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15話 ~弔い~

 



 テレビのワイドショーでは、連日、根元太蔵の顔が大きく報じられている。


 穴熊神社の宮司が殺人未遂容疑で逮捕されたこの事件は、その後の急展開によってさらなる注目を集めることとなった。神社の境内から女性の白骨死体が発見されたためである。


 警察の発表によれば、遺体は数年前から行方不明となっていた妻の美恵さんである可能性が高いという。これを受け、警察は容疑を殺人と死体遺棄に切り替え、再捜査を本格化させている。


 白髪混じりの眼鏡をかけた元判事のコメンテーターが、神妙な面持ちでフリップを指し示していた。


「……はい。今回のケースですが、まず奥様に対する殺人罪と死体遺棄罪、これに加えてストーカー事件における殺人未遂罪などが併合されます。日本の裁判所は、殺害された被害者がお一人の場合、死刑を選択することには非常に慎重です。ですから、死刑の可能性はまずないと言っていいでしょう。


 しかし、犯行の態様が極めて執拗であること、神職という立場を隠れ蓑に境内に遺体を遺棄していたという隠蔽の悪質さ、そしてストーカー規制法違反を含む再犯性の高さを考慮すると、検察側は間違いなく無期懲役を求刑するでしょうね。判決としても、無期懲役か、あるいは有期刑の上限に近い懲役25年から30年といった、実質的に終身刑に近い非常に厳しいものになることが予想されます」


 計太は深く、重い息を吐き出した。判決が十分に重いものになりそうだったからだ。


 流星の話に寄れば、美恵が行方不明になった当初、警察の動きは鈍かったという。


 日本の警察は「殺人事件」となれば血眼になって動くが、それ以外の事案、特に明確な事件性の見えない失踪などは、人手不足もあって後回しにされがちなのだという。


 しかし、今回の殺人未遂をきっかけに流星が強く働きかけた結果、美恵の遺体を発見することができた。


 これは計太たちにとって極めて重要だった。


 間近で対峙した際、根元が放っていたあの圧倒的な熱量――それは明らかに常軌を逸した、異質なものだった。あの瞬間、直感したのだ。「妻の美恵を殺したのはこいつだ」と。


 根元の目は、自分が受けた屈辱や恨みを決して忘れない人間のものだった。


 もし軽い刑で済んでしまえば、出所したその足で自分たちの元へ復讐に現れるに違いない。それを防ぐためには、あの男をできる限り長く、鉄格子の向こう側へ閉じ込めておく必要があった。


 画面の中で、モザイクをかけられた女性が涙ながらに語っているのは、亡くなった美恵さんの生前の人柄についてだった。


「美恵さんは本当に太陽みたいな人で……お酒を飲むのも、知らない土地を一人で旅行するのも大好きで、周りにはいつも友人がたくさんいたんです」


 それが、根元と結婚してからは、あからさまに笑顔が消えていったという。かつての社交性は影を潜めていった。


「ようやく、弔ってあげられる……本当によかった……」


 美恵さんの友人の涙が、この事件の本当の凄惨さを物語っていた。








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