第6話 キャロルは何者?
「それでは最後の質問をします。キャロルは『一部の者しか見えない光を追って私たちを探し出した』と言いました。その『一部の者たち』とはどんな存在の者たちですか?そして、キャロル、あなたはいったい何なのですか?」
光莉の質問に、キャロルは、暫く目を閉じて何か考え事をした後、ゆっくりと話し出した。
「まずは、『一部の者』についてお話します。それは、私の正体についてでもありますが、まずは、このテラフォーリアで暮らしている種族についてお話します。
この星に暮らしている者は、光莉たちのように何処かか違う世界から、飛ばされてきた者たちと、その子孫たちです。それは、異なる時代、異なる空間、異なる世界といろいろありますが、義減の裂け目に取り込まれたモノは、すべてこの亜空間に捕らわれてここに流れ着きます。
次元の裂け目が現れる原因はいろいろとありますが、ここ手は割愛します。
亜空間に捕われる種族は、千差万別。大きく分けて、人族、獣人族、魔族、神族、魔獣、魔物に分けられます。
この中で、亜空間に捕われた時に観測する光を見ることができるのは、神族のみです。さらに、ヒカリの中の力の大きさまでわかるのは、神族の中で、龍神族と呼ばれる者たちと、創造神だけです。
私は、すべての種族からこう呼ばれている者の地上界での仮の姿です。
『この世のすべてを束ねる存在、世界の始まりを知る存在、金色の女王』と。」
キャロルの告白に、光莉たちは茫然とした。なんせ、目の前にいるエルフの少女が、この世界の創造神の仮の姿なのだから。暫くして光莉は、キャロルに対して、新たなる疑問が生まれた。
「キャロル、あなたが創造神ならば、私たちを元の世界に返すことはできますか?」
キャロルは、光莉の問いに、首を横に振って答えた。
「光莉たちを元の世界に返すことは、私でもできません。
その理由は、2つあります。
一つ目は、私自身、遥か昔にこの亜空間に捕われた者だからです。
二つ目は、亜空間に捕われるときに現れる光です。誰かがこちらの世界に捕われる時、この光は現れます。しかし、光が繋がる先が問題なのです。
光が現れた瞬間に、光の中に飛び込めば、光の先の世界に行けるのですが、その世界が、光莉たちが暮らしていた時間軸、世界に繋がっている確率は、限りなくゼロです。つまり光に飛び込んでも、どこか違う世界に飛ばされるだけです。
それは、創造神たる私とて同じ事。
私は、遠い昔、どこかの宇宙に誕生した星系の創造神として生まれた。星系の中の秩序を安定させて、生命を育もうとした矢先、星系ごと亜空間に取り込まれてしまった。
私だって、最初は変える方法を必死になって探したの。…、しかし、できなかった。
それならば、せめてここに落ちてきた者たちに、安住の地を与えようと…、たまたま星系ごと引き込まれてきたここに、落ちてきた者たちすべてを集めるようにしたの。それがテラフォーリアの始まり…。そしたら、いろいろな種族が暮らす惑星になってしまったの。
魔族や魔物は、その時に取り込まれた動植物が、この星に満ちていた魔素を大量に取り込んでしまい、魔力が暴走してしまった者たち…。
それまでは、亜空間に取り込まれた者は、なんであろうと漆黒の闇の中で、孤独にその命を終えるしかなかった。いや、正確には、その形を維持することが出来ずに消滅していった。」
キャロルの話したことは、光莉たちにとって、衝撃的な内容だった。二度と元の世界に帰れない。神さえも戻ることは許されない世界何だから…。
暫くの沈黙の後、光莉はキャロルに言った。
「…、私たちがもう元の世界に帰れないことは解りました。後は、…先程話したように、本人次第になりますが、私は、せっかく授かっている力をこのまま放置しておく事はできません。この力があれば、今日のように魔物に襲われても、自分で何とかできるようになるのだから。…、それに、町中にいても危険
なのは変わりないのだから。
…、キャロル、私を…、私に力を使えるように修行をさせてください。」
光莉が深くお辞儀をしてやろるに頼むと、ほかの女子たちも光に倣ってお辞儀をした。
「光莉だけ強くなろうなんて許さないから。それに男子どもにいつまでも大きな顔をさせておくのも面白くないし…。」
「そうね、私も毅の隣に立って歩いていきたいし…。」
「やっぱりあの噂は、本当だったのね。」
「玲子、『噂』って何?」
「生徒会長と副会長は、実は恋仲っていう噂が学園にはあったのよ。毎日一緒に登下校しているって話だし…。」
「毅とは、ただの腐れ縁だし、それに、家では主従の関係で、同じ敷地で暮らしているだけだもん。それは、玲子だって知っているでしょう。私たち3人は、5日違いで生まれて、兄妹みたいに育てられたんだから。」
光莉は、顔を真っ赤にさせながら、必死に意味のない反論をしていた。
「はいはい、そんなことはどうでもいいでしょ。ここでは、家の中の関係とかは、意味のないことなんだから、自由に恋愛してもいいのだよ。私だって、気になっている人がいるし…、隙あらば告白だってするかも…。」
「それは初耳ね。それじゃあ、女子連合としては、誰が誰を好きになってもいいことにしましょうか。つまり、恋愛は…。」
「そんなことよりも、あなたたちもキャロルの修行を受けるのね。」
光莉は、真っ赤になりながら、脱線していた話を元に戻した。
「…、ええ、私たちも力があるなら、伸ばしていきたい。」
「じゃあ、改めてキャロル、私たちを鍛えてください。よろしくお願いします。」
「わかったわ。こちらこそよろしくお願いするわ。
今日はもう遅いから、明日の朝、ここで修行をしましょう。」
こうして光莉たち女子連合(成り行きで命名されたパーティの中の女子全員)は、明日からキャロルの監修のもと、魔法の修行をすることになった。
「そういえば、男子たちも一緒に誘う?」
玲子は光莉に尋ねた。光莉は、少し考えた後、答えた。
「まあ、男子どもを蚊帳の外に置いておくのもなんだし、今夜にでも話してみるわ。それに強くなれば、もっと高度な依頼も受けていくこともできるだろうし…。男子どもには、たくさん稼いでもらいたいしね。」
光莉たちは、談笑しながらカランに戻っていった。
話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。




