表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い双子の子育てと契約妻は今日で終了予定です【書籍発売中&コミカライズ近日公開】  作者: 氷雨そら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/78

百合とオリーブと斧 3


 そこに立っていたのは、ラランテスだった。

 今の呟きは、きっと彼に聞こえてしまったことだろう。

 メリッサは己の迂闊さを呪った。


 ラランテスは、少し口の端を歪めるとメリッサに近づいてきた。


「すまない、玄関でベルを鳴らしたが誰も出てこなかったものでね」

「三人ともあれ以来腰を痛めてしまって……」

「腰痛に効く魔法薬を持ってきたから、あとで渡してくれたまえ。さて――」


 ラランテスは、魔法薬の瓶をメリッサに手渡すと、本をのぞき込む。


「そこに書いていることは事実でもあるが、魔力があることで、逆に人より長生きする者もいる」

「……」

「あくまで平均でしかない。ロイフォルト伯爵に当てはまるとは限らない」


 メリッサを慰めるために言っているのかと思ったが、ラランテスは明るく笑う。


「魔法に詳しい家に生まれなければ、子ども時代に、魔法の暴走で命を失うことが多いんだ」

「……そんな」


 メリッサは、子どもが大好きだ。

 ルードとリアのような力を持ったこ子どもたちが、そんな目に遭っていることに驚いた。

 それと同時に、メリッサは自分に何かできることはないかとも考える。


「さて、先日は迷惑を掛けてしまったな」

「いいえ、問題は解決したのですか?」

「そうだな――今回の件に関しては解決したか」


 ラランテスの研究室の水槽は、魔法で保護されていたという。

 簡単に割れるはずがないのだ。


「私が王立学園で子どもたちに教えることをよしとしない、魔術精霊派の教師の仕業だったよ。すでに罷免となったから安心したまえ」


 ラランテスはそう言った。

 確かに、水槽の中の魔獣はそれほど危険な物ではなかったし、命を奪われるような事件ではなかった。

 おそらく、ラランテスに罪を負わせて学園から追い出そうとしたのだろう。


 ――だが、今回はたまたま命を奪われるような内容でなかっただけで、王立学園内ですら完全に安全とは言えないのだ。


「ルードとリアが心配です」

「君はいつも誰かに手を差し伸べる方法を探している。その点はとても好ましく思っている。だが、あの二人より自分のことを心配するべきだろう」


 ルードとリアは魔法を使うことが出来る。

 そういう意味では、メリッサよりも強いに違いない。


 だが、二人はメリッサにとって守るべき子どもだ。


「ラランテス先生も気をつけて下さい」

「肝に銘じよう」

「――子ども時代の魔力コントロールの訓練は、とても大事なのですね」

「それについては異論は無い」


 ルードとリアは、以前無理な魔法を使って熱を出したことがあった。

 しかし、二人はフェリオが戦場に行くまでは彼に、そのあとはラランテスに教えを受けていた。

 だから、同世代の子どもたちと比べれば、魔力のコントロールに秀でていた。


「ルードとリアが無事に育ったのは、ラランテス先生のおかげです」

「それは結果論だろう。すぐに結論づけずほかの理由を考慮するようにといつも――」


 メリッサは、そこでラランテスから以前受け取った懐中時計を取り出した。

 そこには、百合とオリーブの紋章が刻まれている。

 この紋章は、東にあるエールティティア国のものだ。


「……まあ、何にせよ君たちが無事で何よりだ」


 エールティティア国は、ラランテスが若い頃にこの国の属国となった。

 そのときに、ラランテスは祖国を離れてこの国に来たのだ。


「おや、私の出自が気になるのかね?」

「……無理に聞くようなことでは」

「ふむ、歳を取ったせいか、たまに誰かに思い出話をしたくなることがあるのだよ。もしよかったら、聞いてもらえるかね」

「ええ、もちろん。聞かせていただきます」


 メリッサはラランテスを応接間に案内した。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


k7ao3x5k73h97l0f69osm8875q94_w3u_2c2_3fe_t8qr.jpg 書籍1巻発売&コミカライズ準備中
▶︎ KADOKAWA公式
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