939.再び異世界(33) マイア帝国(3) ヤルデラン星(1)
「あーーもうだめだぁ〜」
「何そんなに悲観してるの?」
「私の秘密の鉱山がぁ〜」
「大丈夫よ、そんな事できる優秀な人材居ないでしょ」
「お前は故郷をバカにしているのか?」
いやいや慰めただけだし
「いえ、貴方のような優秀な人材はみんな出ていっちゃうでしょ、ってこと」
「い、いやそれほどでもー」
すぐいい気になる。人選ミスか?
「とにかく着いたら行ってみよ」
「監察官は?」
「彼には、ヤルデラン星の現状を確認してもらうという大切な仕事があるからしばらくは大丈夫よ。
街を案内してもらうと言っておくから」
「わかった、行こう」
・・・・・
ヤルデラン星、帝国の属する銀河の辺境に位置し、鉱物資源が豊富であると予想されたが、かなり地中深くである事がわかり、数十年前に一旦は開発を進めたものの、なかなか採算ベースに持ってこれないでいる。
植物は生息するが産業にする様にはあまり育たない、自給自足はなんとか可能である。
魔獣も多く住んでいて、ドーム型の居住区から一歩出れば魔獣の脅威にさらされる事になる。
現在発見されている鉱山5箇所にこういったドームがあるがそれ以外での居住は難しい。
鉱山開発の歴史は、魔獣との戦いの歴史でもあった。
「監察官、ヤルデランの現状調査をお願い」
「普通それは補佐官のあなたがやることでは?」
「何のためにあなたを召喚したと思っているの、
監察官でなければ見落としてしまう、そんな能力を期待しているのよ」
「申し訳ない、自分の存在理由を忘れていた、
思い出せないが、監察官としての記憶のかけらのせいだな、
任せなさい」
そうだよ、私は補佐官と言ってもそれは口実で、私が自由に動ける様にするために監察官を召喚したんだ。
ん? 補佐官を召喚したほうが良かったのかな?
監察官をちらっと見ると、大きく首を横に降っている、私の思っている事が伝わってしまったようだ。
首・・折れるよ・・
さて、私は別行動。
・・・
シッデルは、魔獣に嫌われて無視されるという能力を活かし、結構いろいろな場所を巡ったらしい。
彼の横にいれば、同じ様に嫌われて無視されるが・・嫌われるという事に忌避感がある。
おトモダチ作戦で行こう。
まずエリアボスを探し仲間にする。するとそのエリアでは私達は自由に行動出来る様になる。
主には私が、だけど。
彼、シッデルはそんな事をしなくてもどこへでも行けるので先行してエリアボスを見つけてもらい、私がエリアボスをティムしていくという手順だ。
まあでも、魔力感知で1番魔力反応の強い生き物を探せば、それがエリアボスなんだけどね。
自分ができるからと言って彼の仕事?を取ってはいけない。お調子者の彼にはピッタリの仕事だ。
「見つけたよっ、ほら、あいつがエリアボスだよ」
見つけたことを自慢気に知らせてくれるのはちょっとうざいが・・・我慢しよう。心は広く、だ。
殆どの場合、私の横に彼がいるのを見て、最初は難色を示すが、私への従属感に負けてすぐに抵抗しなくなりおトモダチになれる。半強制的なティムである。
私は、彼の能力に勝る魅力の持ち主なのである・・・レベルの低い底辺の争いかもしれないけど。
そんな無意味な満足感を大事に育みながら彼が昔見つけたという洞窟を目指していった。




