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EPISODE13 ~サミニウムの神秘なる藝術との死闘



博麗製鋼が作り上げた最高の藝術との闘いです。


BGMはやっぱりFFⅥのBGM「死闘」が似合いますよ



2人はパンクしていたが、どうやら直ったらしく、そのまま車で走りだした。

そんな2人をセダンに乗り込んですぐさま追いかける4人。

一度囓噬した獲物・・・というより敵は逃したくないのが彼女たちであった。


「奴らの真相が見えてきたような気がします・・・」


ぬえはそう呟いた。

実際に博麗製鋼と月麗カンパニーの黯澹が明らかになってきている。

もう彼女たちも時間の問題だろう。


「横領なんて、最後の最後まで足掻くとはね・・・」

「でも可愛いように思えてきましたよ。パンクを必死に直していた所が」


曩時に起きたパンクの出来事が彼女にとっては印象的に残っているようであった。

既に脳裏に焼き付いているのかもしれない。


「可愛い、って一応私たちを陥れようとしてるのよ」


サリエルはハンドルを構えながらそう言った。

巒巘のように聳え立つビル群の中をセダンは潜り抜け、遠くに大きなビルを見据えた。

それこそが、彼女たちの目指す大企業「月麗カンパニー」の本社であった。


「見えてきましたね・・・」

「これが最後の闘いになると予想しますね・・・」

「2人は月麗カンパニーへ向かって何をする気なのかな?」

「それはついていってからのお楽しみ、って所だな」


前方の衣玖たちが乗る車はサリエルたちに追われない為に幾つかの道をくねくねしながら進んでいたが、何の意味も為さなかった。

信号で所々止まるセダンだが、最終的な行き先は把握していた。


「何を仕出かすかは分からないが・・・早く月麗カンパニーへ乗り込もう」


すると衣玖たちの車は月麗カンパニーの駐車場に停車され、2人が中へ入っていくのを目撃した。

まだ博麗製鋼の服を着ていた4人はすぐに脱ぎ、普通のスーツ姿に戻る。

これで周りに溶け込んで中へ入れるだろう。


サリエルは近くの道端に停車し、4人はすぐに降り立った。

目の前に建つ迫力に押されながらも、彼女たちは衣玖たちを追いかけた。


「奴らは何処だ・・・?」

「あっちです!」


しっかり見ていたカナはその方向を示し、4人は向かっていった。

周りが綺麗な公園から人通りが少ない裏路地へと光景が変遷していき、2人はやがて小さな入り口から中へ入っていった。


「私たちも行こう!」


5分ほど時間を置いて発言したサリエルの後ろをついていく3人。

博麗製鋼に忍び込んだ時と同じく、煤だらけで利用者の少なさを語る通路が露見される。


「・・・さて、この中に奴らが・・・」

「何をするんでしょうかね?」

「行ってみないと分からないから行くんですよ」


薄暗い通路を足音を立てて進む4人。

すると急に大きな広間へ出て、4人の存在を検知したセンサーが反応して明かりが灯る。

そこにいたのは―――「博麗製鋼」と文字が刻まれたサミニウム源の警備用ロボット。

ティラノザウルスのような形容の警備用ロボットは4人を検知して、冷酷な眼差しを目覚めさせる。


「コード、『マグナ・シリウス』。邪魔者検知における排除を行います」


巨体を起こして広間の中心で4人と対峙するマグナ・シリウス。

サリエルの2、3倍程の大きさを誇るマグナ・シリウスに少し狼狽えながらも武器を構える。


「どうしてここにこんな奴がいるんでしょうか・・・!?」

「マグナ・シリウス―――なんかヤバそうな名前ですね」

「・・・油断してはいけないような気がします・・・」


ぬえが怯えながら発言すると、マグナ・シリウスの口から闇が溢れ出したのだ。

真っ黒い魔障が溢れ出て、目を真っ赤に染めるシリウスは只者では無いという事だけは悟った4人。


「我が名はシリウス・・・博麗製鋼に作られし、最高の技術にして最高の藝術なり・・・。

・・・我を恐れよ、凝固なる闇を心に閉ざして我を讃えよ・・・・」


録音された音声が流された。

それは野太い男性の声であったが、今までのサミニウム源の警備用ロボットとは違って貫禄が存在した。


「てかこれ録音した人、凄く恥ずかしいだろうなあ」

「そこは黙っててあげよう、シリウスが他の警備用ロボットとは格が違うことの現れだから」


サリエルはそんなシリウスにセノヴァを構えた。


「今からこの剣で斬り裂いてやる!」

「そうか・・・。・・・最高の藝術に傷一つ付けれられるか・・・?」


普通に会話したシリウス。


「え!?機械音声!?てか知能持ってる!?」

「我は最高の技術にして藝術・・・そんな事は当たり前だ」


シリウスは相変わらず口から闇を醸し出していた。


「・・・知能とかいう随分無駄な機能が備わってるみたいだけど・・・。

・・・そんなのも、この剣でぶった斬る!」


するとシリウスはそんなサリエルを薄笑いで小馬鹿にしてから威厳を持って言い放った。

貫禄のある重たい発言。


「・・・希望、真実、夢・・・。


・・・心の何処に存在し、心の何処へ行くのか?


