心入れ替えるならば、お友達になってもよろしくてよ!
そういえば、初めて企画に参加しています。初めてすぎて何も分からず、5万字を目指せば良いんだな!という認識です。
ゆるゆる頑張ります。
8歳になりましたわ。
家庭教師?……聞いてくださいますか?
まず、わたくしの、弟が生まれましたの。現在3歳ですわ。可愛い天使ですの。これでもかと可愛がる予定よ。顔立ちは……ね、まだ、分かりませんけれども、色味的にはわたくしと同じく白金に赤目なのですよ。
お母様が、ウサギさんが増えたわうふふ〜と喜び勇んでお揃いのドレスや服を買い回っておりますの。……このウサギさんって、魔物のホーンラビットの事よ。ちょっと、ずれてるのよ。お母様って。その、魔術師としてとても強いので、感覚にずれが生じてるみたい。
それを微笑ましく眺めるお父様は、若干引いていましたわ。巻き込まれてお揃いコーデになってますから、なんというか……可愛い服が増えてますの。家の中だけですわ。
それに、わたくしこの数年、お父様やお母様から色々教わりましたのよ?勿論、お母様から淑女教育もありましたわ。
それに、おじい様にもお会いしましたの。こちらは最近というか、今目の前にいらっしゃいますわ。
初対面の挨拶でおじい様にカーテシーしたら、なんて仰ったと思います?
「この愛らしい挨拶で天に召され、天で儂は死ぬかもしれん。」
と仰ったのよ?それは、もう死んでいるのでは?と思いましたけど、何も言いませんでしたわ。
おじい様とは、辺境伯の方ですわ。王族の方は、祖父母共々わたくしが産まれる前に天に昇ってしまわれたと聞いております。
それで、その辺境伯のおじい様。名前を、オーガスト・ポラリスと言うのですけど……まぁ、大きいのですわ。傷だらけですし。なんと言えば伝わるのかしら……熊さん……そうね、熊さんですわね。熊さんみたいなおじい様なのよ。
「愛い……愛いのぉ……こりゃ確かに聖皇国にやったらいかんなぁ。」
大きな手の平で、頭を撫でくり撫でくりされてますわ。おっきい手だわ。
「そうでしょうそうでしょう。」
「だからと言って剣を教えるのか?本気か?」
「本気も何も、この子にやりたい事やらせるには教えるしかないではないですか。」
「んまぁ……そうだがなぁ……。」
その熊さんみたいなおじい様が、わたくしに剣を教えると言い出したのですわ。お父様が。え?ってなりますでしょ?今言われたのよ?驚くに決まってるわよね?
なんでも、また聖皇国と魔の国がピリピリして来たそうで、わたくしに教える時間が無くなりそうと言うのです。
そこで、おじい様の出番。お母様の兄に家督を譲り、辺境軍に指導者兼顧問として過ごしていた所に、お母様が相談をしたそうなのです。
そしたら、おじい様がいらっしゃいましたの。とりあえず、初孫に会う事を主目的として。
「本当ならば、私が教えるべきなのでしょうが……。」
「それは仕方あるまい。あの2つが争い始めたらとばっちりが酷くなる。」
「その通りなのです。」
「リーリエや。」
おじい様の手がわたくしの頭から離れ、大きな体を小さくしてわたくしと目線を合わせてくれます。
「はい、おじい様。」
「本当に剣を学びたいのか?」
「はい。学びたいです。」
「それは何でだ?女が剣を握る事に否やはないぞ?儂は辺境伯だからな、女の軍人も育てたもんだ。だがな?お前なら魔術師にもなれるだろう?」
真っ直ぐとした目が、わたくしに向かってきます。
わたくしは、胸を張って答えましたわ。
「剣も魔術も学びますわ。わたくし、聖女なんてごめんですもの。お父様と領地と民を護る為に戦って、お母様とお買い物したいんですもの。弟と一緒に剣術と魔術を習いたいですし。もしこの国かどちらかの国に嫁げと言われたら、魔の国を選びますわ。そして魔の国からお家のお手伝いをしますわ!」
「りりりリーリエ!なんて親思いの優しい子なんだ!!」
「ぶはっ!」
お父様は号泣して、おじい様には笑われましたわ。正直でよい!とおじい様に頭をまた撫でられました。髪の毛がボサボサになって、メイドのアリアの視線が痛いですわ。
