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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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ヒトの町へ ⑨

「こ! こりゃあ! バジリスクの生皮じゃないか!!」

「ずいぶんと暴れられてな。どっか行っちまったから再発行したいんだよ」

 爺さんの食い付きがスゲエ。


 俺は嘘を吐いているようで、吐いてない。

 俺は、「何を」無くした、とは言ってねえからな。

 「何を」再発行したい、とも言ってねえ。

 爺さんが勝手に、そう思っただけだ。


 今は冒険者としたが、単に「旅人」とした方が良いかもな。

 「旅の冒険者」ってのはレイクスと相談して決めた想定問答だが、基本は俺のアドリブだ。

 アドリブってもんは、その場の空気を読んで決めるもんだ。

 ところが、爺さんは予想外の情報を口にした。


「なるほどな。が、しかし、この領都に冒険者ギルドは無いぞ」

「ええ!? そりゃあ困ったな」

 マジでか! 選ぶ町を間違えたか?

 少し手持ちのカネを増やしておきたかったんだが、爺さんは更なる情報を口にする。


「お前さん、旅の冒険者だったな。知らなかったのなら仕方ないが、この国の冒険者ギルドは王都にしか無いんだ」

「そうなのか!? じゃあ、獲った獲物はどうすんだよ。クッソ重いのに王都まで運んでらんねえぞ」

 この程度の重さなんて大したことは無いが、素材の換金方法は知っておきたい。

 王都が目的地だが、その王都まで、どれだけの距離が有るか分かんねえからな。

 森を出た以上、今後は犬っコロもヘビも獲れねえし、食料や野営道具を調達しておきたい。

 冒険者ギルドとやらが素材の買取窓口と決まったわけじゃねえが、「冒険者ギルド」の固有名詞を出して訊かなくとも爺さんは答えをくれた。


「普通は商店に買い取らせるんだが、そこいらの商店ではバジリスクの買い取りなんて出来んな」

「普通じゃない場合は、どうすりゃ良いんだ?」

 買い取りが出来ない理由も知っておきたい。

 理由次第じゃ戦略を練り直す必要が出てくる。

 爺さんは町の中を指した。


「領軍の駐屯所へ売りに行け。領主館に隣接しとるから、駐屯所のカネで足りなければ領主館からカネが出る。多少は買い叩かれるかも知れんが、自分で王都まで運ぶよりはマシだろう?」

「そりゃそうだな」

 軍ってことは、領主が直接買取しているわけか。

 組合的なものが無い代わりに領主が機能を代替して―――、いや。これは、たぶん「利権」だな。

 領主が金目の物を独占的に取り扱って、普通は利益が分散するものを独り占めするシステムか。


 自分の庭に力を持った組織を入れたくない結果、冒険者ギルドが王都にしか無いのか、それとも冒険者ギルド側の費用対効果で現地窓口を置いていないのか。

 どっちも有りそうだが、どちらかと言えば前者じゃねえかな。

 利益の集中・分配システムを理解するには、もうちょっと情報が必要か?


「商業ギルドはねえの?」

「商業ギルドも王都にしか無いぞ」

「そうか。じゃあ、決まりだな」

 やっぱり前者だな。

 領主が金目の物を吸い上げて中央へ卸すんだろう。


 なかなかの業突(ごうつ)く張りだぞ。

 市場に出回るはずの利益の少なくとも半分は、領主が直接、吸い取っていると見て良い。

 だとしたら、俺が食い込むべきは中央だ。

 利益のデカいところへ割り込む方が俺の取り分が多くなるからな。


「売りに行くのか?」

「せっかく町に出たんだ。たまには娘を宿に泊まらせてやりてえ」

 俺が出した結論を都合良く誤解してくれた爺さんに、フードを目深に被ったケイナの頭にポンポンと手を置いてみせる。


「おお。娘っ子だったのか。それはそうだろうな」

「駐屯所へ行くには、どうすれば良い?」

 無言で俯くケイナを目を丸くして見ている爺さんに、自分の仕事を思い出させてやる。



ヒトの町へ⑨です。


業突くシステム!

次回、潜入!?

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