夏休みのキャッチボール
story NO.7
夏休みの朝、セミが鳴き始め暑い一日の始まりだ。
ソフトボールをしていた俺はお父さんにウインドビルを教えてもらっていた。
いつも家の前の道路でキャッチボール。暴投を投げたらボールとお父さんは追いかけっ子。
用水路からボールを拾うのはお父さんでボールを拭くのは俺だ。
その日もいつものようにキャッチボールをしようと言って家の前に出た。
するとお父さんは自転車のカゴにグローブとボールを入れると機嫌が悪そうに俺に言い放った。
「えぇか優。今日は小学校のグラウンドでキャッチボールやるけぇ優は走ってけぇ。ぜって走れよ!」
そう言うとお父さんはそそくさと自転車にまたがり一人で出発してしまった。
てっきり一緒に行くと思った俺は家の前でしばし立ち止まってしまった。
走り出そうとしたら隣に住んでいるおばあちゃんが話しかけて来た。
「優、どこいくんかい?」
俺はそのままを伝えた。
「小学校のグラウンドに行ってくるね!」
「気を付けて行きなさいよ」
おばあちゃんはそう言うと家に戻って行った。
俺は小学校に到着するのが遅くなるとお父さんに怒られると思って走り出した。
町内を抜けて一つ目の交差点にさしかかると赤信号だった。信号待ちをしていると後ろからおじいちゃんが自転車に乗って声をかけてきた。
「優、どこ行きょんな?」
俺はさっきもおばあちゃんとした会話だと思って面倒く感じながら振り返りながら素っ気なく答えた。
「小学校に行ってるよ。」
おじいちゃんを見ると恐怖に怯えて今にも泣きだしてしまいそうな表情だ。
おじいちゃんは冷静を必死に保とうしながら会話を続けた。
「向こうに見える小学校生は優の友達か?」
向こうと言われて駅の方角を見ると蜃気楼にぼやけながら夏休みだとゆうのに制服姿の男子小学生が3人横並びでこっちを見ている。
「わかんないよおじいちゃん。」
俺は何か気味の悪さを感じて早く信号が青に変わって欲しかった。
「優はおばあちゃんは好きか?」
おじいちゃんはサングラスをかけていても涙ぐんで声が震えて動揺が隠せてない。
俺は益々気持ち悪くなってきて苛立ってきた。
「好きだよ。」
本当に好きなのかわからないようなトーンで答えた。
おじいちゃんは食い気味で話を続けた。
「潔は!?いや、お父さんの事は好きか?」
「好きだよ!もう行くね!」
信号が青に変わったその時だった。
おじいちゃんは泣きながら自分を奮い立たせて覚悟を決めたように俺の目を見て言った。
「わしが行っちゃるわ。」
そう言うとおじいちゃんは赤信号を無視して小学生3人がいる駅の方角へ自転車で走り出した。
俺は何か嫌な胸騒ぎを感じて手に汗が滲んだ。
もう走って行く事は放棄して小学校へと歩いて行く事にした。




