訓練の結果により 87
大変申し訳ございません…!
先週の話は順序を間違えて掲載してしまった為、修正させていただきました…!
混乱を招いてしまい、大変申し訳ありません…!
村に戻り、フィアス達に手分けして討伐した魔獣の解体をお願いし、新しく来た騎士達には見学をしてもらった。
リネアとドラス、グリントとドーラは僕とイリーニャの家に招いた。村の建物は全て新しくなり、前よりもずっと住みやすくなっている。
「本当、良い家になったわね。流石はグスタフだわ」
リネアが満足そうに家の中を見学する。リネアが手配してくれた城大工のグスタフたちは我が村を物凄く良くしてくれたのだ。
「一部屋しかなかった家が、寝室二つに台所まで作ってもらったからね。それに、上下水道まであるんだから、感謝してもしきれないよ」
そう言うと、リネアが無言で胸を張る。その様子に笑い、改めて御礼を言っておいた。
「ありがとうね。今度は大きなお風呂も作って欲しいんだけど」
「お風呂って、浴場のこと? 大貴族じゃないとそんな贅沢なものないわよ!」
ついでに追加のお願いもしてみたが、リネアは両手を挙げてプリプリ怒る。
「ごめん、ごめん。自分で何とかするよ。今後は定期収入も見込めるしね」
そう答えると、リネアは口を尖らせて腰に手を当てた。
「……良いわよ。今度、グスタフ達に声を掛けておくから。その代わり、私が来た時は貸し切りにしなさい? あ、イリーニャだけは一緒に入っても良いからね?」
「え? 私だけですか?」
「それはそうよ」
そう言って、リネアとイリーニャはきゃっきゃと楽しそうに話す。どうやら、大浴場の建設を了承してもらえたようだ。
「なんだかんだで、リネアって優しいよね」
「え? なに?」
思わず呟いた一言に、リネアが振り向く。それに背筋を伸ばし、しっかりと一礼して御礼を口にした。
「リネア王女の御厚意に多大なる感謝を!」
「うわ、嘘くさいわよ。急に何よ?」
リネアは大袈裟に上体を逸らし、嫌そうな顔をする。それに眉根を寄せて口を尖らせていると、ドラスが噴き出すように笑った。
「ラーシュ。普段の態度が悪いから信用されんのだ」
そう言って笑うドラスに、目で文句を伝える。そうしていると、グリントが少し遠慮をしつつ口を開いた。
「……ドラス様。その、報告を聞かなくて良いのですか?」
その質問に、ドラスがハッとした顔になる。
「おお、そうだった。む? グリントも気になっているようだな」
「はい。あまりにも、一ヶ月で変わり過ぎですから」
ドラスの言葉に素直に同意するグリント。その目は真剣である。それに口の端を上げ、ドラスがこちらを見た。
「うむ。それでは、報告を頼む」
ドラスに言われ、簡単に訓練結果を報告することにした。
「全員、スキルは一つ以上覚えることができたよ。特に、上位五班の五十人は二つ以上のスキルを覚えた。最も訓練に積極的だったフィアスさんはスキル三つだね。それと、グランドール式の戦術理解がかなり進んだかな。百人の戦力を等分するように分けたら、中型魔獣一体を十人で怪我なく討伐できると思うよ」
そう報告すると、ドラスとグリントが目を剥く。
「スキル、三つだと……っ!?」
「中型魔獣を無傷……いや、確かに、あの強さは……」
そんな二人の言葉に、リネアが首を傾げる。
「かなりの成果ね。毎回これだけの成果が期待できるの?」
そう問われ、すぐには答えられず唸った。
「う~ん……いや、今回の訓練で思ったけど、騎士として自尊心が強い人は難しいかなぁ。テオドーラ王国の騎士として学んだことを忘れずとも、村のやり方や訓練に積極的に参加することが大事だからさ」
何とか上手く伝えようと思ってそう答えてみたが、その言葉にドラスが眉根を寄せてしまった。
「つまり、ラーシュの言うことを聞かぬ者がいるということか? あのエルネストなどは将来を有望視されている隊長だ。真面目な男で、そんなことにはならぬと思っていたが……」
と、ドラスは呟く。そういえば、エルネストは近衛騎士団から来たと言っていた気がする。そうなると、ドラスの部下にあたる人物か。これは、評価が落ちてしまったら可哀想だ。
「いやいや、とても真面目で良い騎士だと思う。エルネストさんは班を率いる能力も高かったしね。ただ、この村のやり方を覚えるのには向いてなかっただけだよ」
苦笑しつつそう答えたが、ドラスは腕を組んで短く息を吐く。
「……今回の結果を考えれば、将来的にはラーシュの教えは有効であると判断されるだろう。その時、この訓練で戦い方や有用性を理解できなかった者は、出世が難しくなる。参ったな。騎士団の中で、それなりに問題が起きそうである」
悩むドラス。それを横目に、グリントに質問する。
「えっと、騎士団での序列ってそんなに厄介ですか?」
そう尋ねると、グリントは困ったように笑う。
「まぁ、王都騎士団は強い愛国心を持つ、精強な騎士達で構成されているので、その中で隊長や百人長になる人物は、相当な逸材です。剣の腕もそうですが、騎士団の教える規律や戦い方を勤勉に学んできた者達ですから、騎士としての自尊心もそれだけ強く……」
「……そこへ、これまで認められなかった弓使いや盗賊などの職業適性の者が実力をつけてくると……?」
頬を引き攣らせてそう聞き返したが、それにはグリントも答えられなかった。
「……む、難しいところですが、中には嫉妬をする者も出てしまうかもしれません。もちろん、騎士団では上下関係が絶対です。なので、嫌がらせをする者などは現れないとは思いますが……」
グリントは困惑しつつそう答える。その返事に、何とも言えない気持ちでリネアを見た。




