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前世持ちのエルフ冒険者さんは、気楽に生きたい  作者: 待っててコイサンマン
ヘルガという冒険者

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無礼極まりない客には無礼な対応を……


 「シレーラスの件で謝罪したい。そう言う話だけど、具体的には何を謝罪したいのか?其処の説明からお願い出来ないかしら?」


 左手でグラスを弄んでブランデーの薫りを愉しむヘルガが問うと、青年は無礼にも要求で返して来た。


 「その前に御人払いをお願い出来ないでしょうか?」


 その要求にサリーとネッドは何も言わない。

 だが、ヘルガは責める様な眼差しと共にグラスを置くと、右手を然りげ無くGLOCK20に近付けながら拒否した。


 「謝罪するのに人払いする理由は無い。更に言うなら、私の予想するシレーラスの件で2人も大変な迷惑を被ってる……それなのに2人に席を外せって?筋が通らないし、それ以前に無礼極まりないんじゃないの?」


 理由を語ると言う形で青年を強く非難すれば、青年は「大変失礼しました」と、謝罪してきた。

 だが、青年の後ろに控えるビキニアーマーの女が苛立ちを一瞬見せたのをヘルガとサリーは見逃さなかった。

 それ故にサリーが然りげ無くナイフを右手で掴むと、ヘルガは青年に問う。


 「貴女の護衛は私達の事を殺したいのかしら?」


 「いえ!決してその様な事はありません」


 青年が直ぐに否定すると、ヘルガは要求する。


 「なら、貴女の護衛の女に後ろの壁に両手を付いた状態で待機させてくれない?嫌なら、帰れ」


 ハッキリと拒否権は無い。

 そう強く告げれば、青年は渋々ながらも護衛の彼女にヘルガの指示通り、後ろの壁に両手を付けた状態で待機する様に命じた。

 そうして彼女が苛立ちを露わにしながらも両手を壁に押し付ける様にして自分達に背を向ければ、話は再開される。


 「さて、私達を貴方達は知っている。だけど、私達は貴方達を知らない……こう言う時ってさ、最初に自己紹介をするのが礼儀以前に、普通や常識って奴なんじゃないの?って私的には人払いを望むよりも先にするべき事だと思うんだけど……サリーはどう思う」


 ヘルガが責める様に青年に問うと同時、サリーに自分の認識はおかしいのか?尋ねれば、サリーは「俺もお前と同じ考えだ」そう返した。

 そんな2人の遣り取りを目の当たりにすれば、青年は「大変失礼しました」そう謝罪してから自己紹介を始める。


 「私はルシアン。護衛の彼女はグレタです」


 「そう。それで?シレーラスの件で謝罪したいと言うのは、具体的に何を指しているのかしら?」


 漸く話の本題に入ると共にヘルガが自分の口から言え。

 そう命じれば、青年……ルシアンはハッキリと答える。


 「貴方達に冒険者を差し向けた件で謝罪させて戴きたいのです」


 その言葉にネッドは耳を疑ってしまう。

 それ故に問おうとするが、サリーが視線だけで辞めろ。そう命じられてしまうと、ネッドは何も言わずにヘルガの動向を見守っていく。


 「…………私達を襲ってきた冒険者達は貴方が唆さなければ、盗賊に堕する事は無かった。その認識で合ってるかしら?」


 嫌味と皮肉を盛大に込めた上で淡々とした事実確認で返せば、青年は何と答えるべきか?そんな悩みに満ちた沈黙しか返せなかった。

 そんな青年にヘルガは嫌味と皮肉を混ぜ合わせながら言葉を続ける。


 「連中は私の装備と武器を欲し、奪おうとしていた。その時、私の物を高く買い取る奴が居る事も明言していたんだけどさ……それって貴方達で合ってる?後、どのツラ下げて私の前に居るのか?それも教えてくれない?割と真面目に気になるから」


 確認する様にシレーラスの10階層目で殺害した掟を破って盗賊に堕した者達の事を触れ、更にはその者達を唆して自分達を襲わせたのに何故に自分の前に顔を出せたのか?嫌味と皮肉。それに純粋な好奇心を込めてヘルガはルシアンに問うが、残念ながら答えは返って来なかった。

