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EPISODE 12

こんな会社の裏事情の話とかなのに最後には神とか出てくるんだぜ・・・


美鈴は2人が動いたことをリリーから聞き、録音機を構えて尾行していた。

本店へ入っていく2人の後をつける美鈴。

彼女たちはどんどん奥へと進むが、美鈴に気づいている気配は無かった。


彼女たちは全く気づかないまま静かなフロアへ足を運んだ。

今日は何かしらの会議かイベントがあるらしく、誰もいない世界を進んでいく。


静まり返ったフロア。

その中を誰にも気づかれないように千鳥足で歩く衣玖と天子。

が、既に後をつけられていることを知らないようであった。


そして頭取の部屋・・・今日は出張で不在らしい蓮子の部屋へ入る2人。

蓮子の机の中を漁り、今月の融資についての書類を手に入れたらしい。


「これで博麗製鋼への着服の金が出来る・・・」


それを録音し、すぐさま美鈴はリリーへと転送した。

2人は部屋から出てきたため、美鈴は近くの机の下に隠れる。

2人は書類改竄の為にパソコンを立ち上げ、編集したようであった。


「・・・完璧」


編集し終えた2人は頭取の机へ戻り、綺麗に整え始めた。

その隙を狙って美鈴は机の下から出るが、そこでばったりと顔を合わせてしまった。


―――魔理沙だ。


「・・・お、お前は美鈴・・・まさか、今の行動を!?」


そして2人も部屋から出て美鈴と遭遇してしまう。


「・・・逃がしませんよ」


そう彼女が言った瞬間、3人の顔は青ざめて何処かへ疾走し逃げてしまった。

速いスピードで逃げる彼女たちに対し、美鈴も追いかける。


「あのまま改竄されたら・・・大変なことになる!」


しかし入りくねった行内、彼女たちはあっという間に行方を眩ませてしまう。


「美鈴!」


そこへやってきたのはサリエルたち4人とマエリベリー、そして蓮子であった。


「皆さん・・・3人が!3人が逃げました!改竄してます!」

「懲らしめるしかありませんね・・・!・・・着服されたら銀行が破綻します!」

「こんな奴を雇っていたとは・・・私の目も腐っていたものだ」


蓮子は衣玖について後悔していた。


「兎に角、奴らを探そう!監視カメラのモニターが設置してある監視室へ行って何処へ逃げたか考えよう」


すぐに監視室へ赴いた一行は大量のモニターを前に戸惑うものの、中で3人がいないかくまなく探した。

すると急に監視室の扉が開き、そこにはミニ八卦炉を構えた魔理沙の姿があった。


「あーめんどくさい!ここで全員焼き殺してあげるぜ!」


そして突然襲来してきたのだ!


