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私の力はSランク冒険者だった?

 ジョエルのファミリーとなり、随分経った。

 仕事も順調で全部上手くいった。

 私に任せられるのは用心棒だったり護衛だったりするけど、たまにモンスターの討伐なんかもあった。

 ビル達とは約束した通り、食事の時や仕事なんかでちょくちょく一緒になるので寂しくは無かった。


 皆幸せそう。

 私も居心地が良い。

 そんな風に思える様になってる。


 「ご機嫌だな。

  今日は大将からプレゼントがあるぜー

  着替えたら大将の部屋に集合だ」

 「プレゼント?

  何かしら?」


 ラルフは「さーなー」と言いながら先にジョエルの部屋へと向かった。

 起きたばかりの私も服を着替えてジョエルの部屋へとやって来た。


 驚く事に、ジョエルの部屋には皆集まっていた。

 ビルもミックもロイもエミーも居る。

 それに、鍛冶屋の子達も……

 テーブルの上には豪華な食事が用意されていて、これからパーティーでも始めるかの様だった。


 「さて、主役も登場した事だし始めるぞー」

 「大将、面倒だからって挨拶を省いたら何の催しか分からないだろ」


 ジョエルが「面倒臭せえからお前がやれ」と言ってラルフの長々とした挨拶が始まった。

 要約すると私達がファミリーとなって丁度今日が一年目で、そのお祝いと言う事らしい。

 皆が喜んでいる。


 ジョエルからのプレゼントは、家紋が刺繍された革の腕巻。

 早速みんな自分の腕に巻いている。

 家紋の部分は隠れる様になっているので、意図的に見せようとしなければ見えない様になっている。

 みんなで食事を楽しんでいると、ドアがノックされ中に入って来た手下の一人がジョエルに耳打ちをする。


 ジョエルは不機嫌そうに溜息をついて、私の傍へとやって来た。

 

 「悪い、仕事だ。

  急を要するらしい、急いで支度してくれ」


 特に支度など無いので、そう伝えると屋敷の外で待っている様にと言われた。

 その指示に従い屋敷の外で待っていると、ミックと共に剣を持った大柄の男が屋敷の方から私の方へと近づいてくる。

 珍しくミックも完全武装している。

 普段は持っていても鉄の棒くらいなのに……


 「戦姫か……よろしく」


 隣に来た大柄の男が何か呟いた……

 センキと言った様に思えるけど何の事だろう?

 よろしくと言ったようにも聞こえたのでとりあえず私も「よろしく」と返事をした。


 「ミリア、このおっちゃんはヘイグナーって名前で、ジョエル一家の幹部の一人だ。

  戦うと一番強ええ。

  しゃべるのが苦手だからその辺は気にしないでやってくれ。

  戦姫ってのはミリアの通り名の事で、そう呼ばれる事もあるって思ってたらいい」

 「戦姫? まあ、暗殺者とか人攫いよりはマシね。

  今日はミックも武装してるけど、仕事の内容は?」


 「冒険者組合からの依頼だ。

  とにかく人手が欲しいらしい。

  モンスターの群れが押し寄せてきているって話だ」

 「それじゃあ、モンスターを全部倒せばいいのね」


 「そう言う事」そう言ってミックは冒険者ギルドの方へと走り始めたので私とヘイグナーも一緒にミックの後を追う。

 ギルドへ辿り着くとミックが中で話を聞き、私達をモンスターの群れの方へと先導してくれる。


 ミックがこんな風に仕事をしている。

 ずっと手のかかる子だと思っていたけど、なんか感慨深いな。

 そして、街の外へ出るのは初めてだ。

 大きな平原が広がっている。

 整備されていない道があって、その先には多くの冒険者達が集まっている。


 私達が来ると歓声が上がった。

 人間オーガとか人鬼が来たとか……

 ミックの方を見るとヘイグナーの通り名だと教えてくれた。


 冒険者はおしゃべりが多いのかガヤガヤと五月蠅い。

 でも、急に辺りが静まり返った。

 目を凝らすと遠くの方からモンスターの群れがやってくるのが見える。


 モンスターはゴブリンとオーガが殆どで、ゴブリンに飼いならされた獣の魔獣なんかもいる。

 そして数が多い。

 冒険者達は50人くらいなのに対してあっちはパッと見た感じで300……いや500くらい?