・・・そんな儚き妄想は、我が力で破壊する!」


                    δ


マグナ・シリウスはその巨体を生かしていきなり4人に向かって圧し掛かってきたのだ!

4人は慌ててすぐに離れ、先程までいた場所で衝撃波が起こり、地震のような振動も発生した。


「うわ!?」


足元のバランスを崩し、ぬえとカナは尻餅をついてしまう。

サリエルと夢美は吹き荒れる衝撃波に耐え乍ら武器を構え、敵を見据えた。


「あの目が検知センサーだったな・・・!」


しかし夢美はハイドロガンであり、放った気圧は衝撃波によってかき消されてしまう。

物理的にサリエルがセノヴァで引き裂くしか方法は無い。


「さ、サリエルっ!」

「任せて!」


サリエルは衝撃波が収まらない中、セノヴァを構えて一気に飛びかかった。

衝撃波が彼女の行く手を遮るが、そんな中重たい一撃を究極の芸術に当てようとした。


「今だ!」


そこでアシストに入ったのはぬえであった。

尻餅をつきながらもショットガンの銃口の狙いをマグナ・シリウスの眼に向け、引き金を引いた。


一発の銃声はマグナ・シリウスの左目に直撃し、藝術は狼狽えた。


「ウオオオオオォォォォォォォォォ・・・・」


その間にトリガーを引き、彼女は重く固い装甲に剣でぶつかった。

剣先が冷酷なる金属に当たった瞬間、罅が入って中の緻密な構造が露見した。

サミニウムが3つも使われているマグナ・シリウスはある意味最強であろう。


「・・・サミニウムが3つも!?」

「やっぱりコイツは只者では無かったですね・・・」


衝撃波が吹き終わり、2人は立ち直って中の構造が露見したマグナ・シリウスと対峙した。

左目に罅が入って光を失っており、彼は憤怒を示していた。


「・・・全ては我が藝術の隸!負けるわけにはいかないのだ!」


すると彼の眼が真っ赤に染まり、目の前の4人をターゲットとして闇の力を溢れださせる。

口から洩れる魔障が彼の本性を示しているかのようであった。


「起動、『ダークシュトロム』」


―――刹那。

口から放たれた、闇の波動砲・・・巨大な暗黒光線が4人に向けて放たれたのだ。

恐ろしくも悲しき、餒虎のような一撃。

孒のように左の眼を失った、マグナ・シリウスのとどめの一撃だった。


「ヤバい!」


すぐに恐ろしさを察した4人はその場から離れた。

そして元いた場所で―――闇の大爆発が起こったのだ。

目を彳亍(てきちょく)させながら彼女は畏怖を醸す一撃に心から身震いした。


「・・・な、何だよ今のは・・・!?」

「逆にそれがチャンスだったりするんですね!」


カナはそんな間にマグナ・シリウスへと飛びかかったのだ。

勇気と恐怖が乖繆していた彼女の渾身の道路標識での一撃―――。

反動で動けない究極の藝術のサミニウムを砕かんと勢いで振り上げた。


だが、残っていた右目がそれを捉えていた。


「我が厖大なる力を前に恐れ讃えよ!」


右目が輝いたと同時に目から放たれた抹殺光線―――。

稲妻のように迸った光陰は目の前にいたカナをしっかりと捉えていた―――。


「そうはさせない!」


右目から放とうとした光線を防ぐため、夢美は彼の右目にハイドロガンの狙いを定めた。

銃口をすぐに定め、引き金を引いたと同時にマグナ・シリウスの右目は砕けたのだ―――。


「ぎゃあああああ!!!」


検知器を失い、4人の存在が確かめられなくなったマグナは盲目になったと等しいのだ。

盈溢(のういつ)した知能を一瞬で疣贅としてしまったマグナ・シリウス。

究極の発明にして藝術という誇りは何処へいったのであろうか。


「さよーなら!」


カナの重たい一撃が中のサミニウム3つを同時に叩き割った。

元々脆い性質のサミニウムを割ることは極めて楽であった。


そしてマグナ・シリウスの巨体は地に沈んだのだ。


                   δ


孑然と待っていたであろうマグナ・シリウスはもう瓦礫となってしまった。

最強と謳歌した猛き者も滅びゆく、無常感の中では仕方ないことなのかも・・・しれない。


「こんな奴、さっさとほっといて2人を追いかけるよ!」


トリガーを引きなおしてセノヴァを大剣に戻したサリエルは奥へと足を進めた。

せっかちな彼女を追いかける3人。


「ま、待ってくださいよー!」


4人が広間から去った後、電灯が虚しくもマグナ・シリウスの瓦礫に光を灯し続けていた。

氤氳が戻ってきた広間は静まり返り、声も音も広間に鬯浹しなかった。

彼の壊れた心に残った黮闇は淋しげに纘繼していた。

鬮するはずが鬮された・・・戇愚な話で終わりそうな彼の終焉も、虚構が灎灎とした中で終わったのであった。


マグナ・シリウス―――瀟灑な飂戻に黮闇を乗せた時、彼は本当の龗に為れたのかも―――しれない。


「彳亍」って熟語は難しいけど覚えれば何処でも使える便利なヤツ

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