「賢い!実に賢い!!よかろう!儂だってリーリエと遊びたいからな!!」
「はい!遊びます!」
こういう経緯で、剣術の師範がおじい様になりましたの。
それがもんんんんの凄いスパルタ。実践的な近接格闘も教えてくれましたわ。そこで活躍するのがわたくしのステータス。
ありがとう神様。わたくし自分で自分の身を守れそうです。
「よし、今日はここまで!さ、何して遊ぶかの?」
「鬼ごっこしましょ!おじい様!!」
「よかろう!儂に追いつけたらお菓子を倍にしてやろう!!」
「いけませんよ!お父様!」
と、お母様のツッコミが入るのが日常になりましたわ。弟?弟は小さなおててで、木剣を振り回して遊んでますわ。流石におじい様直々の鍛錬は厳しいですから、我が家の軍の方々が交代制で教えに来ております。勿論、素振りや型からですわ。
それを苦労しながらも楽しんでいるので、将来有望だなと我々思ってますの。
お母様からの指導としては、特筆すべき事はありませんわね。魔術とは何かから始まり、どう扱うのか。また、扱い方を教わりステータスの隠ぺいの仕方を教わりましたわ。さすがにね、聖女は隠したいですからね。
•·················•·················•
と、まぁこんな平和な日々を送っていたらですね、急に国王陛下が我が家にいらっしゃいました。
まるでお父様の留守を狙ったかの様ですわね。今頃ピリピリに巻き込まれてピリピリしてるのかしら。
陛下は、現在継承権第一位である王太子様と共にいらっしゃいましたわ。何しに来たんだマジで。……失礼、お口が悪かったわ。
「陛下。本日はまた、急に如何なさいましたか?」
「やぁ!ポラリス辺境伯。何、姪に会いたくてね。さぁ、ルーカス。ご挨拶しなさい。」
陛下の隣でわたくしを見てくる王太子。見てくるというか、睨まれてますわね。わたくし何もしてなくてよ。
「父上、こいつが本当に僕の従兄弟なのですか?汚い格好してます。」
がつ。っと、音がしました。
陛下が王太子に拳骨。なんてこった。お母様とおじい様なんて、殺気放っていますわ。待って、アリアもなの?ちょっと、室内にいるメイド達も?やめて?わたくし寒いわ。
待って、窓際でバケツ持ってる子はだぁれ!?ダメよ!止めて誰か!!あ……あー……連れてかれましたわ。良かった。
「馬鹿もん。我々が急に来たから訓練途中のリーリエが、先に顔を出してくれたのだ。」
「何故殴るのですか!?」
「お前が失礼な事を女性に言うからだ!!」
我が家の家系って、皆声大きくありません?鼓膜が鍛えられますわね。
「こんなのが、女性?馬鹿言わないでください。男では無いですか!」
……殴って良いかしら?ポニーテールは邪魔なので、お団子にしているだけですわよ。
ちらりとおじい様を見て、頷かれ。陛下、もとい叔父様に視線を移し、頷かれました。お母様は……微妙な顔をしてますわね。
だって、仕方ないではないですか。わたくしが楽しくおじい様と剣をぶつけ合いながら、算数の簡単な計算や、今日の夕飯やおやつはあれが良いこれが良い。と親睦を深めつつ訓練している真っ最中に。
真っ最中ですわよ?陛下が王太子連れて急に来たとか言うんですのよ?待たせるのも悪いと、先に顔だけでもだそう。縁戚関係だから、恰好はするされるだろう。とおじい様が言うから来たのにこの言い方。
やっていいのならば、やりますわ。女性とはいえ、舐められたら終わりですもの。ぺかーっと、淑女の仮面をかぶりましょうね。
「殿下、剣術はお好きですか?」
「は?あぁ、まぁ、習ってはいるが。」
「では、お庭に行きましょう。」
からの、ワンパンコテンパンにしてやりましたわ。3回程。王太子?泣かせましたわよ、こんなムカつく親戚いらないわよ。
「リーリエは強いなぁ。何も見えなかったぞ。」
「我が孫娘は、スキルの使い方がとても上手なのです。」
陛下がニコニコしてます。おじい様はうんうんと頷き、お母様は椅子に座って弟をお膝に乗せて何か話しておりますわ。
アリアもガッツポーズなんてしないの、はしたないわよ。許しましょ。
「僕は王太子だぞ!?」