 そんなルシアンに対し、ヘルガは改めて要求する。


 「ブッチャけ、アンタから心の籠もってない謝罪されてもムカつくだけだから要らない。だけど、私の物を手に入れて何をしようとしているのか?それは正直に答えろ」


 嘘は許さない。そう告げる様にしてホルスターから抜いたGLOCK20をゴトッと音を立てて置けば、青年は覚悟を決めた面持ちで答える。


 「貴女の武器と装備を手に入れ、それを量産しようと考えていました。後、可能ならば貴女自身も欲しいとも思っていました」


 ルシアンが正直に答えると、ヘルガは訝しみながら問い返す。


 「前者は解る。力を欲する者なら組織や国とか問わず、誰だって同じ事を考えるから……でも、私自身を欲しいと言うのは何故かしら?」


 仮説という形で答えを察しながらも敢えて問えば、ルシアンは包み隠さずに答えていく。


 「貴女が銃と言う武器を始めとした様々な素晴らしい装備の扱いに最も長けており、同時に貴女自身も最高の技術と力を持った戦士だからです……これは私が御(・)仕(・)え(・)さ(・)せ(・)て(・)戴(・)い(・)て(・)る(・)御(・)方(・)と同じ見解でも御座います」


 ルシアンが正直に答えると共に自分には仕える主が居る事を漏らすと、ヘルガはそれに気付いていない振りをしながら問うた。


 「貴方は国に仕えてるの?」


 その問いにネッドばかりか、サリーが困惑すると、2人を他所にルシアンは答える。


 「国は私達にとって敵(・)です。サマリアルもガイラスも教国も全(・)て(・)の(・)国(・)が(・)私達の敵(・)なのです。だからこそ、貴女の素晴らしい武器と装備。それに貴女自身が欲しいのです」


 その答えに遣り取りを静かに見守っていたネッドは何を言ってるんだ?と、言わんばかりに首を傾げる。

 だが、サリーは困惑しながらも言葉の意味を理解出来るが故に戦慄してしまう。

 そんな2人を他所にヘルガは自分の仮説の中で一番当たって欲しくなかった仮説が的中した事に対し、大きな溜息を漏らすと、確認する為に尋ねた。


 「貴方達は世界を相手に戦争しようとしている。だから、戦争に勝つ為に私の武器と装備を大量生産し、私からその取り扱いと戦術や戦略も学びたい……そう言う事?」


 「御明察です。流石はハイエルフの里で最強の一角と謳われた戦士にして軍師だっただけの事はありますね」


 冒険者となる前の過去の一端をルシアンが口にするが、ヘルガは何も言わなかった。

 ただ、静かにブランデーを舐める様に一口飲むと、ハッキリと告げる。


 「私の答えは断固拒否。コレに尽きる」


 「考え直して戴けないでしょうか?」


 その願いにヘルガは沈黙と言う形で強く拒絶した。

 そんな時だ。今まで苛々しながら壁に手を付け続けていたグレタが壁から手を離し、此方に振り向いて来た。


 「テメェは大人しく私達と来れば良いんだよ」


 自信満々に自分ならば、ヘルガと他の2人を容易く倒せる。

 そう言わんばかりにグレタが不適な笑みを浮かべた瞬間。

 ヘルガは一瞬の内に銃口を彼女の右膝へ向け、引金を引いていた。

 室内に耳を劈く銃声が響くと共に硝煙が満ちると、悲鳴が挙がる。


 「ガアァァァ!!?」


 右膝をセミジャケットのソフトポイント仕様の10㎜オートで射抜かれたが故にグレタが床を血に染めながら倒れ込むと、硝煙立ち登るGLOCK20を手にするヘルガは銃口をルシアンに向け、問う。


 「交渉は決裂してるのを理解した上で無駄な話し合いを続ける?」


 「いいえ、辞めておきます」


 「そう。なら、其処のバカを連れてさっさと消え失せてくれないかしら?私としては不愉快で無駄な時間を過ごして気分良くないからさ……」


 その言葉を最後にルシアンは床に蹲るグレタを連れ、部屋を後にした。

 そんな2人の背を見送ると、ネッドは恐る恐るといった様子でヘルガに尋ねた。


 「なぁ、アイツ等は何なんだ?何か、全ての国を相手に戦争するみたいな事を言ってたけどよ……」


 ネッドの問いに対し、ヘルガはブランデーを傾けながら吐き捨てる様に答える。


 「頭のおかしい可哀想な連中。関わらない方が良いわよ」


 その答えにネッドはそんなものなのか?そう感じていると、サリーは真剣な面持ちでヘルガに確認した。


 「お前、本当に大丈夫か?明らかに滅茶苦茶ヤベェ上に面倒臭そうだぞ、あの連中……」


 「面倒臭そうなのに絡まれるのは今更だから慣れてるのよね」


 サリーの心配をゲンナリとした様子で返せば、ヘルガは静かにブランデーを傾けるのであった。



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襲ったのに交渉ができると思った根拠が知りたい
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