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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第8章 再開の宴
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第65話 王都からの訪問者

カランにある光の大神殿。大神官の執務室に、王都の総本山から来た神官たちが、光の大神官とともに、ある人物を待っていた。

”コンコン”

「誰だ?」

ドアをノックする音に、大神官が答える。

「光の神子様がお見えになられました。」

「中にお通ししなさい。」

「畏まりました。」

ドアが開かれ、神子の衣装に身を包んだヒカリが、執務室の中に入ってくる。ヒカリが部屋の中に入ってくると、椅子に座っていた神官たちが一斉に立ち上がり、ヒカリが座る上座の席に向けてお辞儀をした。ヒカリが席に座ると、神官たちは、お辞儀をやめて席に座る。椅子に座ったヒカリの膝には、いつの間にいたのか、1匹の白猫が乗っかってきた。白猫は、ヒカリの膝の上で、大きな欠伸をして、ウタウタと寝息を立て始める。

それを見ながら、神官を代表して、1人が口上を述べた。

「光の神子様。本日はお忙しい中、我々にお時間をとって頂き、誠にありがとうございます。」

ヒカリは、出された紅茶を1口飲むと、神官に言う。

「前口上は結構です。それで、今日訪ねてきた本題は何でしょうか?」

新案は、頭を軽く撫でて苦笑いを浮かべた。

「これは失礼いたしました。私どもは、王都にある総本山『フレア教大神殿』より参りました。総本山には、神々の王、この大地テラフォーリアをお造りになられた創造神『金色の女王(クインメシア)』様をお祀りしております。」

「そのことについては、私も存じておりますが、その話と今回のご訪問とは、何か関係があるのでしょうか。」

ヒカリとしてみれば、何処の神殿で、どんな神が祀られていようが関係のないことだった。たまたま、カランにある『光の大神殿』には、龍神『光龍フレクシア』が祀られており、ヒカリは、『光の神子』として神殿で働いているだけだ。神官は、冷めきっているヒカリをじっと見つめて、話の続きをしていく。

「この事実は、ただの前置きとしておいてください。ここからが本題なのですが、先日光の神子様から、第4王女メーリア=サンダレス様に贈られた『加護のネックレス』が、王家の中で少し問題になっているのです。」

「問題とは?『加護のネックレス』は、光の大神殿以外の各大神殿で、加護を受けた者に贈られているはずですが。贈った数は、それぞれの大神殿で異なるのですが。」

事実を言えば、ヒカリたち神子の独断と偏見で贈っていた。そんなことは口が裂けても言えないが…。神事以外でも、ヒカリは、結婚式でヒカリに付き従っていた少女4人に贈った事がある。話を聞いたことはないが、タケシたちも神事以外で贈った事があるという。

「その事については、我々も調査しているので別に構わないのですが、問題となっているのは、『王位継承権』なんです。先の神事の前に、現国王陛下が、『王子王女の中で、加護を受けた者を時期皇太子に任命する』と、勅命を出されました。

現在、この国の王子様王女様は、全部で9名いらっしゃります。その中で加護を受けれたのは、5名の王子様と王女様です。その中で本物の加護を受けれたのは、2名のみでした。その2名が、第4王女メーリア=サンダレス様と、第5王子マルコ=サンダレス様のみでした。本来なら、年齢順に王位継承権が与えられるのですが、年長組の3名と、年少組の2名には、同じ加護でも全く異なります。」

そこまで聞いて、ヒカリは、正解を導き出した。

「それが、『加護のネックレス』の有無ですか。」

ヒカリの回答に、神官は大きく頷き、話を続けていく。

「はい、その通りです。国王陛下は、こう仰りました。『神の化身たる神子様から頂いたネックレスを持つ、第4王女メーリア=サンダレスを、王位継承権第1位とし皇太子に任ずる。第5王子マルコ=サンダレスを、王位継承権第2位に任ずる』と。

これに反発したのが、形だけとはいえ加護を受けた年長組3名です。この3名が、のちに我々総本山に詰め寄ってきました。そして言い放ったのです。『何故王都にあるこの大神殿だけ、神子様が不在なのだ?そのため私たちが継承権を貰うことが出来なかった。これは、神殿がしっかりと神子様を探し出せなかった失態である』と。

我々も、光の神子様たちが、この地に現れてから、必死に『金色の女王(クインメシア)の神子』様を探しております。しかし、一向に見つける事が出来ません。最後の望みと、光の神子様にお手伝いをして頂きたく、ここに参った次第です。」

