1人で何でも出来ると思う奴は救いようのないアホだ
ダヴィド、エヴァンジェル、ティナ。
この3人を率いる指揮官としてヘルガが作戦の概要を語った後、エヴァンジェルはダヴィドと共にヘルガの要望と言える隠れ家の場所選定。
ティナは旅支度の為に着替えを自身の住処へ取りに行っている頃。
ヘルガは自宅で自身の支度を始めていた。
ツァールスに入った時点で私は指名手配される前提で行動する。
そうする事で私自身を囮にして陽動すれば、3人の安全確保とセーフハウス構築が並行して可能になる。
勿論、あのクソ2匹に私はいつも通り単独で殺しに来たと印象付けるのも目的の1つだから……
「向こうには私がいつもの仕事をいつもの様にしている様に思わせたい。だったら、尚更余計な物は要らないわね……」
その言葉と共に国境から入る時の装備が決まった。
相手に自分はいつも通り単独。
装備もいつもと変わらない物を持ち込んでいる。
そう思わせる事で相手にヘルガだけを処理すれば良いと錯覚させ、更には油断を誘う。
それこそがヘルガの思惑であった。
だが……
「まぁ、この程度の欺瞞工作に掛かるほどバカじゃないだろうから入国すら拒否する可能性があるのが問題よね……その時は単独で密入国して、犯罪者という形で実行するしかないか」
敵の黒幕はバカじゃない。
寧ろ、ヘルガですら脅威と感じる程に頭のキレる未だ姿すら見せぬ黒幕。
ならば、ヘルガの欺瞞工作を見破って来るのも想定に含まなければならない。
その時は単独で密入国するしかない。
それを理解してるからこそ、ヘルガは厄介と感じていた。
だからこそ……
最悪、私が違法行為を複数やるから終わった後に依頼遂行に必要だったとして免責して貰わないと不味いわね……
入国出来てもツァールスの軍や国内の冒険者から追い回されて戦闘するのも念頭に入れるなら尚更。
冒険者は無法者でなければ、犯罪者でもない。
それ故に現地の軍と冒険者と戦い、殺すなんて以ての他。言語道断の悪行に他ならない。
ヘルガはそれを理解しているからこそ、トミーだけでなく、帝国と異端審問官にその件に関する免責を得る必要を覚えていた。
これは後で王宮に顔出して免責特権頂戴とお願いすれば良い。
貰えなかった時は流石に成功は無理って言わざる得ない。
まぁ、其処は王宮に行った時にお願いするしかないから今は支度の方を進めよ……
気持ちを切り替える様に準備に取り掛かる事を選ぶと、ヘルガはベッド下からケースを取り出す。
大きな樹脂製のケースとも言えるPELIKANケースを取り出し、ベッドに置いたヘルガは蓋を開けて中身を露わにすると、それをジッと見詰める。
L110A1。
アホみたいな数のアンデッドを相手にするなら、こう言う機関銃が必要になる。
ベルトリンクだからリロードがいつもと違って手間と時間が掛かるし、重いのが難点なのが玉に瑕。
そうなると一緒に仕舞ってた"コイツ"にするべきか?と、迷う……
そのPELIKANケースにはFN MINIMIのParaモデルと共にもう一丁、軽機関銃があった。
ウルティマックス100。
シンガポール製の分隊支援火器であり、L110と同様にアメリカ軍って所の選定に最後まで残ってた、L110よりも軽くて、リロードの仕方も普段使ってるMk18とほぼ変わらない奴。
取り回しを考えるならコイツ。
火力で考えるならL110なんだけど……
「地味に悩ましいわ……どっちのメリットも欲しい。だけど、どっちか片方しか選べない」
過去に死を弄ぶ者と戦った事があるが故、ヘルガは悩んでしまう。
火力は欲しい。
だが、機動力は失いたくない。
勿論、重い機関銃を手に走り回りたくもない。
しかし、死を弄ぶ者の常套手段とも言える無数のアンデッドによる人海戦術を相手にするならば、火力は必須なのも事実。
だからこそ、ヘルガは大いに迷い、悩む。
そして、その上で選ぼうとして気付いた。
「コイツに……ん?待てよ?クソデブのアンデッド共はイービルに出るゾンビって奴よろしく、眉間をブチ抜けば死ぬんだから……フルオートじゃなくても良くね?」
アンデッド達は眉間を撃ち抜くか、頚椎をへし折れば死ぬ。
それ故に機関銃じゃなくても良いのではないか?
