↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世持ちのエルフ冒険者さんは、気楽に生きたい  作者: 待っててコイサンマン
ヘルガという冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/91

面倒な話が更に面倒臭くなるのって何でさ?


 サリーとネッドが風呂へ向かった頃。

 ヘルガは分解を終えたばかりMk18の部品をブラシで磨いていた。

 幸い、寝る前と大休止の時に整備をしていたが故に数百発近く撃っていても清掃は楽だった。

 そんな整備の手を進めながらヘルガは件の2人……ルシアンとグレタの事を考えていく。


 あの2人が諦めるとは思えない。

 特にグレタって頭の悪そうな女は私に膝を撃ち抜かれてるから余計、私を怨んでる。逆恨みも良い所であっても私達に仕掛けて来る可能性が高い。

 ルシアンに関しては、奴の主如何で動くタイプだから上が私達に仕掛けるのを否とするなら、動かないと見ても良い。


 件の2人を簡単に分析すると、ヘルガは次の部品を手に取って磨いていく。


 肝心のと言えるあの2人の上は私をどうするつもりか?

 此処らへんは何とも言えない。

 判断材料が少ないからってのもあるけど、余計な被害を減らす為に静観する可能性もあるし、被害度外視して私を拉致る可能性だってある。

 だから、何とも言えない。


 ヘルガの力は被害を度外視しても欲しても当然であった。

 大量の銃器と弾薬。更にはサリーと言うベテランの冒険者ですらデタラメ極まると断ずる各種装備をヘルガは能力によって容易く揃えられる。

 その上、ヘルガ自身にはそれらの装備の取り扱いばかりか、戦術や戦略も備わっている。

 それ故にヘルガ自身を生かした状態で確保しようとするのは、当然の考えと言えるだろう。

 それを理解しているが故にヘルガはウンザリとした様子で溜息を漏らしてしまう。


 「はァァ……マジで面倒臭い連中に目を付けられたわね。何処かに、あの連中を殺したがってる優しい奴は居ないかしら?」


 そんなボヤキを漏らすと、唐突に扉がノックされた。

 瞬時に戦闘モードに入るかの様にGLOCK20を握り締めると、ヘルガは足音を立てる事無く扉の脇に立ち、窓を警戒してから扉の向こうへと語り掛ける。


 「誰?」


 「君の悩みを解決したい者だよ」


 その声にヘルガは聞き覚えがあった。

 それ故にヘルガは扉を開けて、その人物を中に引っ張り込むと、外を警戒する様に確認してから閉じた。

 そして、彼に銃口を向ける。

 銃口を向けられると、司教の出で立ちをした彼は直ぐに戦闘の意思は皆無と告げる様にして両手を挙げて言う。


 「酷いな。君の助けになろうと言う相手に武器を向けるのは感心しないよ?」


 「よく言うわ。私の事をずっと監視してた癖に……それで?具体的にどうやって助けてくれるのかしら?異端審問官様は?」


 司教の出で立ちをした彼は異端審問官であった。

 そんな彼が自分を助けたい。

 そう告げれば、彼は語る。


 「あの連中は我々でも目を付けててね……こうして君に接触してくれたお陰で解決の糸口になるかもしれないんだ」


 「なら、後の事はアンタ等に丸投げするからすきにしたら?」


 この地に於いて誰もが恐れる異端審問官を相手にしても臆する事無くヘルガが言えば、彼は残念そうに言う。


 「相変わらず君は釣れないなぁ……僕は君の抱えてしまった面倒を何とかする手助けをしたいって言うのに」


 「その見返りに私に何をさせたいのよ?」


 異端審問官の彼が助けたい。

 そんな好意の裏には必ず何かある。

 それを知るからこそ、ヘルガは自分に何をさせたいのか?問えば、彼は答える。


 「取り敢えず、僕の手の者があの2人を尾行してる。塒を突き止めたら、君に生け捕りを頼みたい……それをしてくれるなら、僕は君の友人である冒険者2人(サリーとネッド)の身辺警護をさせる」


 その条件はヘルガにとって飛び付きたい程に好条件であった。

 だが、ヘルガはそれ故に警戒レベルを1段階上げて問う。


 「私には良過ぎる条件ね。裏や本音は?」


 隠し事は許さない。

 そう言わんばかりに問えば、彼は困った様に答える。


 「本音を言うなら、あの2人の身柄が欲しい。あの連中に関する手掛かりや情報は此方でもあまり無いのが現状でね……だからこそ、深く情報を持ってるあの2人に詳しくお話を聞きたい」


