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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第3章 北の異変
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フォーグレンの神官45

「うわあ。すごいわね。そっくりだわ。ロセちゃんとセンくんが二人づつ。きゃー、センくんってやっぱり男前ねぇ。センくんなら女でもOKそうだわ。アルビーナ。あなた、ずっとセンくんのままでいなさいよ。そのほうがいいわよ」


 変化へんげを遂げた二人を見て、キリカは黄色い声をあげ喜んだ。センになったアルビーナはとことん嫌そうな顔をし、ミシノがため息をつく。


「神官ってすごいなあ。僕も神官になれるかな」

「ミン。やめときなさいよ。神殿には変な人がいっぱいいるから、近づいたらだめなんだから」


 そうミンに言い聞かせるキリカを見ながら、四人はため息をついた。

 考えていることは一緒だった。


「じゃ、アルビーナ。ターヤを頼むな」

「わかってるわよ」


 ロセは愛おしそうにターヤの頬を撫でると、センの姿のアルビーナにターヤを渡した。ロセの姿のミシノはすでにキィラを抱え、術が始まるのを待っていた。


「ミシノ、アルビーナを掴んでください」


 センの言葉にミシノは肩にキィラを担ぎなおし、アルビーナの腕を掴んだ。アルビーナは両手でターヤを抱えている。


「ミシノちゃん、兄さんをよろしくね。ネスにしっかり言って置いてよね」

「わかってます」

「キリカさん、下がってください。センさん、始めよう」


 センはロセに言葉に頷くと『神石』のかけらを手に持った。そして片方の手の平をアルビーナ達に向ける。ロセも同様に手の平を2人に向けた。

「ロセ!」

「センさん!」


 二人は声を掛け合うと力を放った。

 眩しい光が部屋に溢れる。そしてぽんっと弾ける音がして、光が部屋の四角に分散した。そして光と煙が部屋から消える。

 部屋に残されたのは、セン、ロセ、キリカ、そしてミンだけだった。



「ハーヴィン様」


 宮殿の中の図書館で本を読んでいたハーヴィンに、ティアナはそう声をかけた。ハーヴィンは本から視線を上げると、ティアナを見つめた。

 ティアナは水色のドレスをまとい、その金色の髪を大きなリボンで後ろにまとめていた。動く度にふわりと水色のドレスが舞い、歩いているだけなのに軽やかにステップを踏んでるように見えた。


 ハーヴィンはまだ答えを出していなかった。

 国のためにはティアナと婚姻を結ぶべきだった。しかし心がそれを拒否していた。 


 ハーヴィンの心の中にいるのはただ一人、センの姿だけだった。


 目の前の美しい姫君は、ハーヴィンの隣に腰掛け、その青い瞳を潤ませていた。頬はピンク色に染まり、深紅の唇は柔らかく閉じられていた。まだ少女といってもいい年齢なのだが、ハーヴィンを見つめるその姿は少女でなく大人の女性だった。体全体から金木犀の花のような甘い香りがした。

 

 触れて、抱いてしまえばいい、本能がハーヴィンにそう語りかけてくる。


 『ハーヴィン殿下……』


 しかし脳裏にセンの姿が浮かび、その気持ちは一瞬にして消える。

 代わりに数日前に抱き寄せ、その時に嗅いだ爽やかな香り、その感触が思い出された。


「ハーヴィン様?」


 美しい姫君が首をかしげてハーヴィンを見上げた。


「ティアナ姫、図書館は退屈でしょう。外に出ませんか?」


 ハーヴィンはティアナに微笑むとそう言った。



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