49、バーニーとライラ
ある夜、ベティ達はロージーを残し、いつもより早めに夜のミサに出かけた。
「ベティ、私たちは少し修道士さんとお話をするから席を外しますよ」
「はい、お父様、お母様」
ベティが一人で教会の後ろの方の席に座っていると、バーニーがやって来た。
「こんばんは、ベティ様」
「まあ、バーニー、お久しぶりです」
いつもなら、バーニーから声をかけることは無いので、ベティは嬉しかった。
「今日はクライド様はご一緒では無いんですか?」
バーニーの言葉使いも丁寧になっている。
「いいえ、まだお会いしておりませんわ。でも何故?」
ベティの問いかけに、バーニーは俯いて言った。
「いえ、いらっしゃらないなら別に……」
「私に何か用事があるのですか?」
ベティとバーニーの会話に、クライドが口を挟んだ。
「まあ、クライド様。ごきげんよう」
「ごきげんよう、ベティ様」
「あの、マナー講座の件、ありがとうございました。クライド様」
礼儀正しく礼をするバーニーに、クライドは笑顔で頷いた。
「何か、よいことでもありましたか?」
「いえ、あの……」
バーニーが答える前に、少女の声がした。
「バーニーさん、こんばんは」
「こんばんは、ライラ様」
ベティは目を丸くした。
「まあ、可愛らしいお嬢さんね。はじめまして、ライラさん」
「こんばんは。貴方はフローレス家の……」
ライラが言いよどんでいると、ベティが笑顔で挨拶をした。
「私は、ベティと申します」
「はじめまして、ベティ様。私はライラ・クレーク。お父さん達は畑で働いてます」
「そうですか」
「それでは、失礼致します。バーニーさん、またね」
ライラはクライドにも軽く会釈をしてから、家族の元へ去って行った。
「バーニーさんにも気になる人が出来たということですか?」
クライドは素っ気なく言った。
「まだ、そこまでは……でも、仲良くなれたら良いなとは思っています」
バーニーが珍しく照れてそう言うと、クライドは言った。
「それでしたら、勉強に力を入れる必要があるでしょうね。ライラさんに、貴方が孤児という事は伝えたのですか?」
「……いいえ、まだです」
「早めにお伝えした方が、良いと思いますよ」
クライドの言葉に、ベティも頷いた。
「そうですわね。事実は早めに知っておきたい物ですわ」
「俺、じゃなくて、私にはまだ心の準備が出来ていません」
バーニーは俯いたまま言った。
「バーニーさん、気持ちを伝えるなら、修道士として働けるよう勉強をして自立された方が良いでしょうね」
「……はい、クライド様」
三人が話していると、ベティの両親が戻って来た。
「それでは、私はこれで失礼致します。またお会いしましょう、クライド様、バーニー」
「はい、ベティ様」
ベティは小さな恋の気配に、温かさと難しさを感じていた。




