5、舞踏会
フローレス家はコールマン家の舞踏会に参加することにした。
「ベティには藤色のドレスが似合うと思いますよ」
「ありがとうございます、お母様」
「さあ、コールマン家へ向かいましょう」
三人は馬車に乗り込んで、コールマン家に向かった。
すでに人々が集まっていた。
「フローレス男爵、ようこそいらっしゃいました」
「コールマン子爵、おまねきありがとうございます」
ベティの父親とコールマン子爵が話を始めた。
「ベティ様、ごきげんよう」
「クライド様、本日はお招きありがとうございます」
クライドはうっとりとした目でベティを見つめた。
「藤色のドレスがとても似合ってますね」
「ありがとうございます」
ベティはお辞儀をした。
「そういえば、可愛らしいクッキーをありがとうございました。とても美味しかったです」
「喜んで頂けたなら、幸いですわ」
ベティはクライドの笑顔にホッと胸をなで下ろした。
「それでは今日は楽しんで下さい」
「はい、クライド様」
ベティ達は大広間に移動した。そこには紳士、淑女達がさざめいていた。
「まあ、なんて素敵な舞踏会でしょう」
「ベティ様、踊って頂けますか?」
「クライド様!? ええ、喜んで」
ベティとクライドは一緒にステップを踏んだ。
藤色のドレスがくるりと回る度に、ふわりと広がった。
曲が終わると、クライドはベティをテラスへと連れ出した。
「ベティ様、先日の答えは出ましたでしょうか?」
「先日?」
「……婚約してくださいますか? ベティ様」
ベティはクライドの目を見つめた。真剣だった。
「はい、クライド様がよろしければ、私は喜んでお受け致します」
「そうですか!」
クライドの顔がぱっと明るくなった。
二人が大広間に戻ると、カールとハリエットが近づいてきた。
「本日はお招きありがとうございます、コールマン様。おや、そこにいらっしゃるのはベティ嬢ではありませんか」
「おひさしぶりです、カール様」
「まあ、手の早いこと」
ハリエットが扇子を広げ、呆れたような声を上げた。
「私の婚約者を侮辱するつもりですか? ハリエット様」
クライドの視線が鋭く光った。
「そんなつもりでは……」
ハリエットはカールの腕を引いて、人混みに逃げていった。
「ベティ様、嫌な思いをさせてしまい申し訳ありません」
「いいえ、クライド様。私もう気にしておりませんから」
そう言って、ベティは微笑んだ。
「それでは、また後ほどお会い致しましょう」
クライドはそう言うと、ベティの右手をとり、その甲にキスをした。
「それでは、私も家族の元に戻りますわ」
ベティは赤い顔をして、家族の元へ戻っていった。




