第33話 二回戦
草津温泉スキー場の天狗山レストハウスのスタート地点を通過。
レースは2周目に突入。
クラスK先頭を行く坂口拓洋はここから更に本領発揮する。
今まで、85%~95%で走っていたが、ここから95%以上の力を発揮する。
天狗山レストハウスの時点で0.5秒程度だった2位通過の白雪アンナとの差が、櫻井ホテル前の交差点で1秒差になっていた。
一方で、5位通過の小岩剣は、長いレース時間による体力の消耗に襲われていたが、前を行くSEEKERとの差は天狗山レストハウス、櫻井ホテル前の交差点共に、0.5秒差。
小岩剣は下手に勝負せず、SEEKER S660の背後に付き、引っ張って貰うという戦法を取っていた。
こうすることで、ペースダウンを最小限に食い止めつつ、体力の消耗を抑えるのだ。
道の駅までの短い上り坂を上り切ると、そこから再びダウンヒルが始まる。
SEEKER S660のラインをなぞるように走る。それは同時に、SEEKERを操るレーシングドライバーのテクニックもコピーしているのだ。
しかし、本当にコピーしたい相手である、坂口拓洋はかなり前に居る。
坂口拓洋はメロディーラインを通過していた。
白雪アンナとの差、1.5秒に拡大。
孤独なトップ独走と言いたいが、坂口拓洋と白雪アンナの合間に、シルビアS15が居た。一つ上のクラスBの車だ。
(けっ!お前ぇが遅ぇから、俺に抜かれてんだよ!何、変なプライドで噛みついてんだよ雑魚D1ドライバー女が!)
坂口拓洋、舌打ちする。
高速コーナーでHigh Gターンを繰り返す。Gが、身体を襲う。
そして、浅間・白根・志賀さわやか街道の交差点が迫る。
ここで、シケイン状に右折する。
そのためにはブレーキングが必要だが、拓洋はまだブレーキングしない。
そして、それにS15の女性ドライバーはハマった。
拓洋に惑わされ、S15は拓洋と同じ勢いで交差点に進入。だが、
「しまっ―!」
S15はオーバースピードでアンダーステアを誘発。
さらに、白雪アンナも拓洋の走りに惑わされて、ブレーキングポイントを見失った。既の所で、アンナはスピンでクラッシュを免れる。
だが、S15はブレーキロックしたまま、クッションドラムに体当りしてクラッシュしてしまった。
そして、それを避けるように、後続が交差点を右折。
小岩剣も続く。
(哀れ。)
と、小岩剣は思った。




