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灯台の上で

 北方街道の調査を始めてから、三日が過ぎた。

 初日は、街道へ向かう商隊に同行して痕跡を確認した。

 二日目は、襲撃があったと報告されている場所を回り、三日目には、ルーベンの商人たちから直接話を聞いた。

 しかし、誰の話も曖昧で決定的な証拠は何一つ出てこなかった。


 「本当に何も出ないな。」


 帰り道、偶然見つけた灯台に登りながら俺はそんなことを呟いた。


 「そうね。」


 セレナは答える。


 「リリアーナの話が本当なら、ここまで痕跡がないのはおかしい。」


 「ああ。」

 「でも実際、俺たちが来てから出てないだろ?」


 「ええ。」

 「だから気になるの。」


 セレナは少し声を落とした。

 階段を登り切り、波の音が響く灯台の頂上に辿り着く。


 「私は、アルベルト領主が怪しいと思ってる。」


 「またその話か。」


 「だって、そう考えないと辻褄が合わないでしょ?」

 「リリアーナも言ってたじゃない」

 「前にフォルティス家が冒険者を雇って街道を調査した時も、魔物が現れなかったって」

 「誰かが情報を流してるって考えるのが自然じゃないかしら。」


 「…あの人、そんな悪い人には見えなかったけどな。」


 「人は見た目だけじゃ分からないわ。」


 セレナは真剣だった。

 俺は反論する。


 「でも、アルベルト領主が犯人だったとしたらおかしくないか?」

 「リリアーナのお父さんとも長い付き合いだって言ってたし。」

 「実際、調査にも積極的に協力してくれてるじゃないか。」


 「そうね。」

 「でも、アルベルト領主が操られているとしたら?」

 「誰かを人質にされていたら、辻褄が合うと思わない?」


 「………。」


 俺は何も言えなかった。

 確かに、彼女の主張は的を射ている。

 対して、俺の主張は所詮ただ感情論だったからだ。


◇◇◇


 灯台の上から見下ろすルーベンの街は、夕焼けに染まっていた。

 港では船が次々と戻り、人々の話し声やカモメの鳴き声が潮風に混じって聞こえてくる。

 こんな平和そうな街で、本当にそんな陰謀みたいなことが起きているのだろうか。


 「……ねえ、ケンイチ。」


 「ん?」


 「一つ、確かめる方法があるわ。」


 セレナは海の向こうを見つめたまま言った。


 「明日、ギルドで“王都へ戻る”って話してみましょう。」


 「は?」


 「もし情報がどこかから漏れているなら、何か反応が出るかもしれない。」


 俺は思わずセレナを見る。


 彼女の横顔は、いつもの冗談を言っている時とは違って真剣そのものだった。


 「…分かった。」

 「ここではっきりさせよう」


 俺は彼女の提案を飲んだ。



 『目標達成。』

 『灯台に登る。』


 達成数 20/100。


 『報酬を獲得』


 アイテムボックスに方位磁石が追加されました。


 現在のアイテムボックス


 ・水

 ・拡声器

 ・銀貨十枚

 ・寝袋

 ・マント

 ・旅人の地図

 ・保存袋

 ・方位磁石

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