078 二人の未来へ
「……レオン様がいない。執務室かしら」
「セレスティア様、殿下は外でアルタイルに指示をしております」
突然現れたディートリヒの姿にセレスは後ろずさるがよくあることのため慣れが出てきた。
「殿下はお疲れですので」
「そうですよね。私が行っては……」
「めちゃくちゃ甘やかして殿下のモチベーションを上げてください。殿下の働きはセレスティア様にかかっています」
「そこまでですか!?」
さぁさぁと囃し立てるように外へ出たセレスはすぐにレオンの姿を見つける。
レオンのアルタイルを腕に止まらせて話す姿は絵になるように美しい。
夜だという金色の髪は光ってみえ、セレスの胸の鼓動が早くなる。
「レ、レオン様」
声が上擦る。
「セレスか。良かったら少し話さないか?」
「もちろんです!」
アトリエの外にはベンチが置かれており、二人はそこで座ることになる。
アルタイルがセレスに近づいた。
「ピュイ、ピュイ」
アルタイルの鳴き声にセレスも声を出す。
「ピュイ、ピュピュイ?」
「ピュイっ!」
セレスの得意の動物の鳴き真似。アルタイルと会話をするように何度も言葉を交わしていた。
「ピューイ!」
アルタイルは飛び立ち、去っていった。
「随分会話が弾んでいたな。何の話をしていたんだ?」
「分かりません。アルタイルの言いたいこと何一つわかりませんでした」
セレスはにこりと笑う。
「君のそういう所、やはり好ましいな」
レオンはくすりと笑い、セレスも思わず笑ってしまう。
二人の間は良い雰囲気となっていた。
「第三回について、声優を増やす判断をしたことを君に謝らなければならないな」
そんな雰囲気でレオンは引き締めた表情となる。セレスもまた不安な表情を見せた。
「本当は声優を君とジュリアンだけで進めたかったんだが、これから大きくなるアニメで二人では足りないと痛感した」
「そうですね。今回でも限界がありましたからね」
ジュリアンは元々声幅的に主人公にはむいても、複数人には向かない。
セレスは複数人を行えるが技術的な面で演じ分けに体力を消費してしまう所があり、肝心なヒロインの演技が平坦になってしまう所があった。レオンはそれを理解した上で役者を増やし、セレスとジュリアンを主役として目立たせたいと考えていた。
「もしかしたら新しいプリマステラ候補が現れるかもしれませんね」
「……いつだって天才は突然現れる」
「平民の中にはきっと私やジュリアンとは違った良い声優がいるのだと思います。でも」
セレスは真正面からレオンに向かって声を上げる。
「プリマステラの座は譲りませんし、負けません!」
「っ!」
「レオン様が監督をしてくださる限り、私はプリマステラでい続けます。あなたが一番だと言ってくれたこの声で……、私はアニメを演じ続けます」
「ふっ……」
レオンは安心したように笑った。
「俺はいつまで経っても監督業を引き継ぐことができないな。いっそ皇太子を引き継いだ方がいいかもしれん」
「そんなことできるんですか!」
「どうだろうな。君がプリマステラとしてヨノエルに並べばそういう道もあるのかも」
「……私頑張ります!」
(そしていつかあなたの隣に立てる日を願うため……)
セレスティア・ハルモニアのプリマステラへの道はこれからも続く。
2章完結となります。
ハルモニア子爵の来訪やオデットのアニメ視聴からロデリックの件などまだまだ書ける内容はありますが、それは3章にまわすということで……。
次話から3章というわけですが書きたい所まで書けたし、人気的にもここぐらいで終わっておいた方がいいかなと思うので完結設定と致します。
久しぶりの異世界恋愛作品。人気は皆無でしたが作者自身は楽しく書けたおかげで一人だけ楽しんでる趣味作となりました。
ではまたどこかで。




