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031 スタッフロール

【BGM・効果音担当:リディア・ノイマン】


「今回のアニメの音楽は全てが彼女が担当した。音楽団を一切使わない、リディアの魔法による楽器演奏。ソノーラ魔法の賜だ」


 リディアは立ち上がり、ぺこりと礼をした。


「楽団じゃなくて一人であれだけの音楽を奏でたというのか!?」

「ソノーラ魔法とはいったい……。あとで調べてみるか」

「皇立管弦楽団クラスの迫力だったぞ」

「本当に良い音楽だった。楽譜とかもらえないかしら。家で弾きたいわ」


 この作品、リディアの負荷はかなり高かった。

 約40分、その場に適した音楽を選定し、楽器も組み合わせてBGMを作ったのだ。

 剣技や風の音などもソノーラ魔法で再現をしている。かなりの時間を費やしていたといっていい。

 この期間内リディアはコンサートを1度も出来なかった。ただ、それだけの情熱をかけるだけの価値がアニメにはあったのだ。


「さて最後は声優の二人を紹介する。まずは主人公、エルヴィンを演じたのは彼だ」


 レオンは主演の二人を紹介する。


【声優:エルヴィン役  ジュリアン・ベルモント】


「帝国楽劇にその人あり、ベルモント伯爵の子息か」

「凄くかっこよい声だった!」

「見事な演技だったぞ!」


 パチパチと拍手が響き、ジュリアンはテーブルから立ち上がり、大きく頭を下げた。


「ジュリアン、何か話すか?」


 ジュリアンはあがり症ゆえに首を何度も横に振った。

 そんな様子に皆の笑いを誘うわけになったが。


「そしてもう一人。ヒロインであるアデライードを演じた演者を紹介する」


「あの凜々しい演技をされたのはどなたなのかしら……」

「とっても特徴的な可愛らしい声だったわね」

「あそこのテーブルに座っている誰かじゃないか?」


 リディアやジュリアンがこのテーブルにいたため、セレスを含む何人かの令嬢達が見られることになる。


【声優:アデライード役  ステラ】


「ステラ……。それが演者の名前か」

「しかし家柄がどこにも書いてないぞ。どの人なんだ」


【演者:他、村長、成人女性、村の女の子、男の子、犬  ステラ】


「どれだけの役をやったんだ!?」

「アデライードと村長のおばあさんが同じ役!? 嘘でしょ。声が全然違うじゃない」

「子供や動物まで……とんでもないな」

「ステラはどの令嬢なんだ!」


(うぅ……めちゃくちゃ見られてる! でも絶対反応しないようにって言われてるしなぁ)


 ステラことセレスは口々に言われていることで動揺を隠しきれなくなっていた。

 そしてたくさんの声を操っていたことに誰も気づかなかったことを喜ぶ。


「ステラのことだが」


 騎士達に疑問に対して、レオンは声を上げる。


「私の判断でアデライードの声優名を公開しないことにした。その代わり、彼女には芸名という形でステラという名前を授けた。これからもステラはアニメで様々な役を演じ続ける」


「そういうことか。想像が膨らむな」

「アデライードの演者がヨノエル様とかだったら納得だが、どこにでもいる令嬢だったらイメージ崩れるもんな」


 レオンの判断に皆が納得するような言葉が出た。

 アニメのキャライメージと演者のイメージがかけ離れすぎるのはノイズとなってしまう形となる。特に今作におけるアデライードはそれほどまで騎士達に印象をつけた。


(ふぅ。私だとバレなかったみたい。レオン様、ありがとうございます)


「それでは余興はこれで終わりだ。諸君達についてはアニメに対するレポートの提出をお願いする。今後のアニメ制作の参考にさせて頂く。それでは最後の言葉をアデライードに言ってもらおうか」

「えっ」


 騎士達が声を発したと同時にアニマ・メドゥスが発動。最後の1枚のイラスト。アデライードが描かれた1枚絵のイラストが動き始めた。


『帝国騎士団遠征中隊の皆様、また会えましたね。アデライード・リヒテンシュタインです。あ、でもアニメ見てくれた方はわたくし正体待を知ってくれてるんですよね。アニメ、どうでしたか? 楽しんでくれましたか?」


「めっちゃ楽しかった!」

「アデライード皇女殿下ばんざーい!」


 陽気な騎士達からそんな声が上がる。


「あんなの収録してたんだね。僕、知らなかったよ」

「レオン様が最後にやろうって言われて、昨日録ったんです」

「本当にギリギリまで仕事してわけね」


『実はこの後、ロビーの方でオスカー様が描かれたわたくしアデライードの書き下ろしプロマイドをお売りします。あの、可愛いと思ってくださったら是非買ってくださいね』


 半数近くの騎士達の目がきらりと光る。ここは遠征中隊。女性に飢えた男性騎士達が多い部隊であった。その猛者達は財布を手に取る。


『火竜やエルヴィンのプロマイドもありますのでそちらもどうぞ』

「そっちだったら欲しいかも」

「火竜カッコ良かったよなぁ」


 女性騎士や一部の男性騎士はそちらの方が引かれるようだ。


「帝国楽劇では演者プロマイドは取引されるからね」

「トップスタァのヨノエル様や主席男性俳優(ディーヴォ)のアレクサンダー様のプロマイドは高値で取引きされてるものね。そうは言っても……、あざとすぎない?」

「可愛いと思ってくださるって……すごいセリフ吐くね。あざとい」

「私が考えたんじゃないです! レオン様がこういう脚本の方が男には刺さるって言うから!」


 ジュリアンもリディアも呆れてしまう。レオンもノリノリで脚本を書いたことがよく分かる内容であった。


『それではこれからもお仕事を頑張ってください。星々輝く大帝国あれ!』

「星々輝く大帝国あれ!」


 帝国の標語である【星々輝く大帝国あれ】をアデライードに言わせ、第1回のアニメ公開は大盛況のまま終わりを迎えた。


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