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前世持ちのエルフ冒険者さんは、気楽に生きたい  作者: 待っててコイサンマン


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異常な白金等級冒険者のデブリーフィング


 「私がプロ失格の行いをした点を差し引いても無事に済んでくれたのは本当に心からホッとするわ」


 自宅のベッド上で胡座をかいて座るヘルガはボヤきを漏らすと、Mk18を分解し始める。

 40連の弾倉を外してチャージングハンドルを引いて薬室に装填された徹甲弾を抜き取り、銃口に取り付けられた太くて長いサプレッサーを外す。

 その後に慣れた手付きでピンを押して抜き、カパッとアッパーレシーバーを上に持ち上げて開ければ、大小異なるスプリングや部品を抜き取っていく。

 そうして抜き取った部品を目の前に順番に並べれば、ボルトアッセンブリーを分解して細かくした。

 そして、ガンオイルで濡らしたブラシを手に各部品の清掃を始める。

 集中して火薬煤等で汚れた各部品を磨きながらヘルガは引っ掛かている事を考える。


 トミーは私に言った。

 セティが死んで喜ぶ奴や攫って目的を果たそうとする奴は居ると……

 それなのに最大のチャンスである今回の取材で仕掛けて来る奴は皆無だった。


 先日トミーが言っていた事を思い出し、今日は仕掛ける側にすれば最大のチャンスだと言うのに何も起きなかった。

 それに対し、ヘルガは首を傾げていた。


 普通ならチャンスを活かして仕掛ける筈。

 ソグルスじゃなくとも、人混み溢れる街中を歩いてる所を狙撃するなり、身体ごとぶつかって刺せば事足りる。

 だからこそ、邪悪な企みを持つ奴は総じてバカばっかりで根拠も無く上手くいくと、目の前のチャンスに警戒せずに飛び付こうとする。

 それなのに一切のアクションが無かった。


 「其処が引っ掛かるのよねぇ……目先の事しか考えないバカならコレ幸いと仕掛けて来るだろう筈なのに」


 そうボヤくと共に疑問に首を傾げるヘルガであったが、前世の男の知識から1つの仮説が浮かんでいた。

 そんな仮説を思い浮かべながらヘルガは清掃の手を進めていく。


 前世の知識から思い浮かぶ可能性としては、顔役がソレを否とした。と、言うのが一番ありうる可能性。

 その力の主が誰なのか?興味は無いと言ったら、嘘になる。

 でも、そういう見えないけど強大な力が働いてくれたお陰だとしたら、今回の件でバカ共に仕掛けられなかった理由が腑に落ちる。


 前世の男は裏社会を含めた謀略や邪悪に満ちた世界でも生きていた。

 そんな記憶や経験を受け継いでいるからこそ、ヘルガはそう言う仮説を立てる事が出来た。

 しかし、気にはなっても深く追求する気は無かった。


 「何れにしろ、無事に済んだ。コレだけでも十分だから気にしない様にしておこう」


 自分に言い聞かせる様にして独り言ると、ヘルガは清掃に集中を傾けた。

 そうして清掃が完全に終わると共に細々とした各部品に異常や問題が無い事を確認すれば、慣れた手付きで組み立てていく。

 組み立てが完了すれば、セイフティ、セミオート、フルオートの各動作点検をする。

 全ての機能に問題が無い事を確認すれば、今度はGM94の分解を始めた。

 Mk18より簡単な構造のGM94を手早くも確実に分解し終えれば、薬室と砲身内を大きな専用ブラシで清掃。それから各部品をMk18に用いていたブラシで清掃すれば、ウェスで拭き取っていく。

 そうしてGM94の清掃が完了すれば、素早く組み立てて動作点検をした。

 動作点検して問題が一切無い事を確認すれば、ヘルガは結局使わなかったベッドに立てかけていたベネリM4を見詰めて呆れ混じりにボヤく。


 「結局要らなかったわね……まぁ、必要に迫られなかったから良しとかんがえるべきなんだろうけど」


 使わなかった事に良かった。

 そう思いながらも同時にモニョったヘルガは「まぁ、そう言う時もあるか」と、漏らした。

 そんなベネリM4を手に取ると、チャージングハンドルを引く。

 薬室に装填されたバックショットシェルを抜き、マガジンチューブに装填されている7発のバックショットシェルを抜いて抜弾を完了させた。

 そして、慣れた手付きで分解して内部の清掃をした。

 ベネリM4は使わなかったが故に清掃は直ぐに終わった。その後は今までと同じ様に組み立て、動作点検をして動作に異常が無い事を確認すれば、GM94と一緒にベネリM4をベッド下のケースに収めて格納した。

 そんな整備作業が完了すると、ヘルガは今日は日課の早朝トレーニングをしていない事を思い出すと、ヘルメット以外の装具を身に纏ったまま自宅を後にした。

 その後。王都の外へと駆け足で向かうのであった。



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