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絶対に死にたくない銀河皇帝庶子が戦艦を与えられたので給糧艦に改装したら、前線へ出ずっぱりにさせられた件。  作者: 英 慈尊
2章 惑星レクの騒乱

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アマテラスオオカミ・ブレイド 2

 エステがテディベア型端末のお鼻スイッチを押し込むと同時……。

 アマテラスオオカミ・サンダーの巨体が、鳴動を始めた。


「本艦とクシナダの出力系統、接続及び同期を解除。

 上半身を構成するクシナダ、合体解除されます」


 クシナダとの合体解除及び、フレイヤとの再合体……。

 突然といえばあまりにも突然の事態に対し、そつなくオペレーターとしての業務を遂行する姿は、マミヤという少女の柔軟さと優秀さを示しているといえるだろう。

 兄イラコがややマザコン気質であることを思えば、イラコママとは系統が異なるものの、日系美少女としての特徴を強く備えるマミヤは、警戒すべき悪い虫の一人であったが、その能力に関しては、平等に評価するだけの度量をエステは有していた。


『『『お達者でー!』』』


 顔も格好も声も同じクシナダの副長、操舵手、通信士の声を残しながら、上半身のクシナダがパージされ、中心部から折り畳む形で変形していた船体を元に戻していく。

 だが、下半身を構成するアマテラスの状態はそのまま。

 代わりに変化が起こったのは、何も知らないままアマテラスとの合体シーケンスに突入したフレイヤだ。


『ちょ!?

 本艦の操作が、きかなくなっちゃってるんですけど!?』


 当然といえば当然だが、ナイーダとかいう副官のギャルが、悲鳴じみた声を上げる。


「問題はない。

 アマテラスオオカミへの合体時、上半身を構成する戦艦の操作は、全てこちら側へと委譲される。

 普段操縦を担当しているメケーロお爺ちゃんも、今回操縦しているイラコママも頭のおかしい凄腕なので、安心してお茶でも飲んでいればいい」


『さっきのシュピンシュピンしていたアマテラスオオカミの挙動を見ていたら、まったく安心できないんですけどー!?』


「問答無用。

 フレイヤの変形シーケンスを開始する」


 これもごくごく当然の抗議には耳を貸さず、テディベア型端末の背中をポチポチと打鍵。

 普段のぬいぐるみモードからマルチプルデバイスモードへ切り替えると、この背面はタッチスクリーンへとその姿を変えるのだ。

 ソフトウェアキーボードから与えたコマンドに従い、斬撃艦フレイヤが、秘められた真の姿を明らかにしていく……。


 まずは、船体。

 ベース艦の竜骨そのものから改造を加えられたこれは、巨大な対艦刀を備えた艦首と、サメの尾部を思わせる艦尾とが、それぞれ展開と変形。

 船体中央部を胴体として、艦首側が右腕、艦尾側が左腕をそれぞれ構成する。


「これはクシナダとの合体によって完成する形態第一号――サンダーを設計していた当時にも思ったことだけど、マニピュレーターをどうにかして実装するか否かは、最後まで迷った」


 淡々と口にするのは、開発秘話。

 合体スーパーロボットにおいて、何よりも重視されるのは機能性でも戦闘力でも、ましてやコストでもない。

 最重要視されるべきなのは――格好良さ。

 そして人型のロボットである以上、マニピュレーターを実装するか否かは、デザイン面における重要なポイントであるといえるだろう。


「でも結局は、実装しない方向にしたんですねー?

 変形したフレイヤも、艦首の対艦刀がそのまま右腕を構成していますー」


「うい。

 意地でも頭部パーツは仕込んだものの、マニピュレーターまでともなると、構造上厳しかったという実際的な問題はある。

 しかし、一番大きかったのは、本来は“手”に該当しないパーツをそのまま手に見立てると、マシーンとしての無骨な格好良さが強調されることに気づけたこと。

 アニマル型ロボットの頭部をそのまま腕部に持っていくデザインの21世紀特撮ロボットは、良い気付きを与えてくれた」


「あらあらー。

 それはとっても可愛らしそうなロボットですねー」


 こちらを振り返ったイラコママに答えると、将来的にエステママともなってほしいメイドさんが、数年内にエステも備える予定である豊かなお胸を揺らしながらほほ笑む。

 なお、エステに気付きを与えたロボット玩具は、百獣の戦隊が主戦力とする精霊の王であるため、格好良さはともかく、可愛らしさはあまり感じられないデザインであることを付け加えておく。


