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48、春のピクニック

「ロージー、来週末はクライド様とピクニックに行きますよ」

「分かりました、ベティ様」

 ロージーはそう言うと、埃をかぶりかけていたピクニック用品を取り出して、ロージーの部屋に置いた。

「あら、気の早いこと」

 ベティがそう言うと、ロージーは笑って答えた。

「食器を磨いておきたいので」


 あっという間に一週間が経った。

「ベティ様、お迎えに参りました」

 クライドは男性と馬車から降りて、ベティに声をかけた。

「クライド様、今日はお一人ではありませんのね?」

 ベティの問いかけに、クライドは微笑んで言った。

「はい、先日マナー講習をしたロイスをつれてまいりました」


「初めまして、ベティお嬢様」

「初めまして、ロイス様」

 ロイスは物腰穏やかに、ベティに一礼するとクライドのやや後方に移動した。


「それでは、今日は何処に行きましょうか?」

 クライドがベティに問いかける。

「秋に行った湖にまた行きたいですわ。春になって、違った景色が広がっていると思いますから」

 ベティが嬉しそうに答えると、クライドは頷いた。

「そうですか。それは良い考えですね」

「それではまいりましょう」

 クライドの乗ってきた馬車に、ベティとロージーも乗った。

 四人は季節の話や、最近読んだ本の話など、とりとめなくおしゃべりをした。


「そろそろ、湖ですわね」

「そうですね」

 湖に着くと、先にクライドとベティが馬車から降り、ロイスとロージーは荷物を持って後から降りた。


「風が気持ちいいですね、ベティ様」

「そうですわね、クライド様」

 ロイスとロージーは大きな木のそばに布を敷き、食事の準備を整えはじめた。

「少し歩きませんか?」

 クライドの提案に、ベティは笑顔で頷いた。

「ええ」


 湖には大きな鳥が何匹か浮かんでいる。青く染まった木々が水面に映り込み、絵画を思わせる風景だった。

「こんなにのんびりとした気分は久しぶりです」

 クライドがしみじみと呟くように言った。

「そうですわね」


 湖の傍を歩きながら、ベティは言った。

「秋に来たときより、クライド様は優しくなられたような気がしますわ」

「ベティ様は変わらないように思います。でも、ベティ様の芯の強さには、あの頃はまだ気付いておりませんでした」

「あら、そうですか?」

 

 クライドとベティが散策から馬車の傍に戻ると、ロージーとロイスによって食事の準備が整えられていた。

「クライド様、ベティ様、お食事の準備が出来ております」

 ロイスが言うとクライドとベティは、にっこりと微笑んだ。

「ありがとう、ロイス様、ロージーさん」

 クライドの言葉に、ロイスが返事をする。

「いいえ」


「それでは、皆で一緒に食事に致しましょう」

「私たちは馬車の傍で済ませます」

 ロージーが言うと、ベティは首を横に振った。

「せっかくのご馳走ですもの。皆で食べた方が美味しいに決まっていますわ」


 ベティの言葉で、四人は一緒に食事をとることにした。

「お酒もどうぞ、ロイス様」

「……それでは一口だけ」

 ロイスは自分のグラスにも一口の葡萄酒を注いだ。

「のんびりと自然の中で食事をするのは、なんて贅沢なのでしょう」

 ベティはうっとりとした様子で、談笑する皆を眺めていた。


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