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19.白狼に手当てを

様々な箇所を噛まれたり、擦れたりしているためか

ネオは動けない様子だった。けれど怪我をしようとも

白狼を守るように自分の後ろへ隠れさせていた。

「イリアス様…!あの、黒狼をどうにかしないと

ネオ達が…!」

「分かっている。」

そう言って、リリアーナを優しく降ろしてから

離れないように引き寄せてから右手の

人差し指を黒狼達に向けては

「セイレンスト」と唱える。

そうすれば、人差し指の先から青色の小さな光の粒のようなものが現れる。

それから口から風を吹かせればそれは

黒狼達の方へと流れていく。

それを吸い込んだ黒狼達は突然、地面に寝転がった。

ふと聞こえる寝息。

イリアスは黒狼達を眠らせる魔法をかけた。

急に眠りについた黒狼達を見てネオは驚いた顔をしていた。リリアーナは見た時から分かっていた。

そして圧倒的な強さで黒狼達を眠らせるイリアスに

リリアーナは(さすが、王国の数少ない魔道士の1人イリアス様…。)と関心していた。

黒狼達を眠らせた後、イリアスとリリアーナすぐにネオ達の方へと向かった。

「なんて、怪我だ。噛み傷に擦り傷だらけではないか。

すぐに戻って、アレットに治療してもらおう。」

「平気だっつーの!こんなの唾つけとけば治るって!」

「そんなことしても治らないぞ、この怪我は。」

とまた喧騒な雰囲気になる2人。

そんな中、リリアーナは白狼の方へ駆け寄る。

引っ掻かれた箇所が多く出血もしている白狼。

このままでは魔法塔平気戻る前に息をしていない可能性がある。そんなの嫌だと心の中で呟くリリアーナ。

(どうにかしてこの子を助けたい…!)

そう思いながら白狼を抱き締める。

(そうだ。今まで使ってこなかったけれど、治癒魔法を使ってみよう。)

前世、イリアスの教えによって習得した治癒魔法。

習得したものの死ぬまで使う機会がなかった。

今世、初めて治癒魔法を使おう。

そう考えて、リリアーナは白狼の右手を握り

「ミラティア」とあらゆる傷を治すことができる魔法の呪文を唱えた。

すると、リリアーナと白狼の周りに緑色の光の粒子が散りばめられる。

「…!なんだあれ!」

「ん?あれは…!」

緑色の光の粒子が白狼の前に動き回り数箇所の傷口の中に入っていく。すると、驚くことに白狼の傷口が段々と

治っていく。傷だらけだった白狼が元気になった姿を

ネオ達は見た。

「…っ」

魔法を使った反動で視界が歪んでいるように見える。

そして、体の制御ができずそのまま倒れ込む。

「リリアーナ!!」

イリアスがリリアーナに近づき咄嗟に支える。

「リリアーナ!しっかりしろ!」

いくら名前を呼んでもリリアーナは応答せず

ただ眠りについていた。

そしてふと視界に入る白狼。

さっきまで、傷だらけだった白狼が今ではもう

傷はなく元気になっている状態であるのを見て

イリアスは…。

(まさか、治癒魔法を使って…しかも強力な治癒魔法で…!早くアレットにみせなければ…リリアーナは…!)

そう思って、イリアスはすぐさまリリアーナを抱き上げて立ち上がる。

「ネオ、早く戻るぞ。」

「え?そいつ大丈夫なのか?」

「強力な治癒魔法を使った反動で倒れた。

このまま目覚めなくなる可能性がある。」

「まじかよ…!」

「とりあえず、移転魔法を使って魔法塔に戻るから

私の近くに来い。」

「わ、分かったよ…!」

ネオはすぐさま、イリアスの前に駆け寄る。

そしてイリアスが「フェルシス」と唱えると

「ワン!」と吠えて白狼もイリアス達のいる所へ走ってきてはネオに飛びついた。

「わっ…!なんでお前も…!」

と言っているとネオの目の前に閃光が走った。


閃光が消えた後

そこに人はどこにもおらずいるのは眠りについている

黒狼だけだった。



読んでいただきありがとうございます。

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