                δ


「お前らなんか焼き殺してやる!恋符、マスタースパークっ!」


ミニ八卦炉にエネルギーを充填し、溜まったエネルギーを一気に前方に解き放った。

解放されたエネルギーは暴れ狂う白竜の如き勢いで6人に襲い掛かる。


「セノヴァ!期待に応えてくれ!」


サリエルは咄嗟にセノヴァを地面に刺し、固定した盾を作りだした。

マスタースパークはその盾に直撃し、サリエルがセノヴァを必死に固定していた。


「今ね!」

「そうみたいです!」


マスタースパークを放った魔理沙に対し夢美とぬえは遠くから射撃を行う。

2人の放った銃弾が彼女に向かって飛ばされるが、すぐに見切った魔理沙はマスタースパークを止めて避ける。


「赦さないぞ・・・博麗製鋼め!」


美鈴から聞いたことから全てを悟った蓮子も怒りを露わにするが、魔理沙は舌を出して挑発していた。


「だーから何だぜー?お前らはお前ら、私たちにとっちゃどーでもいいんだぜー!」

「堕ちたな・・・博麗製鋼の副経営者か・・・」


サリエルは魔理沙の言動に呆れざるを得なかった。


「堕ちた?そう・・・なら、再び飛翔するまでだぜ!」


すると彼女の背中に美しき白翼が生えたのだ。

白い羽根を幾つか空中に舞わせながら華麗に降りたった天使。


「・・・これがサミニウムの力だぜ!もう私は人間じゃない、天使だ!」

「天使、ね・・・。・・・私は『死の天使』よ。同じ天使だけど、気が合いそうにありませんね」

「なら天使同士で戦うまでだぜ!」


彼女は上に右手を掲げると、真上から大きな光が溢れだす。

太陽のように眩しい光の球を作りだした彼女は大声で叫んだ。


「終わりだ!『ミッシング』!!!」


叫んだと同時に呼応した光の球。

そこから大量の光の矢が魔理沙の舞う白い羽根と共に襲い掛かってきたのだ。

無差別に狙いを定める光陰の矢。


「白亜の天使の下で跪け!」


襲い掛かる白亜の矢。

光と共に舞い降りた天使が放った究極の一撃である。


「お前らのさよならはずっと私の心の中に記憶しといてやるぜ!安心しな!」


魔理沙はそうサリエルたちに叫んだ。

サリエルは迫りくる白矢に大剣を構えた。


「・・・襲い掛かる光陰に、私は負けない!」


右顧左眄も無く、矢の雨の中を搔い潜りながらセノヴァを構えて魔理沙の元へ飛びかかったサリエル。

トリガーを引き、7本の剣に分裂し、一気に斬りかかった。

そんなサリエルを嘲笑う魔理沙。


「終焉の裁きを与えてやるぜ・・・!」


斬りかかるサリエルに向かって矢を集中砲火させる魔理沙。

神々しい光が彼女を大天使のように見せかける。


「調子に乗るなよ横領魔法使い・・・!」


魔理沙の後ろから飛びかかったのはカナであった。

道路標識を構えて、一気に魔理沙の頭部を標識で思いっきり叩きつけた。


「ぎょえっ!」


彼女は叩かれた衝撃で混乱し、頭がフラフラになる。

矢は止まり、サリエルの天下であった。


「―――一閃」


彼女は一瞬にして大天使となった魔理沙を斬り抜いたのだ。

斬られた感覚もしないまま、サリエルは着地し、続くように6本の剣が地面に刺さる。


「・・・魔理沙、お前の負けだよ」

「・・・う、嘘・・・だ・・・」


そして斬られる感覚を得て彼女は空中で光を放ちながら爆発した。

それはサミニウムを取り込んだ彼女から溢れだす有り余ったエネルギーであり、彼女は爆発が終わると地面に落ちた。


「・・・まだ、まだ戦える・・・!」


ミニ八卦炉を構えてサリエルと戦おうとする魔理沙。

最後まで足掻く魔理沙に対して夢美は呆れた。


「じゃあ大人しくしろよ」


ハイドロガンを彼女の右足に射撃し、彼女はその瞬間に倒れこんだ。

足を抱えて痛がる魔理沙。

ミニ八卦炉を地面に落とし、すぐにカナによって回収される。


「や、やめろ・・・わ、私の宝物・・・に・・・手を・・・出すな・・・!」


必死でカナに話しかける魔理沙にカナは見下しながら笑った。

それは鈴仙を操っていた魔理沙にも本質的な恨みを抱いていたからだ。


「宝物?笑わせてくれるね。横領なんか企む副経営者の宝物なんて壊してあげよ!」


カナは嘲笑いながら道路標識を構え、地面に置いてあるミニ八卦炉に向かって力一杯叩きつけた。

魔理沙は涙目で彼女を止めようとする。


