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11話 ~脅し~

 


 文京区本駒込に佇む、芦屋家のリビング。

 そこにはいつもの三人——流星、計太、そして桜が集まっていた。


 重苦しい空気の中、テーブルの上には凄惨な処置を施された数十個の指人形が転がっている。


 綿が飛び出した首の断面は、鋭利な刃物で一気に断ち切られたかのように滑らかだった。これまでの嫌がらせとは一線を画す、むき出しの憎悪がそこに宿っている。


「なるほど、思った通り根元は相当頭に血が上っているようだね」


 計太の言葉に、流星は苦渋の表情で眉間に皺を寄せた。


「……計太、私達はやりすぎたのかもしれない。犯人をあぶり出すことはできたが、これでは上原さんの身が危ない」

「いや、これでいいんだよ」


 不安がる流星をよそに、計太はあっさりと言い放ち、一枚のチラシをテーブルに置いた。


「次は、これを根元の家のポストに入れる」


「パトロールのご案内……? 警察の名前を勝手に使ったのか?」


「そう。最近町内で不審者の情報があったから、三日後から警察が重点パトロールを開始するっていう内容だ」


 流星が「おい、勝手に公文書紛いのものを作って大丈夫なのか」と咎めるが、計太は「犯人を捕まえるためだし、実害はないから大丈夫でしょ」と取り合わない。



「これで何が起こるんだ?」


「決まってるでしょ。猶予がなくなった犯人は、三日以内に行動を起こす」


 流星は言葉を失い、計太を睨みつけた。


「ちょっと待て、それは上原さんを餌にする『おとり捜査』じゃないか!」


「そうだよ。指人形をドアの前に置く程度じゃ、大した罪には問えない。根元を確実に仕留めるには、現行犯で明確な犯罪行為をさせる必要がある」


「あまりにも危険すぎる!」


「いつ何をされるか怯えながら待ち続ける方がよっぽど危険だよ。ここで一気に勝負をつけないと」


「……やりましょう」


 反対する流星の声を遮ったのは、桜だった。彼女は静かに顔を上げ、力強く言い切った。


「私なら大丈夫です。何としてでも、ここで犯人を捕まえましょう」


「上原さん、本当にいいのか?」


「何を言っているんですか流星さん。私達はもう、引き下がれないところまで来ているんですよ」


 桜は不安を隠すように、流星に向かって少しだけ微笑んで見せた。その覚悟を受け取った計太が、低い声で告げる。


「それじゃあ、最終作戦を発表するよ……」






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