941.再び異世界(35) マイア帝国(5) ヤルデラン星(3)
えっちら おっちら・・・
ただ山を登っているわけではない。
彼が隠したという洞窟を掘り出す・・・のだけど、
ずいぶん昔のことで正確な位置を覚えていないのだとか・・・なんじゃそりゃ
だから今、無意味とも言える一歩一歩を踏みしめて こうして重い足取りで歩き回って探している。
「ねえ、この山なんだよね」
「そうです・・・と思う」
魔法は使わないでおこうと思ったけど、この世界は魔力に溢れ、剣の世界ではないけれど魔法の世界ではある。別に魔法を使おうが反則じゃあない。
“探索、洞窟?” ・・でいいのか?
見つけた、私の足の下だ。
「この下みたい」
「えっ、もっと山の斜面だと思ったんだけど」
随分土砂が堆積したらしい。
でも地下1メートル程なのですぐに掘り出せる。
ざくざくと掘っていく、一応発掘のためにツルハシとかスコップとかは準備している。
「おー、これこれ、この丸い石が目印だ。
あれっ? 石が割れているな・・中は中空だ・・」
「シッデル、それ何かの卵じゃないの?」
「えっ、卵? 同じ物が多分洞窟の中にたくさんあったぞ」
沢山?
何年も前だからもう居ないだろうけど・・・居ないよね?
洞窟開けたらどどーーと出てこないよね?
「洞窟の中に湖とかなかった?」
「たしか水たまりが有ったとおもう」
水辺に住み、沢山の卵・・・・カエル?
この大きさの卵だと成長したら人サイズにはなりそうだ。
いやぁ、ちょっと待てよ、食用にできるんじゃないか?
・・・こっちが食べられるかもしれないけど。
とりあえず掘り起こす前に洞窟の入口にはバリシールドを張った。
ぱかぁ
最後の一振りで洞窟への入口がぽっかりと開いた。
中からは、大量のカエルが・・・出てこなかった。
良かった。
シッデルと中へ入っていく、もちろん洞窟に来るのだからヘッドランプも持っている。
所で懐中電灯を選ぶ時に明るさ表示だけで選んではいけない、“均一にいかに広く照らせるか”、が判断のポイントになってくる。
中心だけ明るい懐中電灯もある、そしてcd高いと嘯いている
これだと、周りが少し明るくなったとしても、その当たった中心部分しか見えなくなる。
広く均一に照明するのは結構難しい。でも実現すれば視野が広くなる。暗い所で中心の狭い範囲しか見えないのでかなり危険な状態である。
そしてこの “広く均一に” という項目はカタログスペックにほとんど記載がない。
選定の判断基準は、価格、明るさ、そして “均一照明な範囲”、大切なことが抜けている。
関係ないけど、双眼鏡もそうだ。
安物は倍率を前面に出してアピールする、それが悪いとは言わないが、大切なのはそれだけじゃない。
例えば “視界” である。 酷いものになると “高倍率ズーム双眼鏡” とても聞こえは良い。
でも実際は倍率が上がると拡大はされるが、極端に見かけ上の視野、イメージサークルが狭くなってしまう物が多い。
大きくみえるというより、狭く見えるという印象だ。これが写真レンズだとあり得ない、画面上の殆どが視野外になってしまうのだから使い物にならない。
それと瞳径、これが小さいと、ちょっと視線がずれると見えなくなってしまう。
あとアイポイント、これが短いとメガネを掛けたまま使えない。
重さ、サイズとかも重要なポイントだ。いくら性能が良くても持ち歩こうと思わない重さ・サイズでは使えない。
こういった様々なポイントを無視して、“高倍率ズーム双眼鏡”という謳い文句につられて買ってしまうと・・・結局使い物にならず “安物買いの銭失い” になってしまう。
かといって、高いものが良いとも言えない。その場合は “高価品買いの銭失い” になる。
決して “高級品”(値段相応の品質の物) ではなく “高価品”(値段相応の価値のない物) だ、この2つの違いも見誤ってはいけない。
物を選ぶ時は、まず価格は伏せておく、そして必要なスペックを見出す。
宣伝文句はすべて無視する、先入観を持ってしまうからね。
そして必要なスペックをおさえた上で、更にメリットのありそうな項目をオプションで加えて選定する。
そのあとで価格順に並べて、予算と相談して決める。
ただし、“持っている事自体がステータス。使い物にならなくても良い”、といった人は別だ。
あと、“スペックが必要条件を満たさないのはわかっているが、何かないと困る” という人も別だ。
それぞれに意味がある。 求められるのは宣伝文句に踊らされないという事だ。
“専門家の先生がたが論文で発表しています” 何の専門家? 論文なんてだれでも発表は出来るよ、受理されたり、認められるかは別だからね。言っていることは嘘ではないけど、言っている内容が正しいとは限らない。
“専門家”、“論文”、“高級” などという言葉を宣伝文句から黒塗りして省いて見てみるとはっきりする。
こいつは必要なことを何も言っていないのだと。
だから自分で調べたり、実際に見てみるなりする必要がある。
あと “絶対に”、“必ず” というのは絶対嘘だからね。
“絶対に事故は起きない” などはありえない。
“必ず儲かります”(この会社がある限り・・で会社が倒産して終わりになる)
数々の失敗を経てきた私にはそう言える。
そして、正に今、それを実感している
“地元の者”、“やる気がある”・・・確かにそうだった。・・・シッデル君。
鉱山は・・・実はカエル魔物の巣だった。
1番重要なのは、“有望な鉱山か” であって “有望な人” ではなかったんだ。
私の失敗は認めよう、別に責任転嫁する気はない。