「つまり、あなた方は、私に『金色の女王(クインメシア)の神子』の捜索に協力してほしいと仰っているのですね。」

「恥を忍んでお願いいたします。」

神官たちは、ヒカリに深々と頭を下げた。

金色の女王(クインメシア)の神子を探すお手伝いは出来ませんね。」

「何故ですか?理由を伺ってもよろしいでしょうか?」

「分かりました。では、こちらから質問いたしますが、そもそも『金色の女王(クインメシア)』とは、どんな神なのかご存知でしょうか?」

ヒカリの問いに、神官の一人が答える。

「我々の教義では、『金色の女王(クインメシア)様は、この大地をお造りになり、我々生きとし生けるものすべてに平等にお与えになられた存在』と定義づけております。」

「その定義で大体合っています。では次に『龍神』とは何ですか?」

これについては、この場にいる全員が答える事が出来なかった。ヒカリは、それを確認すると、自ら答えを話し出した。

「この答えを出すには、神話時代の話をしないといけません。ところで、現在伝わっている神話は、何処まで知っていますか?」

これには、光の大神官が答えていく。

「神話ですか。伝承などで言い伝えられている話では、簡単に話しますと、次のように伝わっています。

この広い世界は、数多くの宇宙空間が存在する。すべての宇宙空間を支配しているのが、『絶対神ロードオブナイトメア』。そのもとに、各宇宙空間の根源を司る3柱の神がいる。

時間を支配する『時間神タイムリア』、空間を支配する『空間神スペーシリア』、重力を支配する『重力神グラヴィシア』の3柱。

そして、テラフォーリアの創造神、『金色の女王(クインメシア)』。そのもとに集う各龍神。と言うのが、今現在テラフォーリアで語られている神話の概要だったと思いますが…。」

この概要と実際の話は、何か違うのかと視線でヒカリに話す大神官。ヒカリは、苦笑しながら大神官の話を受け継いだ。

「私が知る限りの神話やお伽噺には、そう書かれていました。実際のお話は、大分と違っています。」

「実際の神話と、現在伝えられている神話と、何が違うのか出来るのなら教えてもらえないでしょうか。」

王都から来ている神官の一人が、ヒカリに懇願した。

「別に構いませんよ。神話の話をしないと、何故金色の女王(クインメシア)が神子を選ばないのかと言う疑問に答えることが出来ませんから。このお話は、ここだけのお話にしておいてください。不用意に世界を混乱させることは、好ましくありませんので。」

ヒカリは、光の神子になった時、光龍フレクシアから教わったテラフォーリアの歴史を話した。

「…、以上の理由で金色の女王(クインメシア)が神子を選ばないのです。先程神官の方が話された通り、金色の女王(クインメシア)は、ここテラフォーリアで暮らしているすべての生物に対して、遍く平等の立場にいます。

『神子』とは、即ちこの大地の上で暮らす生物の内の『人族』の中から選ばれます。裏を返せば、すべての生物の中から『人族』だけを優遇する事になり、『すべての生物に対して平等である』という立場に反してしまいます。その結果として、『金色の女王(クインメシア)の神子は現れる事はない』となります。」

「そんな裏話があったんですか。では王族が、『金色の女王(クインメシア)の神子』について何か言ってきたら、神話云々の話は横に置いておいて、金色の女王(クインメシア)様は、『すべての生物に対して平等である』から、『人族から選ばれる神子様は現れる事はない』と宣言してもよろしいですね。」

神官の一人の言質を、ヒカリは肯定した。

「それで構いません。さらに何か言ってきたら、私や龍神の名を出しても構いません。何なら折角ここまでお越しいただいているのですから、『顕現なされている光龍フレクシアから教わった』とでも言えば、たいていの人は納得するでしょう。」

「では、そのように対処させていただきます。本日は、お忙しい中、我々に時間を頂きありがとうございました。

そう言えば、光の神子様は、王都にちょくちょく遊びに来られているそうですね。」

ヒカリにお礼を言った神官が、余談としてヒカリに聞いてきた。

「ええ、頻繁には訪れてはいないけれど…。王都に行ったとしても、支店の様子を見るだけですが、それがどうかしましたか?」

「大変言いにくいお話なのですが、次回王都に来た折には、ぜひ総本山にも遊びにいらしてください。」

「…考えておきます。」

ヒカリは、どっちとも取れる返事をして、場を濁した。

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