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序・新人操者の初任務12


店内に入った二人を追ってミライも急ぎ足で店に入る。最初に目に入ったのはカウンターのショーケースだった。ずらっとケースに並べられているのはホールケーキで、ミライはとりわけ甘いもの好きではなかったが、久し振りに食べてみたいなと思えるほどには食欲をそそられる物だった。と、レティがソウに気づいたらしく、後ろにいたミライにも声をかける。


「あら、ソウに……継葉くん? 小さい子連れてどうしたの?」

「いやあ、不審者がインスヴァイトに近づかないようにと先輩に言われましてね!」

「先輩? あぁ、あのパツキンね。なんだ、年上の女の人が好きって訳じゃないのね」

「まったく……今日明日は変なことしないでくださいね」


と言いつつ、ふとミライはソウに目をやった。なんとなく物言いたげな顔だ。子供がいるのにつまらない問答をしてしまい、少し申し訳ない気持ちになる。


「そういえば、今日は何を買いに来たんですか?」

「パンだけど、あなた大丈夫?」

「なんのパンかって話ですよ! もう!」

「悪かったわね。ソウの好きなサンドイッチを買おうと思ったのだけど、この時間は作ってないみたい。代わりに何かあるかしら……」


そう言われて見れば、キラキラした銀色の台にのせられているパンは、どれもこれもが美味しそうな香りと見た目であるが、少し寂しい印象を受ける。客足が増える頃になれば所狭しとパンが並ぶのかと思うと、昼頃に来ても良かったかもしれない。来たときにはショーケースに目がいったが、よくよく見てみると休憩する為なのか木の椅子と丸い机も設置されている。


「とりあえずあそこで待ってても良いです? んー、なんか冷やかしみたいで嫌だなあ」

「あっちはカフェね。休むのには使えないけど、どうせだし軽食でもとってく?」

「お姉ちゃんがそうしたいなら私もそうするー!」

「まあ、午前中ずっとと言わずとも、ここで時間を潰せるなら良いですね。冷やかしじゃなくなりますし」

「言っとくけどミライ君の分は払えないわよ……」

「奢ってもらおうとは考えてないので気にしないでくださいよ」


とりあえず方針が決まり、店の人に声をかける。エプロンを着ている若い男性に応対してもらい、案内された席に着いた。とりあえずメインを決めるとパンは食べ放題だそうで、レティはシーザーサラダのセット、ソウとミライはそれぞれオムライスと赤ワイン煮込みのビーフシチューのセットを注文した。


「ミライ君、朝から中々食べるのね……村長夫妻の所で何も食べさせてもらえなかったの?」

「お兄ちゃんいっぱい食べるねえ!」

「別に朝は摂りましたよ。というか、恥ずかしくなってきたのであまり触れないでください」

「そういやソウ、パンは食べる?」

「うん、取ってくるね」


ソウは奥の方にあるセルフのパンを取りに行った。ブランチの一歩手前の今の時間にモーニングを利用する客は少ないらしく、ミライ達を除いて人は見えない。


「昨日は迷惑かけたわね……ごめんなさい。」

「別に改まって謝ってもらわないで良いですよ。どっちかというとイセンさんの胃のが心配ですけど」

「あら、まあ自分のモヤモヤみたいなものを解決したかったのよ。これからインスヴァイトについての話も聞けるかもしれないし、どうせならサッパリした気分で聞きたいものね」

「俺はそこまで詳しくないですけど。レティさんこそどこまで知ってるのですか?」

「お姉ちゃんとお兄ちゃんの分も取ってきたよ、ほれほれー」


解答の前に、奥から戻ってきたソウに対して二人とも軽いお礼を言い、三人になったところでレティが話し始める。


「そうね、とりあえずコスパの良い性能してて、乗った後は体重が軽くなるんでしたっけ。人の魂を使ってるからなんとか……まあ、ここら辺は眉唾よね」

「そうですね……魂がなくなっちゃう~とかそうだね~とか同僚と話してて、冗談なのかある程度本気なのか分からなくなりますね、自分自身でも大分うやむやですね」


一通り喋った後に、まあ、同僚が今どこで働いてるかは分からないですけどね。とボソッと付け加える。


「あとは、十二年くらい前?に見つかった鉱石が使われてるのよね。二年で実用化なんてちょっと早すぎるわよね。私そういうの知らないけど」


二年で実用化というのはおそらく世界画一化計画のことだろう。十年前に計画が始まるに伴い、インスヴァイトの初期型が発表された。


「まあ、そこに関しては画一化が始まったのが十年前で、それ以前も内面で動きがあったと考えるのが良いかと思います。国という媒体を希釈するのにも二年は短すぎると思いますし」

「それもそうかしら。あとは……あとは、叩くと開く?」

「普通は開きませんよ……隊員の静脈認証か何かで開くと言われましたし。でもまあ、俺も少しは話てみます、と」


頼んでいた品が届いたため、口をふさいだミライ。店の人が置いた品々はどれも整った形で食べるのが楽しみになる。


「ちょうど良かったですね、いただきまーす」


各自で食べ始める。すぐにでも話の続きを聞きたかったレティとしては、ちょうど良くもなかったが、話が再開するのを待った。


「あ、それでですね、インスヴァイトにはかなり便利なOS? がありまして、ブラウザーでの検索や音楽の再生が出来るんですよ」

「うん? なんか聞きたいとこそこじゃないって気もするけどそうなのね」

「自分の気持ちに大分正直なようで……あとは、内装が割とゴテゴテです。必要ないレバーとか付いてたりするんですよ」

「うーん、色々教えてくれてありがとうね」


反応はいまいちであまり役に立った気はしなかったが、用意された料理は美味しく、その後はソウとレティの話がメインになっていった。



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