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前世持ちのエルフ冒険者さんは、気楽に生きたい  作者: 待っててコイサンマン
ヘルガという冒険者

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異常な白金等級冒険者のペース


 ヘルガのペースはネッドと比べて格段に速かった。

 フラッシュライトで照らし、ランタンよりも遠くまで視界を確保。そうして作った視界を元にネッドに教えた3メートル確認して1メートル進むと言う方法を確認距離と進行距離を増やした形で進む。

 そうしてモンスター達より早くに視認し、更にはフラッシュライトの明かりで目眩ましをすれば、Mk18がくぐもった銃声を響かせて射殺。

 それをネッドとサリーから見れば、とても早い。なれど、ヘルガにすれば、2人に合わせて少し遅めたペースで繰り返しながら続けていく。

 そんなヘルガの動きを直ぐ近くで目の当たりにし続けていたネッドは信じられないとも言える驚きと同時、ヘルガの技量の高さにも驚く事しか出来なかった。


 「なぁ、これってフラッシュライトって奴のデタラメな明るさを差し引いても俺が滅茶苦茶苦労した動きを、ヘルガは俺とは比べ物にならない速さでやってるのか?」


 そんな驚きに満ちたボヤきをネッドが口にすると、サリーは師として教える様に肯定する。


 「そうだ。お前が実際に見て、感じてる通り、ヘルガに限らず歴戦の猛者は広い視野で廻りを見ながら瞬時に判断して行動する」


 「コレって俺にも出来る様になるのか?」


 ネッドがヘルガと言う冒険者の頂きに立つ尊敬を目の当たりにし続けながら漏らすと、サリーは師として告げる。


 「其処はお前さん次第だな。ヘルガのデタラメな装備に誰もが目を奪われるが、ヘルガの凄さは装備もあるが、ヘルガ自身の技量の高さがあってこそが厳密には正しい」


 サリーの言う通りであった。

 確かにヘルガがレアスキルで召喚し、運用している各種装備はデタラメな程に使用者に多大な恩恵を齎す。

 そんな凄い装備や道具を完璧に扱えないならば、豚に真珠。猫に小判と言えるだろう。

 だが、サリーの言葉が意味する事には続きがあった。


 「ヘルガはお前さんに教えた方法を自分自身で実行してる。お前さんにはそう見えんだろうがな……速過ぎる上に高度過ぎて」


 銀等級のベテラン冒険者としてサリーが正直に告げれば、ネッドはサリーの見えてるモノが己には見えていないのも含め、未熟さに歯噛みしてしまう。

 そんなネッドにサリーは優しく言う。


 「それに悔しさとか感じるんなら、お前さんは伸びるぞネッド」


 「ホントかよ?」


 高過ぎるレベルとも言える技量を目の当たりにし続けるが故に、ネッドは普段の活発で生意気な自信を失っていた。

 そんなネッドの気持ちを自身も味わい、解るが故にサリーは更に続ける。


 「あのな、悔しいってのは真面目に取り組んでる奴しか感じねぇもんだ。で、お前さんは悔しさを感じると同時にヘルガの凄さを理解出来てる……なら、後はどうすれば良いか?それを考えながら鍛錬をすれば良い。俺も教えてやっからよ」


 サリーが本心と共に優しく告げれば、ネッドは少し恥ずかしさを覚えながらも素直に感謝した。


 「ありがとな、サリー」


 「気にすんな半人前。後、お前さんが俺みてぇに弟子を取る様になったら、その弟子にお前さんが学んだ事をしっかり教えてやれ……面倒だろうが、その時のお前さんの為になるからよ」


 そんな師弟の微笑ましい遣り取りを聞き、微笑ましい気分になりながらもヘルガは淡々と己の成すべき事を熟していく。

 フラッシュライトを用いて索敵。

 敵が居ない事を歩みを進めながら瞬時に確認し、敵の姿や気配。それに音がしないのを確認し終えれば、更に前進。

 だが、敵の姿を視認すれば、即座に数を確認した上で発砲。射殺と言うサイクルを淡々と繰り返しながら歩みを速いペースで進め続ける。

 そんなヘルガの後に付いていく様に2人も早足気味に進めると、ヘルガは立ち止まって通知する。


 「リロード!警戒!」


 その言葉を聞くと、過去に同行した時の記憶を思い出した2人はフラッシュライトで照らされる前方と耳に意識を傾けて集中し、警戒し始めた。

 そんな2人の警戒を頼りにしながらヘルガは僅かに弾の残った弾倉を抜き取ってダンプバックに突っ込むと、直ぐ様チェストリグから予備の弾倉を取り、マガジンハウジングに叩き込んでいく。

