光と闇の魔法
ルードとリアは、それぞれが光と闇の魔力を持っていることを隠して王立学園に通っている。
だが、屋敷にいるときには、闇と光の魔石を使った首飾りを外して、魔力を開放している。
「ずいぶん溜まっちゃったね」
「どうやって魔力を使おうか」
ルードとリアは、額を突き合わせるように相談した。
ラランテスから贈られた魔道具で、王立学園にいる間光と闇の魔力を隠しているせいで、光と闇の魔力が溜まりに溜まってしまったのだ。
「熱出したら、お母さまが心配しちゃう」
「ダメダメ! お母さまに心配掛けるのはダメ!」
「ねえ。あれをやってみる?」
「あれかぁ、かっこよかったよね」
二人はしばらくの間、地面にしゃがみ込んで拾った棒で魔法陣を描いていた。
「お父さまは、自分の魔力を交互に使っていた」
「光と闇の魔力は打ち消し合うけど、魔法陣を上手く使えば弾き合うって」
「「ラランテス先生に教えてもらったもんね~!」」
ルードとリアはにっこりと笑った。
* * *
庭にメリッサの悲鳴のような叫びが響き渡った。
「……ルード! リア!」
メリッサは冷や汗をかいていた。
遙か頭上、ルードとリアが手を繋いで空を飛んでいる。
「危ないわ! 降りてきて!」
魔法陣が金色と黒、交互に輝いている。
その魔法陣を飛び石のようにしているのだ。
「――坊ちゃん、お嬢様、そろそろ降りてきてくださいませ」
それは、メアリーの声だ。
ブワリ……と風が勢いよく吹き上がり、ルードとリアを捕らえた。
ルードとリアは、キャッキャと笑いながら、空から降りてくる。
二人の両足が地面に着地したのを見て、メリッサは胸をなで下ろした。
「心配したわ!」
メリッサは、ルードとリアを抱きしめた。
もちろん、この家には頼もしい三人の老侍女がいるのだから、二人が怪我をすることはないのかもしれないが……。
「「ごめんなさい、メリッサ」」
二人は素直に謝った。
「でもね、学園にいる間、ずっと光の魔力を抑えているから、あふれそうになっちゃうの」
「そうなの、たまに使わないと身体の中でグルグルしちゃうの」
「……それは、危険ね」
ロイフォルト伯爵家に輿入れしたときには、魔法についてほとんど何も知らなかったメリッサだが、今は中級魔法学を終えて高級魔法学を学び始めている。
以前、フェリオも言っていた、「使わなければ使わないで体内で過剰な魔力が荒れる」と。
魔力を持たないメリッサは、魔術師になればなんでも叶うし、いいことばかりだと以前は思っていた。
けれど、魔法を使い過ぎて熱を出したフェリオやルードとリアを看病し、使わなければ魔力が荒れるというのだから、やはり以前フェリオが言っていたとおり、便利なばかりではないのだろう。
「……おや、もう終わりかね」
振り返ると、淡い紫の髪に銀色の瞳の男性が立っていた。
「「ラランテス先生! 家に来てくれるの、久しぶりだね!」」
「ああ、預かってきたものがあったのでね」
「……預かってきたもの?」
ラランテスが差し出したのは、一通の手紙だった。
本日、カドコミにてコミカライズ2話(1)更新です。
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