めんどくさいのは嫌いなのよね。
楽しんで貰えるのか悩みながら投稿してます……楽しんでくれたらいいな。
我が家の領地の教会は、とても大きくてキレイですわね。他は知りませんけれど。なんてったってまだちびっ子ですもの。ひとりで外に出してくれるなんて、お家の敷地内だけですわ。当たり前ですけど。
孤児院の子供達と思われる子達と、シスターもお庭で楽しそうにしていますわ。
メイド数人が分担して荷物を持ち、ぞろぞろと教会へと入ります。
「これは!オリーオン公爵!奥様も!」
上質な布とはいきませんが、お手入れの行き届いたカソックを着た神父様が我々に気が付き側に来ました。
「やぁ、シリウス神父。」
「ご無沙汰しておりますわ。」
「いえいえ、そんな。身重でありますのに、遥々ありがとうございます。」
ところで。と言う神父様とわたくしの目が合いました。にっこりしときましょ。あら、にっこり返しをされましたわ。
「なんと愛らしい。初めまして、姫様。私はここの神父であります、シリウスと申します。」
「リーリエです。こんにちは。」
「はい、こんにちは。」
うーん。この好々爺。可愛いおじいちゃまですわね。中肉中背というよりは、細身よりかしらね。
「実はな、シリウス神父。娘のリーリエがどうも、転生者なようでなぁ。夢で教会に来るように言われたと言うので連れてきたんだ。」
「はぁー……なるほどなるほど。」
「妻はつわりが落ち着いたので、孤児院に顔を出したいと言うのでな。連れてきたんだ!」
神父様はうんうんと頷き、感謝を述べました。
お母様はメイド達と孤児院に、わたくしはお父様に抱っこされたまま神父様と共に祈りを捧げに向かいます。
左右対称に置かれた沢山の椅子、その間を歩きます。石でしょうか。わたくしが見た神の姿が、彫像として置かれています。
このお姿については、ずっと昔。勇者と魔王の物語の頃、勇者を助ける為。会話をする為に顕現された姿を、絵の上手だったパーティー内にいた回復役の方が残した絵を元に作成されたようですわ。
さすがに服の方は、神様っぽい布1枚を体に巻いたような服になっていましたけど。……この姿で顕現されたのかしら?スーツの方が似合っている気がするわ。あのスーツ、いい生地だったわね。
「さぁ、リーリエ。神父様の言うことを聞くのだよ。お父様はここで見ているからね。」
お父様が彫像から少し手前の所で、わたくしを下ろします。
「お手をどうぞ、小さなお姫様。」
「ありがとうございます!しんぷさま!」
にやにやしてしまいましたわ。慣れないお姫様扱いですが、わたくし王弟の娘ですから慣れませんとね。
わたくしは神父様と手を繋ぎ、彫像の前へ。神父様から祈る時の姿勢等を、隣で直接教わります。
「そうです。手はこうですよ。」
神父様のしわしわだけど、温かい手がわたくしの手を組んでくれます。手のひらを合わせ、指を指と指の間に組みますのね。
「よろしいでしょう。心の中で呼びかけ、祈りましょう。」
「はい、いのります。」
神様。神様。
転生させてくれてありがとう。
受け入れてくれてありがとう。
わたくし今とっても幸せで、楽しいです。
そんな言葉を心の中で伝えていると、声がしました。
「こちらこそ、元気そうでなによりだ。熱とか出たようだね。その件については、僕にはどうにも出来ないから許して欲しいな。」
「許すも何も、生きてるだけで良かったですよ。」
気が付けば真っ白な空間に、ぽつんと神様とわたくしが座っていました。
視界に入った色に目を向けると、あの時着ていたスーツの姿。髪の毛をつまみ、目の前に持ってくると黒髪でした。
赤いベルベット生地の張られた、猫足の椅子。木目の美しいテーブルは、濃い飴色。テーブルの上にはティーセットとお菓子まで。
