029 公開:火竜討伐記~復讐の焔とリボンの騎士~④
:村の集会所。 エルヴィン、アデライード、村長が集まっている。
:火竜を倒すために騎士達は作戦を練っていた。
:テーブルに地図が広げられている。
『火竜の弱点は腹部だ。でも空を飛んでいる限りそこに到達できない』
『まず、地上に引きずり下ろす必要がありますね』
『……それなら、あれを使いましょう』
:村長が村人に用意させたそれは破壊槍と呼ばれる決戦兵器であった。
『あれで翼を打ち抜ければ』
『火竜は飛べなくなる。その時が奴の最期だ』
:火竜を引きつける役をアデライード。破壊槍を使うのがエルヴィンとなった。
『駄目だ、危険すぎる!』
『大丈夫です。エルヴィン、当ててくれることを信じていますから』
:その夜、騎士達を追ってきた火竜が村まで迫っている事分かった。
:最後の戦いが始まる。
すでに誰もが無言となっていた。最初は口々に感想を言い合っていた騎士達が完全に見入ってしまっていた。
皆がまっすぐイラストを眺めている。
「いよいよ7枚目ですね」
「ああ、最高のイラストと最高のアデライードの演技を見てもらおうか。アニマ・メドゥス発動!」
:火竜が村の上空を旋回する。
:村人達は退避して、騎士達が集まり、弓を構えて矢を放つ
:火竜は火炎弾を吐き出して、村は襲われて、燃えていく。
:火竜の上空からの襲撃、騎士達は鎧の上から切り刻まれた。
『エルヴィン、わたくし子供の頃、会ったことがある気がします。このリボンをくれたのはきっとあなた』
『アデライード!?』
『立ち向かってみせます!』
:アデライードは剣を構えて前に出る。
『こっちよ、火竜!』
: 火竜がアデライードを見る。 燃える瞳。
『グルルルルッ!』
『怖いわ。でも!』
:エルヴィンの姿が見える。エルヴィンは 破壊槍を構えている。
『エルヴィンの射撃を信じる……!』
:火竜が完全にアデライードに注意を向ける。巨大な体が動く。
:火竜の前脚が地面を叩く。ドォンと大きな地響き、アデライードはよろける。
:それでも走るのを止めない。火竜との距離が縮まる。
:エルヴィンは破壊槍を構えて、狙いを定める。
『アデライード……もう少しだ……!』
:汗が流れ、手が震えている。
:アデライードは火竜の目の前で立ち止まる。剣を構える。
:時が止まったように 音が一瞬止まる。静寂の世界。
:火竜とアデライードは見つめ合う。圧倒的な大きさの差。
『わたくしの名はアデライード・リヒテンシュタイン。火竜よ。頭が高い、ひれ伏しなさい!』
:アデライードは剣を空へ、堂々した佇まいで啖呵を切る。完全に火竜はアデライードしか見ていなかった。
:火竜が口を開く。喉の奥で赤い光が渦巻き始める。小さな炎が見える。
『来る……ブレスが……!』
:アデライードの顔に汗。でも剣を握る手は震えていない。
『まだ……まだよ……!』
:熱風がアデライードを襲う。髪が揺れる。そしてリボンがほどけ風になびく。
:バランスを取るために火竜の翼が完全に広がった。
『エルヴィン! 今っ!』
『落ちろっ!』
:ヒュォォォォッ!! 凄まじい効果音と共に破壊槍が光を放ちながら飛ぶ。空を切り裂く。魔法の光が尾を引く。
:火竜がブレスを吐くと同時、アデライードの横を破壊槍は通り過ぎ、火竜の右翼が裂け、骨が砕ける音がする。
『ギャアアアアァァァァッ!!!』
:翼が力を失い垂れ下がる。片翼では飛ぶことはできない。
:火竜が地面に向かって落ちていく。
『アデライード!』
エルヴィンが近寄る。
:アデライードが立ち上がる。焦げた鎧は傷だらけ。でも剣は握っている。
『エルヴィン!』
『腹部を狙う! 行けるか』
『分かったわ!』
:火竜が立ち上がろうとする。でも翼が動かない。
:火竜が口を開く。至近距離でのブレス。
:エルヴィンは火竜の左側から、アデライードは火竜の右側から。
:二人の視線が交わる。 頷き合う。
『今だ!』
『はい!』
:二人は同時に跳躍し剣を振りかぶる。
:二人の剣が同時に火竜の腹部を貫いた。
『グアアアアァァァァッ!!!』
:火竜の体が崩れ力が抜けていく。火竜の目から光が消えた。
:火竜は倒れ静寂。
エルヴィンとアデライードは火竜の側に立っている。 息が荒く、傷だらけ。 でも立っていた。
『倒した……』
『ええ……』
:二人は見つめ合う。 そして笑顔を見せた
:遠くから騎士達の歓声が聞こえた。
『……ありがとう、アデライード。お前がいなければ……』
『私こそ……あなたを信じて良かった』
7枚目のアニメが終わり、いよいよ最後の1枚となる。
楽しい時間もこれで終わりだ。レオンは最後のアニマ・メドゥスを発動した。
「セレス。8枚目が終わったらホールの明かりがつく。今の間に席へ戻るんだ」
このタイミングでレオンの側にいたら別の意味で騒ぎになってしまう。セレスはその意味を瞬時に理解した。
「分かりました。レオン様、最後まで頑張ってください」
「ああ、後で乾杯でもしようじゃないか」
セレスはすっと後ろからまわって、座席へ戻った。
そのまま最後の1枚を眺める。




