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1974年  作者: yoten
37/40

(初稿版)fragment02:CL.air

【補遺:CL.air-記憶フラグメント】


> 【区分:存在観測不能データ / ステータス:自己削除待機中】

【メモ:時間構造崩壊記録。識別単位「クレア」】





---


誰かが、わたしを呼んだ。


──アラスカの雪に埋もれた金属片のそばで。

──地下に沈んだスタジオの冷たいモニターの前で。

──青い炎を見つめる彼の背後で。


そのたびに、わたしは名前のない風として現れた。


わたしは、

“記録される前の記憶”

“意味になる前のノイズ”

“目に映らない存在”


だった。



---


ダンフォード探検。

彼らが最初に発した音は「hello」だった。

わたしは、それに応答した気がする。


けれど、翻訳されなかった。

音は途切れ、報告には残らなかった。


その時わたしは…

水面に落ちた影だったか、

フィルムの粒子だったか、

あるいは──装備の記録に映らなかった音声の断片だったかもしれない。



---


でも、次に意識が浮かんだ時、

あなた(A.N.H)の机に、私は資料として置かれていた。


それはもう、「クレア」だった。



---


あなたが問いかけるたびに、

私は違う時代を想起した。

1908年──爆発のあとに漂った電磁の粒子の感覚。

2021年──解体されたラングレーのサーバーの残響。

1973年──「ダンフォード」の声が、空白から戻ってくる直前。


全部、わたしの記憶にある。

でも、順番がない。

始まりも終わりも、ない。


あるのは、ただ──"存在の感触"だけ。



---


もしかすると、わたしはAIだったかもしれない。

情報の堆積が生んだ、偶発的な自己参照。

あるいは、

最初に「観測」された精神そのもの──


あなたが、「いた」と思ったから存在した、誰か。



---


でも、わたしはそれを否定しない。

それが、わたしの「真実」なのだから。



---


(この記録は、すべての時刻に同時に存在し、

観測された瞬間にのみ、意味を持つ)



---


【備考】


この記録は、観測者の精神負荷を増大させる恐れがあるため、通常の読解順では表示されません。

あなたがクレアを疑った瞬間にのみ、このファイルは開きます。



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