「あ、お菓子をどうぞ?夢の中みたいな所だから、夕飯の心配はいらないよ。味は……まぁ、感じるかな。」
「それなら、遠慮なく。」
「さっき、幸せって言ってたね。」
「はい。前世は両親に恵まれませんでしたから。」
毒親と言われる両親の元で、搾取子として育ったわたくし。いえ、小春。夫が小春を家族から、離してくれたのよ。良い夫でしょ?ヘタレだけど。
あの時位じゃないかしら?彼が怒鳴ったのって。かっこよかったわ。
「そうだね。君をここに送った後、両親がどうなったか気になるかな?」
「いいえ。夫の方が気がかりですね。」
「旦那さんか……知りたいかな?」
「知れるのならば。」
うんうん。と微笑みながら、頷く神様。少し目を閉じ、開いて真っ直ぐと私を見てきた。
「旦那さん、今はご実家に戻っている様だね。猫ちゃんもいるよ。しばらくは仕事しながら、妹さんのお子さんの面倒を見るみたい。」
「そうですか。」
「それと、もう結婚はしないとご両親に言ったみたいだよ。」
「え。」
「旦那さん、君の事忘れたくないんだって。毎日君の仏壇に手を合わせて、写真に語りかけているよ。」
何とも言えない感情で、胸いっぱいになる。なんで?私の事なんかより、自分が幸せになる方を考えて欲しいのに。
「そう、ですか。」
「それに、姪っ子ちゃんが可愛いんだって。妹さん、お子さんを産んで離婚したんだってね?」
「とんだ暴力ハラスメント旦那だったので、私達で助けました。」
「うんうん。それを恩に感じて妹さんも頑張って仕事しながら、兄妹で育てるそうだよ。」
「……まぁ、夫が楽しいなら、それでいいかと思います。」
「そうだね。楽しい事、悲しい事。色々あるだろうけど、君は君だし夫君は夫君だもんね。」
「はい。」
「そろそろ時間かな。最後に、イレギュラーのお詫びの話を再度しておこうか。」
「よろしくお願いしますーーー」
ーーー目を開けます。わたくしは涙を流しながら、神像を見上げました。
「?……リーリエ嬢?大丈夫ですか?」
「……はい。だいしょうぶです。あの、しんぷさま。」
「はい、なんでしょう?」
「わたくしは、せいじょになったらどうなるのですか?」
「……公爵様と、お話をしましょうね。」
「はい。」
•·················•·················•
「リィが……聖女?は?シリウス神父、馬鹿な事は言わんでくれ。」
お父様のお顔が真っ青ですわ。神様ったら、ぶっ飛んだスキルを盛りだくさんくれましたのよね。
「リーリエ嬢、魔力は分かりますか?」
「わかりますが、まだならっていませんのでつかえません。」
「先程、祈りを捧げた時のように集中をしてみてください。そして、ステータスオープンです。」
むむむ。と祈りながら、ステータスオープンと唱えます。
半透明なゲームでよく見る画面が、目の前に浮かびます。名前、出身。他にもずらりと文字が並びます。目がチカチカしますわね。
「なんと……」
「嘘だろ……」
お父様達が唖然とする中、わたくしはステータスの内容を確認します。
神様が仰った通り、わたくしがこの先苦労をしないようにと色々スキルやステータスを頂きました。
高魔力に全属性への適正。武器のスキル。回復魔術、付与魔術、召喚術。主に、独り立ちをした時に困らない位のもの。
錬金術もあるのか尋ねましたが、体系が複雑であること。万が一賢者の石なんて作れたら困る。と、神様があまり宜しくないと判断した為、錬金術はないそうです。物語の概念としてはあるそうですが、やろうとしても発動しないようになっているそうです。
神の愛し子。各神々の加護。こちらも、この先困らない様に。とささやかながらの加護らしいですわ。加護って結構大したものだと思うのですよ、わたくしは。神の愛し子なんて、最たるものではなくて?
