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亡国の姫と成り上がり王  作者: 灰色のアルタ
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新たな日々


 その後 少女は、産みの母である ミレアムと引合された。

2人は、互いに その再会の意味を理解していない。

けれど 心の奥では、何か 察知していたのだろう。

16年もの間 離れ離れになっていた 母娘(おやこ)は、自然と涙を流していたのだから。

そして ミレアムは、徐々に 正気を保てるようになった。

まるで 奇跡の神が、舞い降りたかのように。

それこそ 立場上は、敗戦国の王妃ということで 悪意を受けることもあった。

けれど 本来 持ち合わせていた 社交性で 人々から信頼を得られるようになっていく。

見た目こそは、弱そうだったが 芯のしっかりしていた女性で 絶望から立ち直ったその姿は、女性から 特に慕われるようになる。

そして ギオーレの第2王女(・・・・)である リリアンとプルトン王のエミリオとの結婚は、周辺諸国に様々な憶測を与えた。

しばらくは、噂が飛び交ったが 2人が 仲睦まじく 寄り添う姿に 誰もが、その結婚を祝福する。

その隣には、ギオーレの第1王女(・・・・)である 幼い姉姫の姿も。

彼女は、母である ()()ムの名から 【ミア】と呼ばれていた。


 「リリィ………プルトン オウとケッコンするの?

イジめられたら オシえてね?

ミンナが、タスけてくれるから」ある 一室で ミアは、真剣な顔で言う。

部屋の中にいるのは、その部屋の主である エミリオと直に妻となる リリアンだ。

「俺は、リリアンをいイジメるわけがないだろう?」

エミリオは、そう言って 呆れた顔。

その答えを聞いて リリアンは、恥ずかしそうに 笑っている。

「けど カイ イってた。

プルトン オウは、イジワルだから」

「カイウスの奴………なんてことを言ってるんだ?!

っていうか ミアは、カイウスのこと好きか?」

エミリオの問いかけに ミアは、満面の笑みを浮かべる。

「ダイスキッ!

カイ………ヤサしいもん。

ギュって してくれるのヨ?」

「よっしゃ………今度 ロリコン って 言ってやろう」

エミリオは、不敵な笑みを浮かべる。

そんな彼の様子を見つめて リリアンは、苦笑していた。

「いけませんわ エミリオ様。

カイウスをそんな風にからかっても ご自分に跳ね返ってくるだけなのですから」

リリアンの悪気のない言葉に エミリオは、悔しそうな顔になる。

「なんだか リリアンまで あいつらの毒気に充てられてきているような気がするんだが」

「まぁ それは、気のせいですわ?

あたくしは、昔から こうですもの」リリアンは、楽しそうに言う。

「陛下………こちらに リリアン様とミア様は…」

侍女が、数人 息を切らせて 部屋の中に入ってきた。

「あら………見つかってしまいましたね?」

「ミつかった ミつかったッ!」

楽しそうな王女2人とは、裏腹に 侍女達は、泣きそうな顔だ。

「笑い事ではありませんッ!

お2人とも 今度の宴用のドレスを新調する為 お部屋でお待ちくださいと申し上げましたのに………勝手に抜け出されてしまわれて!」

「特に ミア様は、すぐにお体が大きくなってしまわれるんですから」

彼女達の嘆きに エミリオは、納得したように苦笑している。

ミアは、あの部屋から出てから 成長期に入ったかのよに 大きくなっているのだ。

「あんまり 心配をかけるんじゃないぞ?

みんな 2人を想っているんだからな」

リリアンとミアは、わかっている と 頬を膨らませる。

そして 2人は、引きずられるかのように 侍女達に連れて行かれた。

「っと………王女達は、いないのか」

山積みの書類を持って カイウスが、執務室に入ってくる。

「さっきまで いたが 侍女達に連れて行かれた。

今頃 着せ替え人形になっているだろうよ」エミリオは、書類に目を通しながら言う。

「もうすぐ お前とリリアン王女の結婚だな。

城の連中も、大喜びさ。

リリアン王女の心を知って………最初は、冷たく接していた 奴らも、今じゃ 俺達よりも、あの2人の味方なんだから。

俺達も、2人に出逢えて 色々なモノを得られることができた 」

カイウスの言葉に エミリオは、頷く。

「その通りだ。

確かに 失ったものもあるかもしれない。

だけど その分 大切なものを手にすることができた」エミリオは、窓の外を見つめながら言う。

その視線の先にある 窓には、光り輝く 太陽が世界を照らしていた。

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