「これ以上はあまり喋れないのだが、そんなところだ」


イセンが言及してないが、ミライは人型の機械が使われてる現場というと、災害救助を思い浮かべた。それなら今稼働していないというのも納得できるが、使用用途についてイセンが口を濁したと言うことは、もっと別の使い方をする機体なのかもしれない。現在インスヴァイトを戦争や紛争への介入で使用することは禁止されているが……


「あとは操縦士についても話をしようか……操縦士として一番歴が長いのはこの私、イセンシュヴァイツァーだ!」

「そんな昔から乗ってたんですね」

「初めて本名聞いたわ」

「あとはもう一人、ウォード・シーンと言う男だな」

「最古参その二ね」

「位置としては一番の先輩になりますね」

「そういえば質問なんだけど、インスヴァイトの操縦士って本当に心を使ってるって実感はあるの? だいぶ眉唾臭いのだけれど」

「そうだなあ、タイパーを使った機械を操作する際、がっつり体重が落ちてるが、健康上問題なかったり、無人機械はタイパーの高運動性を再現できなかったりして、眉唾なりに操者の中では浸透しているな」


そのまま話を続けていると、今日何度目か部屋のドアを叩く音が聞こえた。


「ディーナです。軽く食べれるものを作って参りました」

「あ、ありがとうございます。いただきます」

「ミライ……よく食べるな」


ディーナが食事を運んできた後、流れでインスヴァイトの談義はお開きになり、レティは少し不満ではあったが、顔には出さずに帰路についた。



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