<機械の神>
新章開始!
これまで地球化を進めていく上で、眼下の惑星へとたびたび干渉してきたアリス。
その痕跡は巧妙に隠されて(無いが)地表で生活する原住民たちでアリスの存在を知るものは居ない。
しかし、任務優先で地球化のみに着目してきた弊害として、地表にはかなりの数のオーバーテクノロジーの産物が残ってしまった。
初期のナノマシンのように自壊システムを搭載したものでも、地表で活動する限りは異星人のナノマシンからの汚染を免れず、自壊システムが作動しない装置も多数出た。
なかでも、特別目立ったのは作戦終了後のぬいぐるみ降下兵だろう。
彼らぬいぐるみ降下兵の殆どは、役目を終えた後、物凄い年月を地表の風雨に晒し、自壊システムが働かなくても姿かたちをとどめないほどに損傷していた。
しかし、中には洞窟や地割れの隙間、泥の中等に埋まることにより、まるで地球で言うところの化石のように原型をとどめているものがあった。
元が動物のぬいぐるみをモチーフにしているぬいぐるみ降下兵なので、地表の現地人が原形をとどめている彼らを発見した場合その独特の形状から、これこそが自分たちの祖先ではないか? いやいや、神の使いに違いない。と大騒ぎになってしまった。
それどころか自分たちの種族に似た形のぬいぐるみ降下兵を手に入れた種族が、わざわざご神体として祭るための神殿を作る動きさえ出てきた。
単にモニュメントとして扱われるだけなら大して問題も無いのだが、このままでは遠い将来ぬいぐるみ降下兵の内部解析をされた場合、地表の文明の発展に対して多大なゆがみを生じさせる可能性がある。
これまでのアリスなら「地球化」さえ完了してしまえば、その後の文明がどうなろうと気にもしなかっただろう。
しかし、偶然再生してしまった人間との交流を通して、地表の文明の発達を見守るようになってからアリスは少し考え方を変えていた。
……
静止軌道上、誰も居ない宇宙船の中で人工知能が遠隔操作する外部同期ユニット「アリス」が椅子に腰掛けている。
「こまるわー」
話し相手も居ないのに、まるで人間のようにアリスが独り言をつぶやいた。
「せっかく色々勉強して、体まで人間に近い形に作り直したのに、ぬいぐるみ降下兵の技術が漏れて地表の原住民が絶滅なんかしたら次の解凍処理が出来ないじゃない。」
空中に人差し指でくるくると円を描きながら考え事をする。
「次の解凍処理は地表に生息する彼らの文明が進んで言語会話が可能になった段階を予定してるんだから、それまでは余計なトラブルの元には居てほしくないのよね。」
うーん、と唸りながらしばらく顎に指を当てて考える。
「よし、面倒だけど地表に残ってるオーパーツは今のうちに全て破壊しておいたほうがよさそうね。」
えーと、後何か忘れてることは無いかしら? と小声でつぶやき
「そうね、少なくともぬいぐるみ降下兵のウェポンラックの中身は全部処分させてもらいましょう。」
前回の人間との約束を思い出して、思い出し笑いをする。
きっと今の自分を見たら次の人間は凄くびっくりするに違いない。
「安心して地表を探検できるように準備しておかなきゃ!」
こうして機械の神と自称する、はた迷惑な存在が各地のご神体を破壊して回るという恐ろしいイベントが地表を襲うことになった。
***次回予告***
「夜勤ご苦労様」
「え!? だ、誰だお前!」
ご神体を守る獣の民に迫る危機。
つ エイプリルフール
おしまい。
だまされてくれましたか?(;゜д゜)ゴクリ…