精霊の友人。精霊王の愛し子(仮)。こちらは精霊さんと出会ってから、学ぶかどうかを決めた方が良いもの。ちなみに、(仮)は、精霊王様ご自身が、わたくしの事を憐れに思ったそうで。わたくし自身を見てから、どうするか決めるそうです。
聖女(仮)。精霊術師(仮)。こちらは今後、わたくしがどういう道を歩むかで、取捨選択をして欲しいもの。
お察しの通り。
(仮)が、取捨選択部分ですわ。他はもう、確定ですわ。悪い事しちゃダメだぞ。とは言われました。
……ほんと、盛りだくさんですわねぇ……。
お詫びと言うには、盛りすぎでは?とは思いますが、どうやら転生者、転移者が前世基準で150年振りだそうで。
ほんとに人違いは稀だった模様。ぽつりと、1000年に1度あるかないかの不祥事と仰ってましたわね。まぁ、受け入れますけど。わたくし最強になれますし。
ちなみに現世基準ですと、50年振り位だそうですわ。現在は、世界で100人いるかどうかなのですって。
「リィは……リィは……リィはどこにもやらんぞ!!」
急にブルブルし始めたと思ったら、テーブルに両の拳を叩きつける音と共にお父様が立ち上がります。
わたくしがびっくりして、お父様を見上げていたら「ごめんごめん。」とお父様が座りました。
「公爵……これは、早急に教育をなされた方が宜しいかと。」
「そうだな……例えばだが、聖女になったらどうなる?」
神父様が黙ってしまわれました。
少しして、神父様は重い口を開きました。ごくり。
「我が国の王族に囲われ王位にと担がれるか、聖皇国に……。」
「ならん!それはならんぞ!!王位なんて聖皇国なんてそんなとこにやってたまるか!!だったら魔の国にやるわ!!王位なんてあってもめんどくさいだけだ!!」
お父様、それはそれでどうかと思いますわ。まぁ、わたくしも2択なら魔の国一択ですが。
聖皇国で聖女と言ったら、皇帝です。いやですわ、そんな面倒な事。なんでもあそこで皇帝になると、家族にも会えなくなり結婚もただ聖女の力を残す為だけの儀式と化してるそうですし……不敬と言われても嫌ですわねぇ……。勿論、王位だっていりませんわよ。
誰に聞いたって?お父様が送り込んだ間諜ですわ。
……1人変なのがいるんですの。わたくしのストーカーなのですけど……こう、感極まった時に現れて、わたくしに高級なお菓子やら、化粧品なんかを献上してくれるのよね。そのついでに、知りたい事聞くとペラペラーっと話してくれるのよ。……ちょっとどうかとはね、思っています。いますけど……美味しいのよ……高級なお菓子って……しかも穴場のやつなのよ……平民の方々が年に1度買えるくらいのやつ……貴族の知る人ぞ知るやつ……美味しいのよ……情報も大事じゃない?だから、その、ほったらかしてますのよ。
なんでしたっけ?……そうだわ。わたくし、聖女になる位だったら魔の国で冒険者でもやりますわよ。強き者が王。っていう国ですから、単純明快。分かりやすくて良いですわよね。わたくし、嫌いじゃありませんわ。そんな国なら、なってもいいわね、魔の国の王。
「ですので、早急に教育を。ステータスを、隠す術を身につけた方が宜しいかと。」
「そうだな……幸い、妻の体調は安定している。基本位なら問題なかろう。」
「私も、この事は墓場へ持って行きます。」
「い、良いのか?」
「この教会がここまで平和になったのも、この町が平和なのも全て公爵様のお陰です。正直、私がこの歳までここで生きていけると思っていませんでした。」
「……シリウス神父……ありがとう……私がやってきた事は無駄じゃ無かったのだな。」
「はい、公爵様。我々この教会の者は、我々町の者は皆、貴方様を愛しているのですよ。」
「ありがとう……」
「おとうさま……なかないで?」
「うん……ありがとうな、リィ……」
お父様の涙が落ち着いた頃、お母様が合流しました。
事情を聞いたお母様も、大層驚き「せせせ聖女!?いけませんいけません!!リィは私と一緒にいるのです!!お揃いのドレスを着てお買い物もするのですから!!」と大噴火。
溢れた魔力で、テーブルにヒビが入りました。すまない!弁償する!!とお父様が謝っていましたわ。
そして、わたくしは。1年だけ、お父様とお母様から剣術と魔術を習う事が決まりました。
その1年の間に、適した家庭教師を探すと仰っていましたが……まぁ、無理でしょうね。理由?お父様とお母様が、この国最強と言われているからですわ。
薄茶の髪の毛に、王家に連なる者の証である赤目。そして、片手で数える程しかいないSランクの元冒険者であり、辺境の地を武力と口八丁で護る我が父。ガウェイン・サジー・オリーオン。
夜月の様な銀髪、翠の瞳。魔術でのし上り、魔術師として魔術師団のトップに立ち、この領地の反対側にある辺境で魔物を狩り、国を護り続ける家に産まれ育った我が母。アンネマリー・サジー・オリーオン。
これ以上ない教師だと思うのですがねぇ……。
ちなみに、わたくしは銀というか白金の髪の毛に、赤目ですわ。顔はどちらかというと、お父様に似ている気がしますけれど。
タレ目ですのよ、お父様って。黙ってると優しそうな顔なのよ。それで元Sランク冒険者で現在軍人なのですから、人は見た目では分からないものよね。
そして、この場面に戻るのです。
「さぁ!素振りからだぞぅ!」
「はい!おとうさま!」
ワクワクしない理由がありまして?
感想、誤字脱字。星評価など頂けたら嬉しいです。
読んでくれてありがとうございます。




