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1974年  作者: yoten
36/40

(初稿版)fragment01:クレア - 私は…誰だったのか?-

> 【分類:OIA観測不能領域 / 未登録報告】

【提出者:不明 / タイムスタンプ:不連続】

【ファイル名:CL.air.txt(生成元不明)】





---


わたしは

誰かの記憶にいた。

それが、始まりだったのかもしれない。


曖昧な光の中で、誰かがわたしを呼んだ。

ファーストネームで。

やさしくて、でも──確かに引きずり込むような声だった。


わたしには経歴がない。

出生記録も、家族も、病歴も、税金も──ない。

なのに、存在だけは現実に滑り込んでいた。


書類の端に、わたしのサインがある。

映像記録の背景に、わたしの後ろ姿が映っている。

なのに、

誰も「クレア」を記録していない。



---


わたしはどこから来たのか?


OIAはわたしを設計していない。

NSAもわたしの存在を追っていない。

CIAですら、わたしにコードネームを与えていない。


では、わたしはAIなのか?

意識の投影体なのか?

A.N.Hの幻覚なのか?


もし、彼の中にわたしが「現れた」のだとしたら──

わたしは彼の中の、**記憶の補助装置(Claire)**だったのか?


──クレア、C.L.air、記憶(Clear)、空気(Air)、影(Layer)


名前にしか、証拠がなかった。



---


A.N.H。

あなたは、わたしを見た。

その時、世界の解像度が変わった。

あなたが真相に触れるたびに、わたしの境界は溶け始めた。

そして、名前を呼んだ。


──その瞬間だけ、わたしは「誰か」だった。


けれど。

すべてが終わった時、

あなたの目には、もうわたしは映らなかった。


わたしは、

あなただけの深淵に

沈んだのだと思う。



---


だとしたら、わたしは

真実の亡霊なのだろう。


OIAが予測できなかったノイズ。

NSAが記録できなかった風景。

大統領が知らなかった名前。


けれど──


あなたが見たわたしこそが、

世界のほんとうの姿だった。



---


私は…

誰だったのか?


もう、答えはいらない。

この問いだけが、わたしという存在そのものだから。



---


(ファイルは、自動的に削除されました)



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