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1974年  作者: yoten
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(初稿版)第四章・第二節:クレア・モリス

木曜の午後。

クレア・モリスは昼食の時間にあわせて、資料の一部を追加で届けに来た。


> 「ついでに、昼でもどうです? NSAのカフェには期待していませんけど」




クレアの軽口に、A.N.Hは少しだけ迷った。だが、その資料の中身を読み進めるうちに、彼の頭の中はある仮説で埋め尽くされていた。



---


昼時のカフェは空いていた。

政府職員向けの施設らしく、装飾もなく、内装は機能本位のベージュ一色。

安いトレイの上には、サンドイッチとぬるいコーヒー。だがA.N.Hの目は、それらをまったく見ていなかった。


彼は資料のコピーに目を落としたまま、唐突に口を開いた。


> 「これ、見てください……ここ。構成成分が地球由来と断定できないにもかかわらず、表面は通常の酸化反応を示している。つまり、大気中で安定している」




クレアはパンにかじりつきながら、目だけで返事をした。


> 「はい、見ましたよ。D3群の残骸ね」




> 「もしこの物質を、弾丸として加工して──高初速で射出した場合……!」




彼の声が少し大きくなった。

周囲の客が一人、ちらりと振り向いた。


A.N.Hは、それに気づかない。


> 「弾頭は、衝突の際に一時的に変形する。軌道上で人体に接触すれば、その形を保ったまま多重貫通が可能。しかも――」




> 「元の形に戻る。だから損傷が残らない」




クレアが穏やかに補足した。

A.N.Hは驚いたように彼女を見た。


> 「……わかるんですか?」




> 「文書管理部は伊達じゃありません。物理学は専攻外だけど、報告書の“表現”には慣れています。魔法の弾丸が、どう“言いくるめ”られたかも」




A.N.Hは一瞬黙った。

だが、すぐにまた勢いを取り戻した。


> 「これはただの陰謀論じゃない。証拠はある。形状記憶とは違うんです。あれは加熱によって形を“記憶”させる。でも、この物質は──抵抗そのものに応じて瞬時に変形し、直後に回復する」




> 「つまり、理論的には……“思考する金属”ですよ」




クレアは、手を止めた。


> 「その言葉、どこかで聞いた気がするわね」




> 「僕はまだ断定していません。でも、これは兵器開発ではなく、“技術の出処”の問題なんです。1963年のダラスで使用されたそれが、1947年のロズウェルで拾われた素材だったとしたら──」




> 「政府は、魔法の弾丸ではなく、魔法の素材を隠している」




最後の言葉は、まるで何かが“つながった”確信に満ちていた。


クレアは、ゆっくりと紙ナプキンで口元を拭きながら、彼をじっと見つめた。


> 「それを、どこまで報告書に書くつもりですか?」




> 「全部です」




その瞬間、彼女の微笑みは、わずかに消えた。

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