 とにかく多い。

 

 冒険者達が弓や魔法の用意をする。

 私達は全員近接戦闘しか出来ないのでその様子をずっと眺めていた。


 戦いが始まると一斉に弓矢が放たれ、魔法の詠唱が始まった。

 モンスター達も弓でこちらを攻撃してきている。

 見た事のない光景だ。


 モンスター達が前線を押し上げ近づいて来るといきなりヘイグナーが雄叫びをあげてすごくビックリした。

 ヘイグナーが凄い勢いでモンスターの群れへと突っ込んでいく。

 私とミックもそれに続き、冒険者達も横へ広がり、群れを抑え込む様に動いた。


 魔法職の冒険者は下がり続け、援護に回っている。

 ヘイグナーの戦いぶりはすごかった。

 モンスター達がどんどん宙を舞い、千切っては投げ千切っては投げと言った感じで見ていて爽快な気分になる。


 私も負けじとモンスター達を倒していく。

 武器は持っていないので本当の意味で千切っては投げだ。

 ミックも頑張っている。

 喧嘩の時には防御なんて殆どしなかったのに、ちゃんとモンスターの攻撃に合わせて躱したり防いだり……攻撃も大振りでなく、当ててちゃんと止めを刺している。

 

 私も負けてられないな。

 そう思い、速度を上げた。


 モンスターの群れは半日程掛かってようやく討伐出来た。

 私がもう少し力を出せばもっと早く終わらせたけど、ジョエルからは基本的に力を抑える様に言われているのでしなかった。


 ん? いつの間にか私は冒険者達に取り囲まれている。

 ミックとヘイグナーの姿は見当たらない。

 すると急に冒険者達が私を担ぎ上げて空高く私の体が宙を舞った。

 ワーワーガヤガヤと凄く五月蠅い。

 胴上げして私の事を称賛してくれている様だったので、私も楽しくなり両手を挙げてわけもわからず「バンザーイ」と高らかに声をあげた。


 冒険者の男達にもみくちゃにされている所をヘイグナーが来て助けてくれた。

 それからは来た道を引き返すだけ。

 冒険者達が酒場で宴を開いているらしいけど、私達はそれには参加しない。


 屋敷の前へと辿り着くとミックが私と話があるらしく、先にヘイグナーには帰ってもらった。


 「ミックから私にお話しがあるの?」

 「ああ、行方不明になった強い冒険者の事を聞いた。

  たぶんミリアの力と関係がある」


 私の力がなんなのか……そんな事は今の私にとってどうでも良かった。

 だから、そもそもそんな事は私自身が忘れていた。

 ミックはちゃんと覚えていて、調べてくれたんだ。


 「数々の偉業を成し遂げた剣神と呼ばれた男。

  その男の前ではただの一人も立つことを許されず、巨大なドラゴンさえ一撃で葬った。

  今は行方知れずのSランク冒険者サメディー。

  他にもどんな攻撃にも耐えたとか、瞬間移動したとか、不眠不休で毒の沼地を渡り切ったとか色々言われてるぜ」

 「私ってそんな化物みたいな感じなの?」


 「そうだよ……いや、ミリアは綺麗だから化物なんかじゃない。

  それと、気になった事はその冒険者。

  少なくとも五百年は生きているらしいぜ」

 「え? 私って綺麗なの?」


 「ん? 綺麗だよ。

  成長したら結構美人って言われるようになると思うぞ。

  まあ、人間ってのは間違いないらしくて、五百年生きたのはダンジョンでなんらかの秘宝を得たからって説が有力らしい。

  本人が行方を眩ましたから確かめようがないみたいだけどな」

 「そっかー」


 私は美人なのか。

 まるで自覚が無かった。

 自覚した所で何も変わらない気がするけど。


 そう言えばビルを治療してくれたおじさん……

 約束したのに会いに行ってないな。

 今度エミーを連れて行ってあげよう。

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