「フレイヤと本艦との軸合わせ完了。

 ガイドレーザー照射。

 合体、いつでもいけます!」


「ではー。

 合体、いっちゃいますよー」


『こっちは、いってほしくないんですけど!?』


 ナイーダの言葉には誰も取り合わず、無情にして超カッコイイ戦艦同士の合体が実行される。

 互いを結ぶ赤く細い二本の光線――ガイドレーザーに従って、フレイヤの変形で生まれた胴体部へ、下半身を構成するアマテラス側が突き刺さりにいくような形。

 ただし、そこは操縦するイラコママの超技量。

 全長400メートルを超える巨大質量同士の衝突じみた合体でありながら、艦内の重力と慣性を司るグラビコンシステムが、一切反応していない。

 また、互いの船体表面を覆う電磁シールドも、本来ならば多少の衝突を経てから同期する想定なのだが、常軌を逸したソフトタッチにより溶け合うように融合。

 そのまま一個の電磁シールドと化し、接続された両艦の表面部を循環し始める。


『あわわわわ……。

 艦首の対艦刀が、そのまま右腕になっちゃったし』


 通信ウィンドウ内で慌てふためくナイーダの言葉通り、変形した艦首部分が肩、上腕をそれぞれ動作させ、下腕部にあたる対艦刀の電磁エッジを激しくスパークさせた!


『か、艦尾のメインスラスターも、そのまま左腕に……!』


 なんと丁寧な解説!

 やはり変形により肩と上腕を動作させた左腕が、こちらは巨大な噴射ノズルがそのまま変じた下腕から、プラズマジェット炎を放つ!

 シールド艦との合体によって生まれることもあり――特に守勢へ立ったことはないが――ディフェンス型の設計となっているサンダーに対し、こちらはまさしくオフェンス型の設計。

 そして、巨大ロボットであるからには、これを忘れてはならない!


『ちゅ、中央甲板部からバカでっかい頭部ユニットが生えてきたし。

 今更だけどこれ、メカニックの子たちはどうして気付かなかったんだろう?』


『ヒュフフ……エステちゃまが技術屋の女神であり天使であることは、先程語った通り。

 当然、その魅力は性別に関わらず発揮されます。

 ひらたく言いますと、フレイヤ(そちら)側でメカニックをしている理系女子(リケジョ)の皆様方も、拙者らとグルだったわけですな』


『あの子ら、そうだったんか……』


 合体解除された結果、特にやることもなくなったクシナダブリッジクルーの誰かが、ナイーダの質問に答えてやる。


「彼女らの協力なくして、この合体はあり得なかった。

 恩に着る。テンキュー」


 そうこうしている内に、フレイヤの中央甲板から生え出すような形で姿を現した頭部ユニットが、全機能を解放した。

 この頭部ユニットのデザインを一言で解説するならば、雄牛のごとき角を生やした甲冑の兜……ということになるだろう。

 全体を構成するラインは、曲線。

 光学センサーはツインカメラタイプを採用していて、人間でいうところの目尻部が吊り上がった形状をしていることから、否が応でも攻撃的な印象を見る者に与える。

 両サイドから屹立する角パーツは太く、たくましく、理屈など無用な格好良さの権化と呼ぶべき装飾であった。


 アマテラスオオカミ・サンダーにおいては、余剰エネルギーが合体した機体の各所から稲妻のごとくスパークしたが、こちらはそうではない。

 発生した余剰エネルギーは、左腕を構成する噴射ノズルから、プラズマジェット排気炎となって吐き出されるのだ!

 これにて、完成……!


「さあ、みなさん、ご一緒に」


 エステの指示に従って、ヤケクソ気味なフレイヤ側のクルーたちも加わり、全員でその名前を唱和する!

 すなわち……!


『『「「「完成! アマテラスオオカミ――ブレイド!」」」』』


 完成したアマテラスオオカミ・ブレイドが、(あざな)の由来である右腕(うわん)斬艦刀を突き出し、見得を切った。

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― 新着の感想 ―
がんばえー!(キャッキャッ)
兄と姉、姉と兄、最強のライバルの船が手を取り合って 今、巨大なる最強の剣士が立ち上がるのです!
> 数年内にエステも備える予定である豊かなお胸 未来はまだ決まってないものね...ガンバ...
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