「わたくし、あなたみたいな親戚嫌ですわ。何でここに来たか、連れて来られたかお分かり?わたくしという親戚と顔を合わせ、我が家が何を成しているのか教わる為では?なのに、わたくしを貶す?その生意気な根性、叩き直してやりましょうか?」
わたくし、多分いま凄い怖い顔しているのでしょうね。淑女の仮面が取れたみたいで、王太子が泣いてしまわれましたわ。弟はお母様ときゃっきゃしてますけど。あそこだけ空気が違いませんこと?とても可愛いわね。そちらに行きたいわ。
「叔父様?で良いのですか?」
「今日は王としてきた訳では無いからね、構わないよ。」
「では、叔父様。口が悪くなるのは、今ならば許されますか?」
「ん……まぁ、良いよ。」
陛下から許しが出ましたので、陛下の目をじっと見つめます。一息ついて、王太子に人差し指を向け、息を吸って言ってやりますわ。
「叔父様、こいつ本当に王太子なのですか?剣術なんて恐らく逃げてますわよ?型は王国軍のものだと思いますが、なっていません。わたくしの弟、バルムヘルツの方が、まだ出来ますわ。5歳児にも劣るなんて、酷いのではなくて?お勉強すらもまともにやってないわよ。わたくしおじい様と剣術の訓練しながら、語り合ったりしているのですけど、わたくしと剣をぶつけ合う間一言も話しませんのよ?力も頭も余裕も足りないこのクソガキが、王になるなんてどうかと思いますわ。」
ふぅ……言ってやりましたわ。後ろから嗚咽と文句が聞こえますが、無視してただ視線を王太子に向けます。なぁにビクついているの。失礼ね。
「こんなのが従兄弟?ただの赤ちゃんじゃないの。」
あーあ、号泣。王太子が。みっともないわね。礼儀を弁えないから、こうなりますのよ。わたくしの従兄弟。
「うーん、リーリエは賢いねぇ。クソガキかぁ。そうなんだよなぁ。」
「陛下?王宮で何かあったのですか?」
「聞いてくれるかい?ポラリス辺境伯よ。側妃がねぇ……私の目の届かないとこである事ない事言ってるみたいでなぁ。そこにリーリエの噂を聞いて、連れて来たんだが。予想以上だな!」
あっはっはっ。と笑う陛下。
「あー、ポラリス辺境伯。」
「はっ。」
「君に頼むのは心苦しいのだが、この子を1年程面倒見てくれないかね?」
「……申し訳ありませんが、ここでは無理でしょう。」
「ふむ。何故だい?」
「孫……リーリエの言う通り、何もかもがなっておりません。陛下のご子息であれば、幾つか加護はありましょうが意味を成しておられない模様。まずは、一兵士として辺境軍に入れた方がまだ宜しいかと。」
「うん、ならばその様にしよう。お願い出来るかな?」
「私はリーリエの教育がありますので、信頼している者に報せを送っておきましょう。」
「頼んだよ。」
陛下とおじい様の会話が終わり、わたくし達の元へ陛下がやって来ました。
汚れるのも気にせず片膝を付き、殿下を立たせます。腕をしっかりと掴み、まっすぐ目を見る様優しく言います。
「ルーカス、お前が今何を思っているか父上に教えてくれるかな?」
「うぐ……く、悔しいです……僕は、王子なのに……辺境にだって、行きたく、ないです……」
「王子という立場は、君の物ではないよ?私の息子であるからこその、王子という立場だ。私がいなくなったら、君は何も出来ないただの子供になってしまう。」
「でも、皆、僕は王子だから、しっかりしなさいと言います。」
「誰だい?そんな事言ったのは……お前はまだ子供だから分からないだろうが、そんな事言う大人は宜しくない。」
あらやだ、お説教ですか?そっと離れましょ。抜き足差し足忍び足でお母様の元へ向けじりじりと、それから走りお母様と弟の元へ。いつの間にかおじい様も席について、お茶を飲んでおりましたわ。
「お嬢様、どうぞ。」
ありがとう。とアリアから汗を拭くタオルを受け取り、汗を拭きます。その間に蜂蜜レモン水が置かれておりました。
「おじい様。本当に殿下を送るのですか?」
「まぁ、根性叩き直せと言われたら、儂はその提案しか出来ないな。それに、側妃様から何か言われたら……ちと困るな。」
