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新装備

 次の日、俺は今までの疲れが一気に押し寄せ、一日中眠ってしまっていた。


 「やらかしたな」


 俺がそう思った瞬間。


 ピコン。

 『目標達成』

 『一日何もしない』


 達成数 14/100。


 「あっそっか、確かにずっと寝てたもんな」

 「なんか得した気分だ」


 『報酬を獲得』


 アイテムボックスに銀貨五十枚が追加されました。


 「……え?」


 俺はベッドの上で固まった。

 銀貨五十枚。

 冒険者になってから見たこともない額だ。

 ギルド登録の時、銀貨一枚で悩んでいた俺からすると、とんでもない大金である。


 「休んでただけで銀貨五十枚ってどういうことだ……。」


 意味は分からない。

 でも、もらえるものはありがたく受け取っておこう。

 そして俺は、ふと思い出す。

 ゴブリンキング討伐の特別報酬に昨日のコボルト討伐報酬、財布を確認すると、かなりの額になっていることに。


 「……装備、買えるな」


 このお金があれば、剣以外の装備も揃えられる。

 俺は、鍛冶屋に向かった。

 

◇◇◇


 向かった先は、フィアと一緒に来たあの鍛冶屋だった。

 俺の腰に差している剣も、ここで手に入れた。

 扉を開けると、懐かしい鉄の匂いが鼻をくすぐる。

 カンッ、カンッ。

 金属を打つ音が響いていた。


 「おや?」


 店主が顔を上げる。


 「新人坊やじゃないか。」


 「こんにちは。」


 店主は俺の腰の剣を見る。


 「ちゃんと使ってるみたいだね。」


 「はい!」


 刃には細かな傷が増えていた。

 ゴブリンやオーク、コボルトと戦った証だ。

 

 「ようやく冒険者らしくなってきたね」

 「それで?今日はどうしたんだい?」


 俺は店主に、装備が欲しいことを伝える。


 「そうかい」

 「ならそっちの棚から選びな」


 そう言って店主は、見るからに強そうな鉄の鎧の横にある、革装備の棚を指さす。


 「…俺、今お金あるよ」


 「そういうことじゃない」

 「装備は見た目より使いやすさで選べってことさ」


 …少し残念だが、確かにその通りだ。


 俺は胸当てを手に取る。

 意外と軽い。


 「それ、コボルトやゴブリン相手なら十分役に立つよ。」


 次にブーツを履いてみる。

 歩きやすい。


 「足は大事だ。」


 そして最後に籠手を装着する。

 剣を握ってみると、前よりもしっくりきた。


 「おお……。」


 なんだか本当に冒険者になった気分だ。


◇◇◇


 結局、俺が選んだのは、革の胸当て、革の籠手

と脛当て、そして革ブーツだった。

 全部合わせても、思ったよりずっと安い。


「初心者が最初に揃えるなら、こんなもんさ」


 店主が言う。


 「無理して高い装備を買っても、使いこなせなきゃ意味がない。」

 「その装備で生き残って、もっと稼げるようになったら、またここに来な」


 「はい」


 俺は素直に頷いた。

 そして、会計を済ませて店を出ようとした――。


 「?」

 「どうしたんだい?」


 「店主さん、これは買っていいか?」


 俺はそう言ってあるものを店主に見せる。


 「…良いけど、あんたも物好きね」


◇◇◇

 

 俺は宿に戻り、鏡を見つめる。

 新しい装備を手に入れて、一段と冒険者っぽくなった気がする。


 「…なんだか、ラノベの主人公っぽいかも」


 最初は少し残念だったが、考えてみれば冒険者全員が通っていく道だ。

 むしろ、分不相応な物を買う方が、セレナに呆れられてしまうだろう。


 「これなら、セレナにも堂々と会えるな」


 明日には、彼女が退院する。

 その時は、この新しい装備でちゃんと隣に立ちたい。

 そう思いながら、俺は眠りについた。



 『目標達成』

 『装備を身につける』


 達成数 15/100。


 『報酬を獲得』


 アイテムボックスに寝袋が追加されました。


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