3.魔法塔へ
お茶会は何のトラブルもなく終えて、リリアーナは
アッシュ達と侯爵家へ帰ってきた後、ロロナを呼んで
湯浴みの準備を頼む。ロロナは、きっと今回のお茶会で疲れたのだろうと察してすぐに湯浴みの準備をしてくれた。
疲れているリリアーナのために今回だけ特別に
リラックス効果のあるラベンダーの入浴剤をロロナが用意してくれた。
ラベンダーのおかげか疲れた身体も癒される。
身体的にも精神的にも疲れていたからか、リリアーナは
ベッドに入ってからすぐに眠りに落ちていった。
翌日の朝は驚く程に身体に疲れなどが残っておらず
爽やかな気分で起きた。
「おはようございます。リリアーナ様。
調子はどうでしょうか?」
「おはよう。ロロナのおかげで疲れが残っていないわ。」
「そうですか。お役に立てて良かったです。
そういえば、今日はイリアス様に魔法を教えてもらうために魔法塔へ行く日でしたよね?」
「そうだったわね。」
リリアーナは、幼い頃から魔法や魔法道具に関するものに興味があってそれを見たアッシュがイリアスという魔道士を紹介してリリアーナに週2回、イリアスのいる魔法塔へ行き魔法や魔法道具やら教えてくれるというのがあった。前世リリアーナは、王太子と婚約したことにより魔法塔へ行くことができなくなってしまったが、今世は行くことができなくなることは到底ないだろう。
それなら、前世学べなかった所を学ぼうと思うリリアーナ。
朝の支度をしてから、食堂へ行き食事を済ませる。
変わらない場面だけれど少し変わったのだとしたら
ルナティアがいないこと。何かあったのかは知らない。
きっと、昨日のお茶会で何かあって凹んで、部屋に籠っているのだろう。クレアの表情を見て察したリリアーナ。けれどうでもいい。そう思ってしまう自分に驚いた。
済ましてからすぐ、自室に戻り魔法塔へ行くための準備をした。何冊かの魔導書や、メモをするための神や羽根ペンインクなどを鞄の中に入れておく。
全ての準備を終えて、部屋から出た。
いや出たかった。
扉の先にリリアーナを待っていたかのように立っているクレアがいた。
怒りの感情が瞳の中から見えており、リリアーナは
それを見てすぐに察した。きっとルナティアのことで怒っているのだと。
「あなたは、ルナティアの姉でしょう?どうして昨日のお茶会でルナティアを庇わなかったの?」
やはり予想はしていた。ルナティアのことで怒っているのだと。
前世の時もそう。大体クレアはこっちに来るのは自分がルナティアに何かをした時だけ。
言い返すことも許されず、言い返せば平手打ちがやってくる泣けば、ますます怒鳴りつけてくる。
その光景を思い出して、前世の時の自分に戻ってしまったかのような気分になりそうになる。
落ち着け自分と言い聞かせながらも冷めた瞳で対抗しながらも口を開く。
「こんな所にずっと立ってらっしゃって、開口早々それですか?まずは、説明してくださりませんか?」
そう言えば、驚いたような顔をしていたがすぐに表情を怒りへところりと変える。
「ルナティアは昨日、王太子様の前で転けてしまって大勢の令嬢の前で恥を晒されたのよ?
あなたは、そんなルナティアを可哀想だと思って庇おうとしなかったの?」
口から出るのはルナティア、ルナティアばかり。
そして、どうして自分が責められないといけないのか。
ルナティアがやってしまったことだ。責任は、ルナティアの方にあるはずなのにどうして矛先が自分になってしまうのか意味が分からなかった。
クレアを冷めた眼差しで見ながら返事をするリリアーナ。
「ルナティアが転んで恥を晒されただけで、何で私が責められなければいけないのですか?転けたのも恥を晒されたのも全部ルナティアのせいではありませんか。」
そう言えば、クレアは驚いた顔をするのと同時に顔が青ざめる。
今まで言い返してこなかったリリアーナが言い返したからだ。
「あ、あなた…っ母親に向かってなんて口を…っ」
言い返せば、今にでも泣きそうに肩を震わせ被害者面するような醜態を見せる。
どうしてそちらが被害者面するのか。
先に吹っかけてきたのはそちらだというのに。
呆れて、この時間は無駄だ。と感じる。
そろそろ魔法塔へ行かないと。イリアス様を長く待たせる訳にはいかないと思いこの話を早く終わらせねばと
リリアーナは口を開く。
「…話すことがないのなら、もういいですよね?
その件は、ルナティアと一緒に対処してください。
無関係の私を巻き込まないでください。」
冷気の増したリリアーナの瞳と突きつけられた言葉に
クレアはもっと青ざめて倒れそうな勢いだった。
どうでもよかったリリアーナはクレアの前を通り過ぎていった。
遠く離れた時
「リリアーナ…っ」と声がしたが
聞こえない、聞こえないと思いながら長い廊下を歩いて
侯爵家から外に出て、魔法塔へ行くための馬車に乗り込む。
リリアーナが馬車に乗ったことが分かればすぐに馬車は走り出す。
馬車の窓から景色を眺めながらもさっきの光景を思い出してしまい表情が曇ってしまう。
運良く怒ることはなかったが恐らく次はきっと…。
せっかく疲れが取れたと思ったらさっきので酷く
疲れが出てしまった。
あの人のせいで。
「はあ…。」
と思わずため息をこぼしてしまうリリアーナであった。
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