5、カインは性格が悪い
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「皆待ってますよ」
そうミーヤに言われ、私は皆が待ってくれている教室へと入った。
中にいたのはパッと見、年齢も性別も身分も皆バラバラな学園の生徒たち。だけど皆私を長い間支え続けてくれた心強いメンバーたちである。
この久しぶりな顔ぶれを見て私は思わず緊張の糸をプツンと切らしてしまいそうになった。
「アリシア樣、おめでとうございます。早速ですがミリア様が王子の婚約者となったことについて、反対派が続々と出てきていると僕の情報網で手に入れました。まだ表立っての行動していませんが爆発するのも時間の問題でしょう」
来て早々直球で質問してきたのはデイドだ。彼は人脈が広く、この組織の中では情報収集をしてくれてる。
「反対派というと貴族ですか?」
「はい。しかし国の王子の婚約者になりましたから手出しは出来ないようです。また、平民出身のものたちはこのことをかなり喜んでいるらしくミリア様との婚約を大々的に指示していますね」
「やはりそうですよね。・・・では反対派の貴族たちにはくれぐれも手を出すなという風に念をおすようにお願いします」
いつか学園内で貴族側と平民側での対立が起きてしまわないようにバックアップもやや強引ぎみな感じでお願いし、本題へといざ突入した。
「話は変わりますが私、家を出て色んな所を回ってみようと思っています」
「!!」
言ってみた結果、反応は様々だった。
ぽかんと口を開けている子や、冗談でしょうというような目線を送ってくる子、何がうれしいのか全く分からないけど笑いだす子・・・等々。
「ハイハイはーーい!どこ行くんですか?」
「下町に行ってみようかしらって今のところ考えているわ」
「!!」
それを聞いた瞬間目を飛び出んばかりに見開き口をパクパクさせ始めるのでなぜそんなに過度な反応をするのか首をかしげながらそばにいた女の子に尋ねてみると質問をあっさりかわされてしまった。正直者だとおもっていたミーヤにも顔を反らされ、いつもハキハキ自分の意見を言ってくれているはずデイドには逃げられてしまい、そしていつの間にか結局私だけ訳のわからないまま会議は終了してしまた。・・・げせぬ。
「カイン終わったわよ」
「はい、ではこれから屋敷にもどりましょう。私も奥様方を説得してみたので」
「えー」
「戻りましょうね」
「ひっ!分かった、分かったから」
カインの無言の圧力に負け私は屋敷へと行くことになった。
「お嬢、足と手が一緒に出てますよ。くれぐれもこけないように気を付けてください」
「ふぇっ!?」
緊張するよーー。
自分の足を見てみると確かに手と足一緒に出ている。
「ぐえっ」
こ、こけた。こけちゃったよ、私。
それ見たカインはやっぱりこけたな、という残念な子を見るような視線を送りながら手を差し出してきた。
恥ずかしー!
せめてこけるとき女の子っぽく「キャッ」とか言えなかったわけ?何してるの私!?
恥ずかしさのあまり真っ赤になっているであろう自分の顔をカインに見られないように差し出してくれていた手を払いのけ痛いけど強がって自力で立った・・・って、あれ?
「何してるんですか?そんな状態で立てるわけないでしょう」
そうカインの声が上の方から聞こえたと思った矢先私は浮いていた。いや、言いなおそう。正しくは私はカインに担がれていた。
「へ?いやいやちょっと待って。状況が理解不能なんですけど。しかもなんで普通の抱っこじゃなくて担ぎ上げられてるの、私?」
「お嬢、下を見てください。あれはあなたがこけたときの血なんですよ。分かりますか?」
「誰かが溢したトマト・・・」
「トマトジュースだとか冗談言ってる暇はありません。それとすいません。つい反射的に担いでしまいました。お姫様抱っこの方が宜しかったでしょうか?」
くーーっ!カインのわざとらしい笑顔が妙にむかつく!
内心腸が煮えくり返るような思いで私は干されている布団のように保健室へと運ばれていった。カインにメロメロな保健室の先生を見たときなんて、こいつの性格の悪さを今すぐぶちまけてやろうかヘッヘッヘッ、なんて考えてしまった程だ。
結局カインのツンドラのような視線でいぬかれて未遂に終わってしまったが・・・。
私はいろんな意味で震える足を使い、反対されたらどうしようかなんて考えてながらリビングへと向かうとそこには難しい顔をした家族・・・それも全員がいた。
そうですか。家族全員で反対してやろうって根端ですか。
どんだけ過保護なんだと若干あきれながら心を落ち着かせるために深呼吸をし、「ただいまかえりました」とだけ言い席に着いた。
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
誰かー喋ってーーーっ!もうかれこれ10分たったよね?なんで誰も話さないの?このままいくとこの雰囲気の重さに窒息しちゃうよ!?
心の中で悲痛な悲鳴を上げながら誰かが喋り始めるのを待つこと少し、ようやくお母様がこの沈黙を破った。
「あなたが家出をするってヨルシオ聞いたわ。正直言ってあなたにもとうとう反抗期が来てしまったって驚いてしまったわ」
「・・・」
「あなたが言おうとしていることは大体分かっているから、カインにも色々ときいたしね。だから私はあなたの旅に喜んで賛成するわ」
「へ?」
カイン、いったい何を言った?そしてお母様はどうした?てっきり私は「絶対行かせない!」とか言われてどこかに幽閉されたりするのかもって思ってたんだけど。大袈裟かって思うかもしれないけどなにせお母様たちだからなんのためらいもなくやりそうで怖い。
「そんな顔しなくていいじゃない。でも条件は1つだけあるわ」
「条件とは何ですか?」
「あなた一人で行かせるのは危険なので誰か連れて行ってください。それだけです」
裏がありそうで若干戸惑いながらも誰を連れて行こうか迷う。視界の隅に期待を込めたまなざしを送ってくる変態だけは絶対にありえないけどね。
「・・・じゃあカインでお願いします」
消去法で一番ましだなと思ったカインの名前を告げるとヨルシオお兄さまがガタンと音を立てて立ち上がって抗議し始める。
「そんなの許せるわけがないだろう!だってあいつ・・・男じゃないか!!俺が行く」
「お断りします」
「なぜだっ?」
何故だ、何故なんだと必死の形相で迫ってくるお兄様に対応をどうしたらいいのか困っているとお父様が手で黙れというようにお兄様を制した。
「ヨルシオ、座りなさい。これはアリシアが決めたことなんだ。アリシアだっていつまでも子供じゃないんだぞ」
おおおお父様が、賛成してくれた!?まさかのお父様賛成の言葉を聞いて言葉に詰まってしまう。
「・・・何かあったんですか?」
「なななな何もないよ!」
家族の中で一番正直者の弟が挙動不審に口を開く。
あー、何かあるんですね。はい。
何があったのかと聞きたいところだけどここで不用意に聞いて自爆、何てことまっぴらごめんなので大人しく引く。
そうしてなんだかんだ無事に家族会議が終わった。
次回やっと家を出て町へと行きます。




