4、隊員たちとの対決
第二部隊は四十名で十人ずつ四班に分かれている。隊長の一班、副隊長の二班、中堅のリーダーの三班、中堅の副リーダーの四班だ。ネストは三班、レイアは四班で、二人は戦力均等のため同じ班になることはない。
若手の副リーダーはレイアと同じ四班にいるが、入隊三か月のレイアが実力では上だった。
隊長、副隊長は、どちらかが城に残らねばならないので、第二部隊のナンバースリーが一班、ナンバーフォーが二班にいて、隊長たちが見回りに出られない時は、それぞれが班長となっている。
街の見回り以外は城で待機している。城の見回りは衛兵の仕事なので第二部隊はしない。
班長と副班長は指令所で見回り場所の確認と外からの連絡待ち、事務仕事、引継ぎなどをしている。
他の隊員八名は待機時間に訓練をしている。訓練内容は、一人で武器の素振りや型の練習、二人で対戦、三人以上で複数に対応する練習、モンスター別の連携の確認などだ。
第二部隊の訓練場。レイア以外の隊員は汗を拭きながら休憩していた。レイアは剣の素振りをしている。
レイアの剣技はまだそれほどでもないし、普通の令嬢と変わらず力も強くなかった。ネストも体が細いので力では先輩隊員のほうが上だ。二人とも魔力で実力を補っていた。
ブラスは薄黄緑色の目に、短い茶髪、無精髭を生やしている。四一歳で、年配枠の隊員だがまだ第二部隊に配属になって三年だ。
以前は衛兵として働いていたが、第二部隊に欠員が出たので、魔力があったことで昇格になった。第二部隊は危険な仕事なので、昇格というかは疑問だが、前よりは給料がいい。
衛兵のときは甲冑を着ていたが、今は皮の防具を着けているので、動きやすくて楽だ。第二部隊の装備は制服以外は自由だ。
ネストとブラスは第二部隊では同期になる。体力ではブラスが勝っているが、魔法ではネストに勝てない。剣技では五分だ。
「レイアに勝てば実質第二部隊でナンバーワンってことだよな」
「そうだな」
「じゃあ俺も挑戦してみようかな」
「じゃあ、俺もやろうかな」
「じゃあ俺も」
ブラスの言葉に他の隊員たちも賛同した。ブラスがレイアに声をかけた。
「お~い、レイア~。俺たちと勝負してくれ」
「いいですよ~」
レイアが手を振って答えた。ブラスと他の隊員たち七名がぞろぞろとレイアの前に集まった。
「どうせなら、みんなまとめて来てください」
「いいのか?」
「俺たちにとってはそのほうが好都合だな」
ブラスたちは顔を見合わせた。普段モンスターを相手にしているから、連携は得意だ。ブラスはレイアに釘を刺した。
「モンスターを使うのは無しで」
「分かりました」
ブラスたちはレイアの周りに扇形の陣形を取って剣を構えた。レイアは手を前に出した。
「風よ! 舞い上がれ!」
レイアが魔法を唱えると、風が巻き起こる。隊員たちの体が風で浮かび上がった。レイアは呪文を省略して魔法が使えるので始動が早いのだ。
「え」
「あれ?」
「うわ~」
風がブラスたちを舞い上げて、一つの山にした。
「ふ~」
レイアは一息ついて額の汗を拭った。ブラスがうつ伏せのまま言った。
「降参です」
そこへ、見回りが終わったネストがやってきた。隊員たちの山を見て驚く。
「何だ!? これはどうしたんだ一体!」
「ああ、先輩たちが勝負してくれって言うから、まとめて積み上げました」
レイアはしれっと答えた。ネストは山になった隊員たちに声をかけた。
「お~い、下の奴は大丈夫なのか?」
「シールドを張ったから大丈夫だ」
「ネスト~、上手く動けないから。助けてくれ」
「分かった」
ネストが魔法で一人ずつ移動させた。
(やれやれ……)
「助かった~」
ブラスたちは地面に座ってほっとした。ブラスはレイアを見上げて言った。
「やっぱりレイアは強いな」
「アハハ。そうだな」
「そうですか? エヘヘ」
他の隊員も同意し、みんなで笑い合っていた。ネストはそれを見て一抹の不安を覚えた。
(このままだと、隊員が怪我をするかもしれない。レイアがいないほうが隊の存続にはいい。——こうなったら俺が真剣勝負して、レイアを辞めさせよう!)




