・正義の味方マジカルリリィ
マジカルリリィ
ミッドガルドの中心都市、ミッドガルド中央区。比較的治安の良いこの街でも事件は起こってしまう。
「誰か、助けてーっ!」
「へっへっへ、お嬢ちゃん、こんなところ誰も助けには来てくれないさ」
「そうさ、そんなに都合よく現れる訳がないだろ」
裏路地に連れ込まれた少女と少女に近寄るおっさん2人。誰がどう見てもこれから犯罪が起こる。しかし、運悪く周りに警官も一般人もいない。というか、そうでなければこのおっさんズは行動を起こさなかっただろう。そして、少女は恐怖心から腰が抜けてしまい逃げるに逃げられない。
(もうだめっ!)
少女が諦めかけたその時、どこからともなく声が聞こえた。
「そこまでだっ!」
それと同時におっさんズの近くにメスが3本突き刺さる。
「誰だっ!」
おっさんズが周りを見渡し、メスを投げた人物を探す。その人は近くのビルの屋上、月明かりを背に浴びマントを纏い、さらに浴衣を着ていた。マントと浴衣がものすごく合っていない。
「とうっ!」
その人はビルから飛び降り、ゆっくりとおっさんズに近づく。右手にはメスを、左手には鉗子を持って。
「私の名はマジカルリリィ。ミッドガルドに悪をもたらすものはこの私が成敗するっ!」
マジカルリリィがその名を叫ぶと、おっさんズの顔色が変わった。
「うわ、マジカルリリィだっ!」
「くそっ! 一番会いたくないやつにっ!」
そのままおっさんズは逃げようとする。しかし。
「逃がさんっ!」
マジカルリリィは右手とどこからか取り出したメスを投げ、おっさんズの服と地面を縫い合わせる。
「これで逃げられまい! さあ、か弱い少女をいたぶろうとした罪、その身で受けろっ!!」
そこから、マジカルリリィのお仕置きが始まった。
少し後。お仕置きは終わり、マジカルリリィは少女の元へと向かう。
「大丈夫かい? お嬢さん?」
マジカルリリィが差し出した手を少女は掴み、立ち上がる。
「こんな夜道は危ないからね、気をつけると良い」
「はい、わかりました」
その後、マジカルリリィは少女を大通りまで送り、それからどこへともなく消えた。
「って話を考えたんだけど、どう思う?」
ここはミッドガルド外科病院の、私、ミツキの私室です。溜まってるアニメを消化していたらリリィ先生が部屋に乱入してきて、私がつけていたヘッドホンを取り、上の話を聞かせてきたところです。うん、感想をいう前にまずは一つ。
「人がアニメ見てるのに、邪魔すんじゃね〜っ!」
「ひゃうんっ」
ツッコミはもちろん金属製のハリセン。この前のよりも硬いので作ってあるやつです。さて、一通りお説教もして。
「それで、先生。さっきの話はなんですか」
「んー、私が考えたヒーローものの構想。今度同人誌にするか実際にやるかは悩み中」
いや、なんというか。まずはため息を一つ。それからツッコミが渋滞を起こしていますが、ゆっくりと解消させていきましょうか。
「とりあえず、実際にやるのはやめてください。この病院の評判が落ちます」
「え〜、正体がばれなければ問題ないでしょ?」
「いや、浴衣の時点でリリィ先生ってばれますからっ! それに思いっきりリリィって言っちゃってますからっ!」
「いや、言っちゃっても気づかれないって」
さすがにハリセンは変えて。
「それは2次元だけのお話だっ!」
スパーンと一発。
「他にも、絶対に考えられるので、「マジカルリリィだっ!」じゃなくて「リリィ先生だっ!」になるのが目に見えてますよ・・・。ついでに、聞いておきますけど、同人誌にするとしたらその少女、誰をモデルに書くんです?」
「ん? ミツキだよ?」
さも当然という先生。もう私は頭をかかえる。
「はぁ、とにかく、その同人誌出したら病院に悪評というか、ネタがつきそうなので絶対にやめてくださいっ」
「え〜、面白そうなのに」
その後、なんとか説得を終えた私だった。ちなみに、イベント前の同人誌の入稿日前。私が先生のお部屋で見た原稿は・・・。
「な、なんじゃこりゃ〜っ!?」
あれよりもさらにひどく、もう私とリリィ先生にしか見えないほどの魔法少女二人組が悪と戦う同人誌になっていた。武器はリリィ先生が手術道具、私がハリセンだった。魔法少女って言ってるのに。
すぅ、はぁ。まずは深呼吸をして、これでよし。
「ふざっけるな〜っ!」
例のごとく肖像権無視してるとか、これ絶対にネタにされるということがわかりきっているとかいろんな怒りがおこってしまったので、私はそれに関するイラストのデータのみを全削除。そして先生にハリセン(鋼鉄製)をかましつつ別の人物で入稿させました。はぁ、今日も疲れました。
ちなみに、私の叫びは病院中に響いて、建物も少し揺れたそうです。あ〜、ちょっと恥ずかしい・・・。
マジカルリリィで1本書けないかな・・・。
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