側妃様。第二王子殿下のお母上。今お説教を受けている殿下の色味が、王族らしく金髪に赤目ですが弟君は側妃様の血が濃く出たご様子。濃い紫の髪に、夕日色の瞳だそうで。
大人達の会話を掻い摘んでまとめますと、側妃様。暗躍して第二王子に陛下の寵愛を向けようとしているらしい。
そして、殿下を暗殺するかもしれない動きがあるとか無いとか。
噂とはいえ、そんな話が出ているなら避難させるしかないでしょうね。当たり前ですが。側妃と言えど、子供を狙う理由になっておりませんわよ。
ですが、だからってアレはちょっと……ないわー。ないですわー。わたくし相容れませんわー。
「リーリエ。」
陛下がわたくしを呼びました。
「はい、陛下。」
「悪いんだが、この子の話を聞いてやってくれるかい?」
わたくしは黙って、王太子……いいや、ルーカスで。ルーカスに目をやります。ビクビクしてますわ。やぁね。もう怖い顔なんて、してないでしょうに。
ですが、陛下のお願い。家族モードは終わりにして、口を開きます。
「……なんでしょう、殿下。」
「汚いとか、色々言って、すまなかった。」
「殿下。お言葉ですが、すまなかったは謝罪ではありません。きちんとわたくしに謝罪の心を届けたいのであれば言い直して頂けますか?」
「……汚いとか言って、ごめんなさい。」
しょんぼりしてらっしゃるわ。言い過ぎたかしら?と陛下に目をやると、微笑みながらわたくしを見て頷きました。
「許しましょう。」
「本当か?」
「はい。ただ、殿下。わたくしあなた様の近しい親類と言っても、殿下が名乗りませんと、わたくしのお名前をお教え出来ませんの。知っていらして?」
「分かってる……いや、知っている。ごめんなさい。僕はルーカス・プルメザ・サゼンカです。……こんな感じで良いだろうか?」
ちらりと、わたくしを見てくるルーカス。
可愛いらしい顔ですから、ちょっと上目遣いされると可愛いさ爆発しますわね。くらりと来ますわ。
「よろしくてよ。わたくしは一応親戚ですから許しますが、他の方に対しては学び直してくださいまし。」
現在わたくしドレスではないので、ドレスがある体でカーテシーをします。
右手は胸に、左手はスカートを持つ。スカートを持つ側の肘は、90度。右足を少し引いて、膝を曲げる。……今は乗馬ズボンですが。
「殿下、わたくしオリーオン公爵家が第一女、リーリエ・サジー・オリーオンと申します。」
「うんうん。美しいカーテシーだ。将来が楽しみだな。」
叔父様、ちょっとうるさいですわよ。
カーテシーをやめ、わたくしは右手を差し出します。
「わたくしと、お友達になりますか?」
「お友達……なってくれるのか?。」
「よろしくてよ。リーリエと呼んで下さる?リィでも構いませんが、お好きにしてくださいまし。」
「分かった、リーリエ嬢。僕の事はルーカスと。」
「はい、ルーカス様。」
わたくし達は握手をします。
まぁ……結局の所、辺境伯領行きはただの脅しでしたわ。ですが、その後ひと月に1度の頻度でルーカス様が我が家にいらっしゃる様になりましたわ。
「あら、またいらしたの?ルーカス。」
「リーリエ、勉強教えてくれ。」
「その前に鍛錬の時間ですわ。一緒にやるでしょ?」
「やる!」
幼なじみ。従兄弟。所謂親友というか、普通の親戚になりましたわ。いつの間にか呼び捨てで定着しましたし。
一度お父様から、陛下の手紙を見せて頂きましたの。
内容を掻い摘むと、勉強や鍛錬にしっかり取り組む様になった事。側妃様の事をあしらう様になった事。それとは関係なく、弟君と仲良くやるようになった事。
そんな事が書き綴ってありました。
「殿下!その小さな体を生かさずどうしますか!!」
「くぅっ!くっそぉ!!」
「はっはっはっ!宜しいですな!!」
おじい様も小さな子が増えて、ニコニコ。お母様も殿下の心境の変化にニコニコ。弟のバルムヘルツも、ルーカスに懐いてニコニコ。
ニコニコがいっぱいで、わたくしもニコニコ。良い日々ですわ。
書き溜めが終わりそうです。
読んで頂きありがとうございます。感想、誤字脱字。星評価等頂けたら嬉しいです。