「お願いだ!それだけは・・・それだけは!・・・止めてくれ!」


するとカキンという音と共に道路標識の動きが止まった。

カナの暴走を止めたのは紛れも無い、サリエルであった。


「・・・どうして止める?」

「・・・幾ら悪い事をしようと企んだとは言え、同じ世界で暮らす仲間の1人なんだよ。

心情も感情も、全員に存在する。・・・やっていいことを考えろ」

「でもコイツは金を横領しようとした!こんな奴に・・・」

「カナ」


そう呼び止めたのは夢美であった。


「恨みなら、もう返せたじゃないか」

「返せてなんかない!コイツに苦しめられたんだよ、私は・・・!」

「・・・なら魔理沙、カナと美鈴に向かって土下座しろ。これで気が済むだろ」


陰の存在となっていた美鈴は突然話しかけられて驚く。


「あ、え、はい」

「・・・」


カナは無言でいた。

夢美は魔理沙に脅しをかけ、魔理沙は元々扱き使っていた社員2人に土下座をした。


「誠に・・・すみませんでした・・・」


もう彼女にプライドも何も存在しない。

身体も精神もボロボロにやられた彼女は悔しさの涙を流していた。

いざとなって魔理沙が土下座すると、カナは動揺してしまった。


「―――顔を上げなよ」


そう呟いたのは―――カナであった。


「・・・なんか、もういいや。・・・横領は止めて見せるけど、個人的な恨みは晴らせたような気がする。

・・・それに、人の大事な形見を壊そうとしてた私が怖く感じてきた」

「人は憎悪で何にでも為れるからね。恐ろしい話だ」


憎悪に身を任せていたカナが呪縛から解き放たれたのだ。

因みに美鈴は気まずい空気に居心地が悪そうであった。


「あ、もう土下座しなくていいですよ」


美鈴が言うと、希望もへったくれもない魔理沙は帽子を深く被って立ちあがった。


「・・・マエリベリー、蓮子・・・もう、私は何も言わないぜ・・・」


2人に話しかけた魔理沙はそのままボロボロの身を背負って何処かへ消えてしまった。

悲しさを物語る彼女の背中―――空気の飂戻に身を任せて、知らない世界へ旅立ったのだ。


「・・・魔理沙・・・」


悪い事をしようとしたのは明白な事実であり、サリエルたちも同情するつもりはない。

只、彼女に込められた悲嘆を垣間見て、何処か胸苦しい思いになった。


「・・・ここで色々やってても仕方ない、早く2人を追いかけよう」


サリエルはトリガーを引き、セノヴァを大剣に戻す。

天子と衣玖は既に姿を眩ませていた。

が、どうやらパンクか何かで躓いていた。


「・・・こんな時に奴らもパンクか、悲しいな」

「まあこちらの番は終わったんでね、早い所もう行きましょう」


サリエルと夢美の言葉を受け、4人は動いた。


「私たちは衣玖と天子の行方を追います。・・・美鈴さんは?」

「私は支店へ赴いてリリーさんとお話します」

「分かりました。専務取締役と頭取もお元気で」


そうぬえが別れ際に言うと、彼女たちも頷いた。


「私たちの為に・・・ありがとう」

「・・・これは東方重工という会社が歩んだ、立派な英雄譚になりそうだな」


これは何物でもない、東方重工という中小企業が歩んだ物語なのだ。

歩んだ先に待ち構えた闇に立ち向かうことは大きな勇気が必要となる。

それを成し遂げたサリエル・・・彼女こそ、この世界で必要な人材なのかもしれない。


                δ


小傘は早苗からヘカーティアの出張の日程を聞き出し、月麗カンパニーへ忍び込んだ。

そしてヘカーティアの机を漁ると、欲しかった情報が載った書類が見つかった。

それは月麗カンパニーの最上級の企業秘密であり、彼女は恐るべき禁忌を手にしたのだ。


目を輝かせて、彼女はその書類を手にした。

心を揺さぶらせて、その世界という概念に彼女は触れたのだ。

そして彼女の心に出来上がった廱疽が―――恐ろしく悲しい黷武を生み出したのだ。

負の饞嗜の感情を煮えたぎらせ、良心と言う正の感情に靄靄が立ち込める。

礱礪した目で何度も見返した小傘。―――そこに残った感情は一体何なのだろうか。


「秘密恍炉について」




今回のボス役は西方project版をイメージしてます



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