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31/55

31、観劇

 週末になった。


 クライドがベティの家に迎えに来た。

「さあ、今日は観劇の日ですよ。ロージーは本当に行かなくて良いのですか?」

 ベティは心配そうにロージーに尋ねた。


「はい、私は家の仕事がありますから」

「そうですか。では行ってきます」

「お気をつけて、ベティ様、クライド様」


 ベティとクライドが劇場に着くと、ハリエットとカールも劇場に来ていた。

「珍しいですな。クライド様もこのような劇を見るんですか?」

 カールが驚いた様子で言うとクライドは笑顔で答えた。

「はい、たまには良いかと思いまして」


「ベティ……様も元気そうで何よりです」

 カールはうわべだけの笑顔で、ベティに挨拶をした。

「カール様もお元気になられて良かったですわ」

 ベティはにっこりと笑った。ハリエットはそれを見て、つまらなそうに顔を背けた。


「それでは、失礼致します。行きましょう、ベティ様」

「はい、クライド様」

 クライドはベティを桟敷席に案内した。


「まあ、こんなに良い席なんて思いませんでしたわ」

「ここならゆっくり見られるでしょう」

 ベティはウキウキとして、オペラグラスを取り出した。


 劇が始まると、ベティは笑ったり泣いたり、表情をくるくると変えた。

 クライドはそんなベティを見て、苦笑した。

「ベティ様、疲れませんか?」

「いいえ、とても楽しいですわ」


 劇が終わると、ベティは赤い目をしてクライドにお礼を言った。

「今日はとても楽しかったですわ。それにとてもロマンティックな劇でしたわね」

「そうですね」

 クライドはスカーフをベティの肩にかけると、劇場を後にした。


 クライドとベティを乗せた馬車がベティの家に着くと、二人は馬車を降りて見つめ合った。


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