双子の学園生活 2
「レティシアさん、元気ないね」
「どうしたんだろう……」
ルードとリアは、首をかしげた。
二人にとって、フィアーレ公爵家は両親の仇ではある。
だが、レティシアに恨みがあるわけではない。
大人になるに従って、敵対する未来はあるのかもしれない。
しかし、王立学園の中では、派閥や身分は関係ないのだ――少なくとも建前上は。
ルードとリアは、それが建前であることを理解できないわけではない。
それどころか、その建前を利用することができるくらい理解している。
ルードとリアは考えた。
二人は人と仲良くしたいときには、メリッサならどうするだろうかと考える。
継母であるメリッサは、いつでも優しくて不思議と人から愛される。
「お母さまならどうするかな?」
「クラスメートと仲良くしたらよろこぶ?」
本来のルードとリアは、多くの優れた魔術師を生み出してきたロイフォルト家の者らしい考え方をしている。ロイフォルト家に生まれた者は誇りを持たなければならない。
魔力が強いものは、持たないものを守るものだ。
フェリオも幼い頃からそのように育ってきたはずだ。
しかし、ルードとリアは無意識のうちに、メリッサの考え方に大きく影響されている。
判断基準の優先順位は、人の役に立つか、人が喜ぶか、仲良く出来るか――そのあとにロイフォルト家の者としての矜持なのである。
「「……レティシアさん、どうしたの?」」
少しの間悩んだけれど、ルードとリアはいつもと違って元気がないレティシアに声を掛けることにした。
二人が声を掛けると、レティシアは顔を上げた。
金色の髪の毛はツインテールで、今日も丁寧に巻いてある。
毎朝、こんなふうに整えるなんてとても大変そうだとルードとリアは思った。
紫色の瞳は珍しい。猫のように少しつり上がった目をレティシアはちょっぴり潤ませた。
「――っ、敵の情けは受けないわ! 次は絶対に、あなたたちに負けないんだから!」
レティシアは、そう言うと席から立ち上がり廊下に走り去ってしまった。
予鈴が鳴り始めた。
レティシアは、担任の教師エレンに連れ戻されてきた。
その目は完全に潤んでしまっている。
「さて、レティシア君、席に戻ろうか……」
「はい、先生」
王城にいた猫を助けてほしいとエレンに頼んだときのことを思い出す。
二人は隣の席で顔を見合わせてた。
ルードとリアは知っている。
先日、木に登ってしまった猫とレティシアは関係している。
あの後確認したら、レティシアが現れた茂みには、餌が置かれていた。
つまり、彼女は王城に通うといつも、あの猫を世話していたのだ。
――たぶん、レティシアは悪い子ではない。
だが、レティシアは二人のことを涙目でにらんでいる。
ルードとリアは、声は掛けたがレティシアに何かをしたわけではないはずだが……。
メリッサのようにみんなと仲良くなるのは、なかなか難しいのである。





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