街中とロボット
ニュースには、飴玉事件は悪戯だと報道されていた。現に、飴玉事件の直後に調べた所、美糖会社と言う食品会社の在庫から飴玉が原因不明の激減をしていたからである。だが、飴を盗んだとして、誰がどこでどうやってその飴を撒いたのだと言う意見が出た。政府が見張っているはずなのに。ところが政府は、見張りが甘かった、今後はこのような悪戯が無いようきちんと監視システムを見直す、と表明した。
つまらない、と相田は思った。上司に怒られたせいもあって彼はますますむしゃくしゃして、そのせいか仕事はあまりはかどらなかった。
その夜もテレビを見たが相変わらず政府は謝罪ばかりしていた。つまらんとテレビを消し、相田は早く寝た。
ただ、その後も妙なニュースを聞いた。人が失踪したり、発狂したり、死んでいたりと言ったニュースばかり。どことなく相田は焦燥感を感じた。世界はどこかおかしくなっているのでは。
さてある日、相田は出張のため、街中を歩いていた。歩道では人がぞろぞろ歩き、彼らの話し声や宣伝の「♪カメラを買うなら、ヤタカメラ!」と言う声などに溢れていた。相田が「葱そば」と言う店を突っ切った。そばにベンチで新聞を読んでいる人がいる。
「葱そば」の付近に、大きな車が高速で横切った。突然周りの音がゆっくり止んだ。めまいかな、と彼は青ざめた。徐々にそれはぐぐぐと来る。徐々に周りが暗くなる。やはりめまいか。だが、周りの人も不安そうに周りを見回していた。めまいを共有できるわけがないから、これはめまいではない。ではなんだ。
それが間近に迫り、頭蓋の裏側でそれを感じた時、そばの車の片方がふわっと持ち上がった。視点が歪む。突然上から下まで地面になったり、店が歪みながらこちらに迫ってきたりする。
「うわあああ!」
と声が聞こえたので見るとさっきまでベンチで新聞を読んでいた男が、目に見えない何かに吸い込まれていた。相田はいそいで彼を助けようと向かったが地面がぐわんと持ち上がり、相田が転んだ時、男は「わああああぁぁぁぁァァァァ・・・・……」と叫びながら暗黒に吸い込まれていった。
相田はしばらくその、空間に生じた永遠の奥行きの闇を覗き、少し考えて、死にもの狂いで逃げ出した。しばらくして周りが明るくなったので逃げ切れたかなと後ろを振り替えると、そこにはいつもの「葱そば」があった。
何が起きたのか相田には理解不能であった。とりあえず、飴玉事件を思い出して急いで出張先に向かったが、幸い間に合った。だが、あの事は忘れられない。
その夜、再び、彼は夜空を見た。彼はなかなか寝付けなかった。“雷神”が来たときも彼は急いで目を閉じたものの、心底目を開けたい気分だ。
だが、やがて疲れが来て、相田は大あくびをかいた。そして眠りの世界に沈んだ。
「あなたなんであの時あの人を助けなかったのよ!」
そう夢の中で妻が現れて苛んだ。
「あの人吸い込まれたじゃない。あの人の家族はどうなるの?まあ自分の家族がこれだがら人の家族など何とも」
「やめてくれやめてくれやめてくれ」
シーンは切り替わる。また、透明な階段の上だ。世界が沢山浮かんでいる。どこかの世界が自分を見つめている。見つめているのは何者だろうかと、相田はその世界を見つめた。だが、中は見えない。相田は自分の世界が浮かんでいるのを発見した。だが、それは古びて末期的であるように見えた。では自分の世界は末期なのか。そう思った途端自分の世界が迫ってきて、目覚めた。
街の中心には“時計塔”と呼ばれる塔があった。表向きはただの時計だが、実はこれは全システムの中枢で、最高の電子頭脳とネットワークが集結していた。
その日、時計塔で発表があった。政府らは、特別技術研究部にて人造人間を作ったのである。
広報部が演説する。
「ご覧下さい、これが人造人間リタです。名前は設計者の栗田博士の名から取りました。日常最低限の知識と頭脳を持ち、判断や知識を必要とする時は、我が国が誇りとするこの時計塔に通信して調べるので完璧!このロボットはご覧の通りシリコン皮膚に覆われていますが、実は中身は全て管にです。この管はサイトで詳しく説明しますが筋肉と血管の役割をして…」




