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4、クッキーを焼きました

 ベティは家に着くと、自分の部屋に戻り一人クライドのことを考えていた。


「思っていたよりずっと、優しい方のようでしたね」

 クライドは時々カールへの苛立ちなどを表したが、ベティには好意的だった。

「お茶会も楽しかったですし、婚約を断る理由も特にありませんが……」


 ベティはため息をついた。まだ、カールの言葉が胸に刺さっている。

「私が居ても、クライド様の仕事の邪魔にならないかしら」

 鏡に映ったベティの顔は、暗く沈んでいた。


「あら、いけない。ずいぶんと落ち込んでいる顔をしているわ」

 ベティはちょっと考えてから、立ち上がった。


「クライド様は甘い物がお好きかしら? お菓子作りなら私でも得意ですから、今日のお礼にクッキーでも焼きましょう」

 ベティは料理人に頼んで、少し台所を使わせてもらうことにした。


「そうね。普通のクッキーでは面白くないから、猫の顔の形をしたクッキーを焼きましょう」

 ベティは一人で小麦粉と格闘し、クッキー生地をつくって猫の顔の形に抜いた。

 焼き上がりは上々だった。一枚食べてみたが、味も良く出来ていた。

「可愛らしく出来ましたわ。これをクライド様に届けて頂きましょう」


 ベティは使用人を呼ぶと、手紙とクッキーをクライドに渡すようお願いをした。

 手紙には<今日は楽しかったです。またお会いしたいと思います>とだけ、書いておいた。

「それでは、クライド様によろしくお伝え下さい」

「はい、ベティ様」


 使用人はクライドの屋敷に駆けていった。


「さあ、婚約の件はどう致しましょうか? 私としてはまだ心の整理が追いついておりませんし、でも、クライド様をあまりお待たせするのも申し訳無いですし」

 ベティはまた自室に戻りため息をついてボンヤリしていた。


 そのとき、使用人がベティの部屋のドアを叩いた。

「ベティ様、コールマン家から舞踏会の招待状が届いております」

「え!? そうですか……。わかりました。ありがとう」

 ベティは舞踏会の招待状を受け取ると、それを開いた。


「まあ、来週末ですって? 急ですわね。是非ご家族でいらっしゃって下さいと書いてありますわ」

 ベティは父親と母親に相談した。すると、ふたりからは是非行きましょうという返事が返ってきた。


「来週までに心の準備をしなくては」

 ベティは一人、そっと呟いていた。


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