そう考えたヘルガであったが、直ぐにそれを捨てた。
「火力欲しくなった時に無いのは勘弁して欲しいから機関銃にするか……」
その言葉と共にウルティマックス100を取ると、ヘルガはこれをどうカスタマイズするべきか?それを考え始める。
戦闘は中距離から近距離。
場合によっては至近距離での戦闘になる。
可能な限り距離を取って戦闘。
此方の居場所を掴ませたいし、追い回して欲しいからサプレッサーは無し。
その代わり、マズルブレーキを装着して反動を軽減させると共に派手な銃火を態と晒して位置を敢えて暴露させる。
照準器は何時ものホロサイトで良い。
フラッシュライトやレーザーは今回は無しで良い。
さて、弾は普通のM855A1で……いや、いっそ全弾M995で良いな。
あのクソデブの事だからモンスターやキメラ系のアンデッドを投入して来る。
「オーガのアンデッドを差し向けられた時は参ったなぁ……」
懐かしい気持ちになりながらもゲンナリとした様子で漏らすと、ヘルガは次の事を考え始める。
サイドアームにGLOCK20は持ってくべきか?
ブッチャケ、あのクソデブ相手に拳銃はクソの役にも立たない。自分用に使うなら兎も角……
拳銃とその弾を持ってくより、その分だけ予備の弾とかフラグを多く持ってく方が良い。
なら、その分だけ弾やフラグを持つか?
でも、離れた所から爆弾を叩き込める武器……グレネードランチャーとかそう言うのが欲しくなる。
つうか、欲しい……オーガとかのデカいアンデッドやクソデブにブチ込みてぇから。
「そうなると、何を使うべきか?ライフルグレネードは使いたくても使えねぇからグレネードランチャーにするしかないよなぁ……多分、空砲で撃っても壊れ兼ねないし」
其処まで考えたヘルガは持って行くならば、何を選ぶべきか?それを考え始める。
手持ちで使うグレネードランチャー……
単発式か?
連発式か?
単発式なら軽い。でも、その代わりに40㎜榴弾はブチ込めるけど、連発式と違って1発撃つ毎にリロードが必要になるし、制圧力も低い。
なら、連発式にするか?
連発式は威力つうか制圧力は文句無し。だけど、その代わりに倍くらい重いし、リロードも単発式よりも手間掛かって時間を食う……
「どっちも微妙ね。グレネードランチャー持ってくの辞めて、いっそロケットランチャー何本か使おうかしら?」
そうボヤいたヘルガは辟易とした面持ちで装備選定に頭を悩ませると、単独で戦う限界をこうして知ってしまう。
「やっぱ、単独じゃ銃は真価を発揮しないわね。割とガチで銃を問題無く扱える仲間が欲しいわ……」
無いモノ強請りなのは、ヘルガ自身理解している。
実際、何年も前から地球で軍人をした事がある軍隊経験者に向けた募集をギルド内の張り紙と言う形でしているにも関わらず、条件を満たす者は未だに来ていないのが良い詳細だろう。
それでもやはり、手が足りないのは覆らない。
だからこそ、ヘルガは支度をしながら思考を巡らせ続けるのであった。
「マジで元軍人で特殊部隊経験者来ないかしら……戦争犯罪してないなら、国籍問わないし、何人だろうが何を信仰してようが気にしないからマジで人欲しいわ」
ブクマと星評価。
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