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2、お茶会の誘い
「ただいま戻りました」
「ベティ、お帰りなさい」
「お父様、お母様、私……」
ベティが話そうとすると、フローレス男爵は首を振った。
「もう話は、ヘザートン家から聞いている。こんなことをする男だとは思わなかった」
フローレス男爵は、イライラとした様子で腕を組んでいた。
「いえ、のんびりしている私が悪かったんです」
ベティはうなだれて、呟くように言った。
「ところでベティ、クライド・コールマン様はご存じ?」
ベティの母親が笑顔で言った。
「お茶会で、お名前を伺ったことがある程度ですが」
ベティは首をかしげた。
「実は、お父様とコールマン子爵が意気投合しているの。今度、コールマン家でお茶会を開くので、ぜひベティに来て欲しいとお話があったらしいわ」
「まあ。でも私、まだ心が乱れたままですわ」
ベティの様子を見て、母親は言った。
「お茶会は来週ですから、今週末くらいまでにはお返事をしないと」
母親の言葉に、ベティは答えた。
「私のような、退屈な人間でよいのかしら? それに、クライド様は冷淡だと聞いておりますわ」
母親はそれを聞いて、首を振った。
「噂を簡単に信じてはいけませんわ。実際にお会いして、お話をすればわかり合えることもありますよ」
「はい、お母様」
ベティはそれだけ言うと、自分の部屋に戻っていった。