 その言葉に嘘は無かった。

 実際問題として、異端審問官達はルシアンとグレタが属する組織に関して保有する情報はとても少なかった。

 それ故に当事者に聞けるチャンスを活かしたかった。

 そんな事情を知ると、ヘルガは銃口を下ろした。


 「その誘いに釣られてあげる。だから、そっちも約束守れよ」


 「君ならそう言ってくれると思ったよ」


 ヘルガが取引に乗ってくれた事に彼は喜ぶと、其処から先の話を語り始める。


 「コレは僕の独り言だけどね……あの連中は未だ未確認だけど、ツァールスと深い繋がりがある様でね。もしかすると、ツァールスが企てている禁忌を犯す様に仕向けてる可能性もあるんだ」


 先日、トミーの口から語られたツァールスの件にも関与している可能性がある。

 それを聞くと、ヘルガは訝しみながらも情報を得る為に尋ねる。


 「その禁忌って何?私の知り合い(トミー)は具体的な事を教えてくれなかったんだけど……」


 「君の知り合い?あぁ、この国で一番高貴な御仁で次の王である彼か……なら、彼に変わって教えよう。ツァールスは勇者召喚を実行する為にその準備を進めている」


 異端審問官の彼が当然の様に答えると、ヘルガは政治の世界を知らぬが故に尋ねる。


 「勇者召喚が禁忌なのは何故?」


 「1つは我等が信奉する女神ラ・パルパルマがそれを否として、その女神の上に座する創造神が当時の勇者と交わした契約からだ」


 「つまり、神様が駄目と言ってるから駄目って事?」


 「その認識でも問題無い。もう1つは各国にとっても都合が良いと言う点も大きいかな……」


 其処で言葉を止めた彼は分解されてるMk18の前に赴いてしゃがむと、興味深そうに眺めながら続ける。


 「勇者召喚と言う形で強大な力を弱い勢力が得る事で強い力を持った国々は危機に脅かされてしまう。だからこそ、強い力を持った国々は勇者召喚を禁忌として扱われる方が都合が良い。それ故に国々は勇者召喚を禁忌として扱う事を選んだ」


 宗教的な理由と国家間のパワーバランス。

 その双方からの理由を知ったヘルガは心の中で「まるで核兵器ね」と、前世の知識から得た知識と照らし合わせて呆れながらも納得した。

 そんなヘルガに彼は言う。


 「だからこそ、君の友人と帝国は一気に警戒レベルを跳ね上げて警戒せざる得なくなっているし、必要なら戦争も辞さない状況にある」


 其処でトミーの懸念が繋がった事にヘルガはゲンナリとしてしまう。


 「マジで勘弁して欲しいんだけど」


 「それは僕も同じ意見だよ。阻止はもう無理な段階まで進んでるから、君にはサマリアルの冒険者としてツァールスを徹底的に叩いて貰う方が僕や僕の上司としては都合が良い。多分、サマリアルと帝国も同じ意見だろうね」


 他人事の様に言われてしまうと、ヘルガは益々ゲンナリとした面持ちで項垂れてしまう。

 そんなヘルガに彼は告げる。


 「此方からもサマリアルとガイラスに通知するけど、ツァールスが禁忌を犯した以上は教国としてはサマリアルとガイラス両国に対してツァールスへ侵攻する事への大義名分を与える予定ではある」


 「それ、私にどう関係するのよ?」


 「君には君の得意な碌でもなくてデタラメ極まりない方法で勇者達を始末して欲しい。ただ、それだけの事さ……」


 締め括る様に告げれば、異端審問官の彼は立ち上がって部屋を後にしようとする。

 そんな彼の背に向け、ヘルガは尋ねる。


 「私は敵に対して殺すしか出来ないわ。だから、勇者を助けろと言われても無理と言わざる得ない……それを理解した上で言ってるの?」


 その問いに彼は振り向くと、異端審問官の彼はハッキリと明言するのであった。


 「召喚されてしまった彼、彼女等には大変申し訳なく思う。だが、我等は我等の世界を守り、生きる権利がある……だからこそ、脅威となる前に排除せざる得ない。それが理由で地獄に落ちるならば、甘んじて裁きを受けよう」


 そう告げれば、彼は今度こそ部屋を後にした。

 独り残されたヘルガは益々ゲンナリとしながらも整備を続けるのであった。



ブクマと星評価。

感想とかレビューを貰えたら滅茶苦茶喜びます

なので下さい。マジで下さい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。