 そうして僅かな時間でタクティカルリロードを完了させると、ヘルガは再び歩み出す。

 ヘルガのタクティカルリロードを見ると、ネッドはその素早さと確実性に舌を巻いてしまう。


 「今のヘルガの動きも俺は出来る様になるかな?」


 「其処はさっきも言った様にお前さん次第だな……」


 ネッドの言葉にサリーが師として返せば、ヘルガを先頭に前進は続く。

 そうしてネッドの歩みよりも速いペースで3階層目が踏破され、4階層目へ降りる階段の前に到着した。

 階段の前に立つと、ネッドは言う。


 「下から何か足音が幾つも聞こえる!」


 「良いぞ。キチンと耳を使えてる」


 ネッドの成長を感じれる報告にサリーが師として褒めると、ヘルガは耳を済ませながら告げる。


 「人型、複数。武装してる」


 音から其処まで割り出したヘルガの技量にネッドが尊敬の念を覚えると、サリーは尋ねる。


 「オークとかのモンスターか?」


 「この階層にはオークは出ないわ。でも、階段から離れて」


 ヘルガの答えに2人は緊張しながらも指示通りに階段から離れて壁際へと寄った。

 2人が安全な位置に移動して武器を手にすると、ヘルガはその反対方向の壁際へ直ぐに移動してしゃがみ、Mk18を構える。

 階段を登る足音が段々と近付き、大きくなっていく。

 そうして足音が一番大きくなると共に3階層目に姿を見せると、ヘルガは銃口を下ろしながらも警戒を怠る事無く目の前に見える冒険者達に語り掛ける。


 「冒険者?」


 「あぁ、そうだ」


 先頭に居た剣を手にする戦士の出で立ちをした冒険者が肯定すると、ヘルガは残りの後続達をさり気なく見回しながら更に続けて問うた。


 「仕事帰り?」


 「残念だけどな。4階層目に刃が立たねぇヤベェのが居たから引き上げた」


 その冒険者が答えると、ヘルガは確認を怠る事無く尋ねる。


 「そのヤベェ奴の特徴は?」


 「人型のデカブツ。手にはデカい棍棒持ったブサイク……ありゃ、多分だがトロルだな」


 冒険者が件のヤベェ奴の特徴を答えると、ヘルガは感謝した。


 「ありがとう。所で必要な物はある?」


 「気遣いありがとよ。必要無い」


 その冒険者が一党を仕切る長として感謝すると共に気持ちだけ受け取れば、ヘルガは告げる。


 「帰り道だけど気を付けて。もしかすると、鞍替えしたバカ共が居るかもしれないから……」


 ヘルガの言葉にその冒険者は真剣な面持ちで受け取った。


 「気遣い感謝する。肝に銘じよう」


 その言葉と共に冒険者の一党が立ち去ると、ヘルガに歩み寄ったサリーとネッドは尋ねる。


 「引き上げるか?」


 「必要無い。私、ソイツを殺せるから」


 サラッと自分にとっては当然の事を涼しい顔で告げるヘルガに対し、2人はそのデタラメぶりに呆れるしか出来なかった。

 だが、ヘルガは気にする事無くケミカルライトを手に取ってパキっとやり、明かりを確保するやそれを階段の下へと投げた。

 ケミカルライトが辺りを照らしながら階段を落ちて階下である4階層目の床に転がると、ヘルガが階段と階下に誰も居ない事をケミカルライトの明かりで視界を確保してから確認。

 そうして敵の姿が完全に無い事を確認すれば、ゆっくりと一歩ずつ歩みを進めて降りていく。

 程なくして階下に降り立ったヘルガはケミカルライトを拾うと、前に見える真っ暗な通路へ向けて思い切り投げた。

 ケミカルライトが辺りを照らしながら放物線を描いて静かに飛んで地面に落ちて転がれば、その地面と周囲が照らし出される。

 その上でフラッシュライトの眩い光を銃口と共に向けて通路を照らして警戒する様にしてヘルガがその場を確保すると、サリーとネッドがランタンの明かりを頼りにゆっくりと降りて来た。


 「待たせたか?」


 サリーが尋ねると、ヘルガは「全然」そう呑気に返した。

 そんなヘルガに対してネッドがケミカルライトの事を聞くと、ヘルガは呑気に答える。


 「フラッシュライトよりは光量少ないけど、やっぱり松明やランタンよりはデタラメな光源ね」


 警戒を怠らないながらも呑気に返したヘルガに対し、ネッドは呆れ混じりに返した。


 「デタラメなのは今更だし、解ってるんだよ。どう言う意味合いで使ったのか?それを知りたかったんだよ」


 ネッドがヘルガが何故、フラッシュライトで照らさずにケミカルライトを投げたのか?始めとした疑問を口にすると、サリーは師として求める様に言う。


 「なら、先ずはお前の考えを言ってみろ坊主」


 サリーが先ずは自分の頭で考えてみろ。

 そう言うと、ネッドは自分の考えが合ってるか?不安に思いながらも考えた予想を口にする。


 「視界の確保か?」


 その予想をヘルガは肯定した。


 「その認識で問題無いわ」


 すると、今度はサリーが口を開いた。


 「ヘルガのアレはな、俺達でも簡単に出来る方法でもあるし、俺が普段やってる方法でもあるぞ」


 自分にとって驚く様な言葉をサリーが言うと、ネッドは驚きと共に尋ねてしまう。


 「あのデタラメな光る棒が無いのにか?」


 そんな間抜けな問いにサリーは師として呆れてしまうが、普段、常にやっているが故に当たり前過ぎて気付かないのだ。そう察すると、呆れ混じりに問うた。


 「お前さん、俺がこう言うダンジョンの階段降りる時にどうしてるか?覚えてるか?」


 「階段降りる時?そりゃ、松明を投げ……あ!?」


 自らの口で言う事で思い出すと共にヘルガがケミカルライトを階下に投げ込んだ意図を完全に理解出来ると、サリーはネッドに告げる。


 「そう言うこった。当たり前過ぎて気付かないが、ヘルガは使ってる道具はデタラメではある。だが、やってる事は意外と俺と同じだったりするもんなのさ」


 ネッドに改めて教える様にして優しく告げると、サリーはヘルガに「待たせちまって悪いな」そう謝る。

 だが、ヘルガは気にせずに「気にしなくて良い」と、呑気に返しながら立ち上がった。

 そして、歩き出せば4階層目の探索が始まるのであった。



ブクマと星評価。

感想とかレビューを貰えたら滅茶苦茶喜びます

なので下さい。マジで下さい


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